ソロ作品とYENレーベル

細野晴臣と高橋幸宏によって設立されたユニークな音楽レーベルのYENレーベル。YMOや細野晴臣、高橋幸宏のソロ作品に留まらず、数多くのアーティストがYENレーベルからデビューしていった。
YENレーベルは1982年5月、アルファ・レコード内の独立レーベルとして設立された。主宰者は細野晴臣と高橋幸宏のふたり。YMO結成以前からプロデューサー志向を強めていた細野晴臣にとっては念願のプロデューサー、アーティスト主導のレーベルの発足であり、高橋幸宏にとっても自身のプロデュース・ワークをさらに充実したものにできる、楽しく実験ができるという点で待望のレーベル発足となった。
YENレーベルは約3年間という短い活動期間だったが、立花ハジメや戸川純といった個性的なアーティストを次々とデビューさせたほか、テスト・パターンやインテリアなどポップスの範疇を超えた先鋭的なバンドも所属。いずれも高いクオリティの作品をリリースし続けた。そしてさらに特筆すべきなことは、そのようなアーティスト主導の個性的な作品を送り続けたYENレーベルが、まがりなりにも黒字を維持していったことで、趣味性は強くとも同時に商業性も兼ね備えたインディ・レーベルの運営が可能だということを80年代前半という時点で日本の音楽業界に証明し、認知させた功績は大きい。
YENレーベルが解散した直後から、細野晴臣、高橋幸宏らによるそれぞれの新たなレーベルのほか、日本全国に無数のインディ・レーベルが誕生しときならぬインディー・ブームを巻き起こし、それがやがてバンド・ブーム、J-POPの隆盛に繋がっていくことを考えるとYENレーベルの発足と成功はYMOやそのファンのみならず、日本の音楽界全体に大きな影響を与えたといっても過言ではないだろう。

今回、そのYENレーベルに残された各アーティストの作品と、アルファ時代にリリースされたYMOの各メンバーのソロ・アルバム、さらには細野晴臣と坂本龍一のソニーミュージックからリリースされたソロ作品も合わせてミュージックアンリミテッドでの配信が実現した。

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