法人のお客様メディカル関連機器 評価レポート・事例紹介 聖路加国際病院 様

聖路加国際病院 様

医療映像モニターも4Kの時代へ
内視鏡手術用に4Kモニターを10室に導入

当院手術室では年間約10,000件の手術が行われており、多種多様で高度な医療機器が配置されております。私は外科系チームの責任者をしており、1日10〜15件の手術に通常2名の臨床工学技士が常駐して立ち会っています。立ち会う手術件数は常駐を開始した2009年から5倍近くに増加しており、内視鏡手術のニーズの高まりを実感しています。

渡辺 竜徳 様
学校法人聖路加国際大学
聖路加国際病院
臨床工学科 手術関連業務担当
体外循環技術認定士 呼吸療法認定士
アシスタントマネージャー
渡辺 竜徳 様

導入の経緯 「各診療科のニーズを満たす、暗すぎず明るすぎない モニターを求めて」

2020年12月にソニーの32型4K液晶モニターLMD-X3200MDを10室の手術室に導入しました。複数メーカーの内視鏡や術野カメラ、バイタルなどを接続して、SD解像度の画像やハイビジョンから4K映像、さらには8K内視鏡(4Kダウンコンバート出力)まで映し出しています。以前は別メーカーの26型HDモニターを6年程使用していましたが、手術映像機器の高画質化およびカメラのスペックが高まっていく中で、旧来のモニターでは映し出される映像が暗くて精細さに欠けるなどの課題の声があがってきていました。そこで新規内視鏡の導入タイミングに合わせて2020年1月頃からモニターの入れ替え検討を始め、候補のデモ機に手術室内にあるいくつもの映像出力機器をそれぞれ接続して比較テストを繰り返しました。最終的にソニーの32型4K液晶モニターLMD-X3200MDの評価が高く採用を決定しました。
当院の手術室では内視鏡を全ての診療科で共有しており、モニターには見え方にムラがなく幅広い診療科の執刀医の満足が得られる汎用性の高さが必要でした。メディカルエンジニアとしての私の経験と感覚ですが、手術室で運用するモニターの輝度は500〜600cd/m2が最適だと考えています。これよりも暗いと全体的に見えづらく、逆にこれ以上に明るすぎると術者の目が疲れてしまいます。

導入後の効果「鮮明な映像に加えて、モニター自体の機能性の高さにも満足」

LMD-X3200MDに入れ替えて運用開始後、映し出される映像の鮮明さと明るさにはとても満足しており、医師からも評価されています。映像の素晴らしさに加えて、モニター単体でできる多機能性も魅力で、特に表示モードが手術の用途に応じて自在に変更できるのが便利です。例えば、内視鏡術野映像とエコー情報を一台のモニターにピクチャー イン/アウト ピクチャーで2画面を同時表示することができたり、必要な術野中心部の解像度を落とさずに表示できるVフル表示モードも備えています。これにより手術室内のスタッフ全員が手術の状況を一目で的確に把握できます。さらに、2画面同時表示映像はクローン出力機能を使うと明るさや色味が変化することなくセカンドモニターなどに外部出力することができます。術野とエコーが並んだわかりやすい映像はそのまま録画機器に記録することもでき、当院では手術映像と電子カルテは紐づいているので患者説明や教育、学会発表資料としても活用できます。

モニターの表示設定は導入テストの際に最適だった数値でカスタマイズ設定しており、運用を続けながら今後も工夫をしていきます。なお、私たちメディカルエンジニアだけでなく、術中は機器の専門知識が少ない看護師が入力ソースの切り替えや設定変更などをすることもありますが、直感的なインターフェースは操作がしやすいようです。また、使い勝手が良いという面では、術後の手術室清掃がしやすいこともあげられます。モニターに飛び散って付着した血液などの汚染を落とそうとすると、旧来のモニターではクリーニング薬剤の影響で画面表面のコーティングが剥がれてしまって見えづらくなっていましたが、LMD-X3200MDではイソプロピルアルコールやエタノールで軽く撫でると汚れを落とすことができます。

今後に向けて「最先端の映像技術を現場ニーズで進化させていく」

4K/8Kや3Dなど内視鏡から出力される映像のクオリティは現時点でピークに達しつつあると感じています。それを入力して映し出すモニターには高精細な映像の表現と使い勝手の良い機能が求められます。現在、4K内視鏡にもLMD-X3200MDを接続して実運用を始めており、今後はさらに8K内視鏡のサブモニターとしても活用していく計画です。LMD-X3200MDは汎用性が高いので、導入検討の際には比較検討の候補に入れても良いと思います。複数画面表示や上下ローテーション、クローン出力して録画するなど、これまでは特別な中継機器の追加が必要だったことが、このモニター単体で可能となり1台で二役、三役を果たしてくれています。運用がしやすくなり、コストパフォーマンスにも優れているので、中小規模の病院の手術室にもお薦めできます。

今回の導入時、モニターの設置は自分たちで行ったのですが、ケーブル配線の取り回しが考慮された背面パネルがとても便利でセッティングがしやすかったです。また、LMD-X3200MDはデジタル入力ポートを豊富に揃えており、4K対応規格から従来のSD解像度のデジタル化信号まで幅広く対応でき、内視鏡以外にも光学顕微鏡やエコーなども入力できて映像もアップコンバートされるので、使い慣れた年代を経た既存の医療機器資産を無駄にすることなく活用できます。

このような製品の設計思想は、ユーザーのニーズに寄り添っているからこそ実現できていることであり信用ができます。ソニーには、現場の声を大切にすることを続けながら、導入時のコンサルティングや人的サポート支援体制など開発担当者とのダイレクトなコミュニケーションの機会も増やして欲しいと望んでいます。

導入機器の概要

LMD-X3200MDは多機能・高パフォーマンスを実現した32型4Kメディカルモニターです。
4K(3840×2160ドット)の高解像度パネルと広視野角技術により、さまざまな照明環境や使用形態(壁掛け・画像監視のための複数台の使用など)でお使いいただけます。

※本製品は日本においては医療機器ではありません。