蓄電システム

事例紹介

リチウムイオン電池搭載の無停電電源装置を放送局で初導入

浅井隆士様

奈良テレビ放送株式会社様は、2006年からデジタル放送で運用されている生駒送信局の無停電電源装置をリチウムイオンUPSに更新、2017年6月から運用を開始されました。

同社 クロスメディア局次長 兼 技術部長で、第一級陸上無線技術士でもある浅井隆士様に、更新の目的や、新無停電電源装置選定の決め手、運用状況と成果などを伺いました。

 運用してきた鉛蓄電池無停電現装置が寿命を迎え、更新を計画

当社は1973年に開局し、アナログ放送を開始しました。2005年に新社屋を竣工し、2006年12月よりデジタル放送を開始しました。

生駒送信所は、デジタル放送に合わせて開局し、開局当初は鉛蓄電池無停電電源装置を整備しました。生駒送信所は生駒山中腹にあり、車両での搬入ができないため、難工事でした。当時は、送信所建設用の索道があり大型機器も搬入できましたが、現在はメンテナンス用の索道のため、更新時は機器の省スペース化、軽量化が課題でした。

開局し11年を経過し、更新検討を進める中で、これまで一般的である鉛蓄電池UPSの他に、ソニーから提案を受けたのが、長寿命リチウムイオン電池「フォルテリオン」を搭載した無停電電源装置でした。「フォルテリオン」は正極材にオリビン型リン酸鉄を採用しており結晶構造が安定しており壊れにくく、万一の時でも安全で、なにより、電池が15年間メンテナンスフリーであることが魅力でした。

鉛蓄電池の寿命は一般的に6〜8年で、無停電電源装置の期待寿命(平均13年〜15年)の中で1回は電池交換が必要です。リチウムイオン電池は無停電電源装置の期待寿命とほぼ同じで、運用中の電池交換が不要、電池交換の費用が削減できランニングコストの低減に繋がる点も利点でした。

また鉛蓄電池では必要な、電池の抵抗値の測定が不要で、PCからソフトで電池の状態を測定できます。鉛蓄電池は一定レベルを超えると急激に劣化しますが、フォルテリオンを使ったリチウムイオン電池は急激な性能劣化がなく、日頃は無人である送信所のUPSの電池の状態を本社からリモートで測定・監視できることも業務の効率化に繋がります。

こうした判断から、無停電電源装置の更新では、長寿命リチウムイオン電池を採用した無停電電源装置の導入を決定し、2017年6月に運用を開始しました。更新後は、電池のエネルギー効率が良くなり、電池容積が小さくなったため、無停電電源装置の省スペース化にも繋がりました。

 運用して短期間だが、安定性や充実した機能に満足

今回更新した無停電電源装置は、運用を開始してまだ三ヶ月ですが、トラブルはなく、安定した状態で稼働しています。運用開始後も何度か瞬間停電がありましたが、無停電電源装置で正常にバックアップし、今回の更新は正解だったと評価しています。

電池の長寿命化によるランニングコストの低減、小型・軽量・省スペース化を達成した無停電電源装置は、放送局では国内初の導入でしたが、今回の選択に間違いなかったと満足しています。

 今後もソニーならではの充実したサポートに大いに期待

ソニーと電源メーカーとの連携で完成した3相15kVA無停電電源装置。鉛蓄電池からフォルテリオンに更新したことで省スペース、省エネを実現しただけでなく、電池交換が約15年の長期間不要なので、ランニングコスト削減の点でも期待されています。

まだ運用開始して間もないですが、今回更新した無停電電源装置が、今後も長期に渡り安定して稼働することを期待しています。

今回の導入決定のポイントとなった、電池の長寿命化が期待通りになるかは、これから実際に運用を見守るしかありませんが、万一の場合もソニーには万全のサポートを期待し、長寿命リチウムイオン電池を採用した無停電電源装置の導入が進むことを願っています。