蓄電システム

事例紹介

市民・行政一体となり実現した「災害に強い蓄電システム」

地球温暖化対策に東日本大震災の教訓
再生可能エネルギー&蓄電システム

さいたま市立 蓮沼小学校(平成25年度納品)

国の地球温暖化対策のひとつ「グリーンニューディール基金事業」により、地方自治体の再生可能エネルギー導入が始まりました。その後、東日本大震災で停電が発生。自家発電設備として期待された再生可能エネルギー(再エネ)も、電気の供給がなくては発電を開始できないという教訓が得られました。これを受けて平成23年度(2011)補正予算では、東日本地域の再エネ導入に加え、防災能力の拡充を目的とした蓄電池設備の併設事業が開始されました。ソニービジネスソリューション(株)では、ソニーエナジー・デバイス(株)が開発した長寿命なリチウムイオン電池を搭載した公共産業用蓄電システムを開発し販売を開始しました。2013年よりさいたま市様が採用し、発電・蓄電・CO2削減に大きな成果をあげました。

さいたま市の市立小中学校に導入
余剰電力は売電や市の省エネ対策に活用

< 太陽光・蓄電システムの概要 >

システムは、最終的にさいたま市の164カ所の小中学校で導入されました。太陽光発電21kW+蓄電システム15.6kWh。平時はピーク運転利用。
災害停電時は自立発電出力8kW。夏休みなど長期休暇中は売電機能も備え、市の環境対策、防災対策、省エネ対策に活用されています。施工に際しては、地元の設計事務所、電気工事会社と一体となった体制です。こうした分散型エネルギーをEV車でつなぐ防災グリッドの構築も始まっています。

太陽光パネル

発電情報モニター

蓄電池

プロジェクトの経緯

長寿命・高安全なリチウムイオン電池による公共産業用蓄電システムを開発

東日本大震災のころ、ソニーエナジー・デバイス(株)(本社 福島県郡山市)の工場では、10,000回以上サイクル利用というこれまでにない長寿命なリチウムイオン電池の量産化に成功しました。加えて、安全性についても自己発熱を抑え、圧潰を想定した釘刺し試験や火災を想定したバーナー試験、水害を想定した塩水没試験などにおいても暴爆しない高安全性を達成。この電池を搭載した公共産業用蓄電システムの開発が始まりました。

圧潰を想定した釘刺し試験

火災を想定したバーナー試験

水害を想定した塩水没試験

足で稼ぐ地道な説得活動

ソリューションの提案販売を行うソニービジネスソリューション(株)が営業主体となって、全国の自治体や設計事務所を個別訪問し、ソニーの電池にしか実現できない特長を説明しました。およそ20名が300日をかけたローラー展開を行い、ソニーの蓄電システムの販売が始まりました。
10年間毎日使用しても一定容量を保証できる点を訴求し、電池交換にかかる導入後の保守費用を抑えることができることに興味を持ってもらえましたが、メーカー指定にもなりかねないと積極採用していただけませんでした。そんな苦労が続きながらも、ソニー製蓄電池の安全性を含めて、粘り強く説明を続けるうちに、少しずつリチウムイオン電池への関心を喚起することができました。

他社とのプロポーサルで最高評価

さいたま市における市立小中学校154校に、再エネ&蓄電システムの導入計画があり、社内プロジェクトメンバーが招集され、自治体担当者、学校関係者、保護者の立場や視点になった製品企画が始まりました。もともとソニー製電池の持つ特長をさらに生かし、災害時だけではなく毎日充放電利用によるピークカット運転機能、災害時に備えた残量設定、電池枯渇時からのブラックスタートなどに着目。こうした機能を最初に設定しておくことで、災害時にも人手による操作を不要とした自動化を提案。さらにこれらの利用にも10年間の容量を保証した結果、他社との競争プロポーザルにおいて最高得点で評価され、採用される運びとなりました。

導入の効果と成功のポイント

太陽光発電3.1MW、総蓄電量2.6MWh、年間約1,566tのCO2削減を達成
市民の理解と行政のリーダーシップで実現

導入後、太陽光発電3.1MW、総蓄電量2.6MWh、年間約1,566tのCO2排出量の削減を達成しました。こうした成果を出せた背景には、市民の理解と市長ならびに市役所の強いリーダーシップがありました。一般的に、議論が投資回収や損得勘定に傾きがちなところ、地球温暖化に対し自らができることを身近なところから始めるというコンセプトを掲げ、国の補助事業による支援を受けて活動できました。

1製品寿命にこだわった製品開発が環境対策にも

お客さまリスクを最小限に抑えるために、メーカーにできることは、製品価格低減はもちろんですが、長期利用における保守コストやランニングコストへの配慮あるとの認識のもと、製品寿命を延ばすことに注力しました。その結果、廃棄物削減にもつながり、環境対策としても有効な手段となりました。社員一人一人がこうした考え方を持って製品開発に取り組んできた結果です。

2エネルギーマネジメントでサスティナブル社会の実現へ

本件は分散型エネルギーの代表的な事例です。今後、工場など大電力需要家と連携したエネルギー需給調整などを想定した、エネルギーマネジメントを実現することで、一層の省エネルギーやCO2削減につながる環境対策効果が期待されます。ソニービジネスソリューション(株)では、引き続き環境対策への積極的な取り組みを通じて、サスティナブル社会の実現に貢献していきます。