蓄電システム

事例紹介

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放送局本社のUPSにリチウムイオン蓄電池“Fortelion”を採用

株式会社宮城テレビ放送様は2018 年7月、本社社屋内の無停電電源装置(UPS)の更新にあたり、放送局本社UPSでは初の「リチウムイオン蓄電池を搭載したUPS」を採用。株式会社 明電舎製 THYRIC 5000(電源200kVA、蓄電池128kWh、並列冗長システム)を導入されました。

お客さまの声:
株式会社 宮城テレビ放送
総務局 技術推進部 目黒 洋一様
総務局 技術推進部 赤坂 哲也様

 震災時に無停電電源装置(UPS)の重要性を実感

UPSは、マスター機器やスタジオサブなどの重要放送設備の電源保護という、放送局の根幹を守る重要な装置です。東日本大震災では送電がストップし、停電する状況がありましたが、非常用発電機との併用で放送が止まることはありませんでした。数日後、送電が復帰した時にも突然発電機が落ちて、局内が一瞬真っ暗になりましたが、UPSのおかげで放送に影響はありませんでした。このように実際に電源が落ちる状況を経験したことで、強くUPSの重要性を実感しました。したがって今回のリプレイスでの最大のポイントは、無停電電源装置の信頼性でした。

 鉛蓄電池に対する不満

これまでのUPSは鉛蓄電池を使ったもので実績も十分でしたが、鉛蓄電池には不満もありました。環境温度によって寿命が変化するので、期待寿命が7年でも必ずしも寿命が7年間保証されてはいない点です。震災時には地震の震動のためか送信設備のUPSで、鉛蓄電池が期待寿命までだいぶ期間があるにも関わらず、ほとんど容量が無くなってしまったということがありました。またメンテナンス時には個体ごとに内部抵抗を測り、寿命を判断しなければならないなど手間が必要なこと。さらに運用期間中にバッテリーの交換が発生するなどコスト面での負担もあります。一方、リチウムイオン蓄電池は期待寿命が長く、重量が鉛蓄電池に比べ軽いことなどをソニーから聞き、今回のリプレイスでは、鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池の両タイプの提案を各社にお願いしました。

 バッテリーの安全性を工場見学で確認

隙間なく並んだ“Fortelion”蓄電池モジュール

今回、リチウムイオン蓄電池“Fortelion”を搭載したUPSを選んだ理由は、「寿命が長く安定している」、「設備の重量が軽い」、そして「メンテナンス性に優れている」といった点です。“Fortelion”は15年使用可能な長寿命、鉛蓄電池(長寿命型13年)よりも長く、バッテリーの状態も安定している点を評価しました。過去にパソコンに使われているリチウムイオンバッテリーの事故報道があり、社内で不安視する声もありましたが、“Fortelion”〈オリビン型リン酸鉄リチウムイオン蓄電池〉はパソコン用バッテリーとは構造が異なります。また独自の安全技術も搭載しており、高い安全性が確保されています。工場見学では、地震を想定した釘刺し試験、火事を想定したバーナー燃焼試験、洪水を想定した塩水浸透試験といった厳しい安全性試験を直接確認しました。釘刺し試験では、一般的なリチウムイオン蓄電池は釘を刺すと花火のように発火し激しく燃えましたが“Fortelion”は発火することがありませんでした。バーナー燃焼試験では、電解液がろうそくの炎のように燃える程度ですぐに消えました。工場見学は、“Fortelion”の安全性・信頼性の高さを十分に確認することができ、選定時にはとても参考になりました。また“Fortelion”は、国内外の公的機関による安全認証も取得していて、その点でも安心できました。

 BMUによりメンテナンス性が向上

1基の蓄電池盤に、BMU、充電器、蓄電池モジュール(7段×8列)などが収まる。並列冗長システムとして2基設置。
BMU(バッテリーマネージメントユニット)HUB。8台のBMUを統合している。

UPSは社屋2階に設置しています。東日本大震災の地震にも耐えた建物ですが、設備更新時に新旧設備が共存する期間は耐荷重に不安があったため重量の軽いバッテリーは十分に採用するメリットがあります。装置の大きさもコンパクトなので設置スペースにもゆとりができました。
メンテナンス性の面ではBMU(バッテリーマネージメントユニット)によって計画的に管理が行えることを高く評価しています。これまで時間をかけて、バッテリーごとに行っていた内部抵抗の測定を、BMUにパソコンを接続するだけですべてのバッテリーの状態が把握でき、集中管理することができます。万が一バッテリーに問題が起きても対象のバッテリーをすぐに発見し交換することもできるので、今後の計画的な運用・メンテナンスにとても役立ちます。

 およそ1.5時間で90%の容量回復が可能

急速充電も、“Fortelion”リチウムイオン蓄電池の大きなメリットです。90%までの容量回復におよそ1.5時間。同容量の鉛蓄電池ではおよそ15時間以上かかります。大規模地震などによる複数回の停電や、その後に計画停電が実施されても、短時間で十分に充電することが可能なので、放送局にとっては大きな安心材料になります。
今回のリプレイスには、1カ月半の期間を要しました。スペースの都合で既存の電源設備の入っている場所に設置しなければならず、並列のシステムを片側ずつ設置・交換していきました。“Fortelion”は鉛蓄電池に比べ、軽くコンパクトなので、建物への負担が軽減でき搬入もスムーズに行なえるなど、入れ替え時にはメリットが大きいと思います。

 15年使用可能な長期運用が魅力

放送局本社のUPSとしては初めてとなる、リチウムイオン蓄電池を搭載した電源装置の導入に、まったく不安がなかったわけではありません。実績という面では鉛蓄電池のほうが安心できると思います。しかし工場見学で、我々が抱えていた安全性に対する不安が取りのぞかれ、多くのメリットを知ることで、十分に信頼できると判断しました。なによりも、15年使用可能な長期運用に対するコスト効果と、メンテナンス性の良さは鉛蓄電池に対する大きなアドバンテージです。
“Fortelion”を搭載した無停電電源装置(UPS)は、放送設備の電源を守り、すべての番組放送を支えてくれると期待しています。

“THYRIC 5000”は、株式会社明電舎製の無停電電源装置(UPS)です。
“Fortelion”は、株式会社村田製作所製のオリビン型リン酸鉄リチウムイオン蓄電池です。

主な導入機器

リチウムイオン蓄電池“Fortelion”搭載無停電電源装置(UPS)