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株式会社 サウンド・シティ 様

プロダクション

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グレーディングルームに25型有機ELマスターモニターBVM-E250を導入。さらに編集室には25型有機ELマスターモニターBVM-F250を採用へ

株式会社 サウンド・シティ 様

株式会社サウンド・シティ様は、2011年6月、グレーディングルームのマスターモニターにTRIMASTER ELシリーズのBVM-E250を、同時にクライアントブースや撮影時のモニタリングなどユーティリティー用途に業務用有機ELモニターPVM-740を導入し、運用を開始されました。さらに2012年1月末には、編集室に25型有機ELマスターモニターBVM-F250を採用するなど、有機ELモニターの導入に積極的に取り組まれています。

同社 ポストプロダクション技術部 部長 井口信吾様、同部 副部長 杉山裕信様に、グレーディングルームや編集室のマスターモニターにTRIMASTER ELシリーズを採用された狙いと決め手、運用されてみての評価や成果、有機ELモニターへの今後の期待などを伺いました。

次世代マスターモニターのスタンダードは有機ELモニターと判断
積極的に導入を行うことで経験値やノウハウを高めていくことが最大の狙い


有機ELモニターのマスターモニター、ピクチャーモニターとしての可能性の大きさを語ってくださったポストプロダクション技術部 部長 井口信吾様(写真・右)と、同部 副部長 杉山裕信様(写真・左)

グレーディングルームのマスターモニターにBVM-E250を採用することになった直接的な契機は、それまで使っていたCRTのマスターモニターBVM-D32E1WJが更新期を迎えたことでした。ブラウン管を交換して少しでも延命を図るか、液晶モニターに置き換えるか、あるいは有機ELパネルを搭載したTRIMASTER ELシリーズで更新するか、選択肢はこの三つでした。社内的に議論を重ね、あるいは相互に比較テストなどを行って導き出した答えがTRIMASTER ELシリーズの25型有機ELマスターモニターBVM-E250の導入でした。

BVM-E250採用の決め手は、まず第一に性能面です。セールストークにもなっている黒の忠実な再現、ダイナミックレンジの広さやデジタルシネマにも対応した色域、優れた動画応答性など、マスターモニターに求められる再現力を十二分にカバーしている点を高く評価しました。加えて、CRTガンマを搭載することでマスターモニターのデファクトスタンダードとしてポストプロダクション業界でも長年愛用されてきたBVM-D/BVM-Aシリーズのガンマカーブに近い表示でも利用できるなど、実際に使用する立場に配慮した設計であると感じました。

採用の決め手には、もう一つ戦略的な狙いもあります。それは有機ELモニターの特性や可能性をいち早く習熟し、蓄積した経験やノウハウを当社のお客様に提供したいということです。CRTがいまなおマスターモニターとして高い支持を得ている理由は、もちろん性能面もあるのですが、それを使用するエディターやカラリストたちがCRTで培った経験値を豊富に持っているからでもあります。CRTでこう映れば大丈夫とか、こうなったらどう対処すべきか、そうしたノウハウを蓄積してきたから安心して使うことができた訳です。これと同様に、次世代のマスターモニターのデファクトスタンダードになるであろうTRIMASTER ELシリーズを早く導入し、使いこなすことで経験値を高めたいと考え、前向きかつ積極的に導入することに決めました。

低階調信号の色などを見て驚嘆したBVM-E250の優れた再現力
TRIMASTER ELシリーズが液晶モニターとはまったく別物であることを実感


マスターモニターにBVM-E250を導入したグレーディングルーム。黒の忠実な再現、優れた動画応答性、正確な色の再現性で高い評価を受けている

正直言いますと、選定作業を行っている時には、BVM-E250について液晶モニターの上のクラスといった認識でした。ところが、実際にいろいろな素材を表示して検証してみると、その再現力の高さに驚かされました。これは液晶モニターとはまったく異なるものであることを実感しました。特に、低階調の信号や色の再現でそれが顕著に現れており、液晶モニターではまったく表示されなかったものが、BVM-E250で見るとしっかりと表示されます。

具体的なCM作品を例にしますと、いわゆるマジックタイムと呼ばれる夕暮れの商店街を映した素材がありました。液晶モニターだと、商店街であることは分かりますが、薄暮での撮影ということで屋根など周辺の雰囲気が表示されませんでした。これをグレーディングルームに持ち込んでBVM-E250に表示してみると、撮影の意図通り屋根の瓦1枚1枚までがきれいに、雰囲気もよく表示されました。グレーディング作業を行う上で不可欠の再現力を備えたマスターモニターであると改めて感じ入った次第です。

グレーディングルームは主にCM制作に稼働し、当社のスタッフのみならず外部のフリーカラリストの方々も利用しますが、いずれもBVM-E250についてはマスターモニターとして十分に満足しているようです。一般に液晶モニターを使用している場合、作業の前にカラーバーを出して±5%がどれぐらい見えるかといったチェックを必ず行いますが、BVM-E250についてはそれを行う人もおらず、設置した状態のままで普通に使っています。これもBVM-E250のマスターモニターとしての再現力の高さを実感している証と言えるでしょう。

編集室のマスターモニターの更新に合わせてBVM-F250を採用
今後はTRIMASTER ELシリーズのピクチャーモニターにも期待


グレーディングルームのクライアント席に設置された7.4型業務用有機ELモニターPVM-740。ほかに撮影時のモニタリング用途など、多目的に運用されています

昨今のCM制作では、実にさまざまなフォーマットの素材が入ってきます。デジタルシネマカムコーダーPMW-F3を使ってSxSカードあるいはHDCAM-SRテープに収録した素材、R3Dファイル、あるいはDSLRの動画ファイルなどに加え、今後はシネアルタカメラF65で撮影したF65RAWやSStPファイルが確実に増えると考えられます。BVM-E250はこうした多彩な素材を余裕を持って表示できるだけでなく、アウトプットに応じたグレーディング作業をサポートしてくれるものと期待しています。オンエア用途のCMならCRTガンマを使い、フィルム、DLP上映やODS(非映画デジタルコンテンツ)が最終形なら、D-Cineモードなど表示色域をフルに使って対応できます。今後の業務の拡張にも柔軟に対応できると期待しています。

グレーディングルームでの評価と実績をベースに、当社が次のターゲットにしたのが、編集室のマスターモニターです。BVM-D24E1WJの更新に合わせて、TRIMASTER ELシリーズの新しいラインアップBVM-F250を採用することにしました。この「BVM-F」シリーズは、色域やガンマなどを放送規格に最適化した点を除けば、「BVM-E」シリーズの特長・特性をそのまま継承していますので、編集室のマスターモニターとして安心して使うことができます。

PVMではなかった理由は、24pの素材を表示した時にマスターモニターだと24コマの3倍速で72コマで駆動できますが、ピクチャーモニターですと60Hzまでしか駆動しないので、それがフリッカー感につながっている事です。もうひとつは、単純にディレイですね。コマーシャル制作でもそうですが、PV制作を行っている時でもディレイがあるモニターでは気になるので。遅延する分を見越して信号をディレイさせればいいんですが、最低限それはやりたくないなということでBVM-F250に決めました。

これにより、グレーディングルームでカラーコレクションした素材を編集室でも同じクオリティー、テイストで確認することができるようになります。さらに、PVM-740を撮影時のモニターとして使用すれば、撮影から編集、グレーディングに至るまでトータルに同じテイストで監視・管理することができることになります。

さらにTRIMASTER ELシリーズには、PVM-2541/PVM-1741のピクチャーモニターもラインアップされており、より幅広い用途に有機ELモニターを使用することができるようになっているのも魅力です。やがて、コンテンツ制作のトータルワークフローにおいて、有機ELモニターによる画やクオリティー、テイストを共有化することができるようになり、マスターモニターだけでなくピクチャーモニターを含めて有機ELモニターがデファクトスタンダードとなっていくことでしょう。欲を言えば、「BVM-E」シリーズや「BVM-F」シリーズでは、グレーディングルームなどで便利に使える30型以上のより大きなサイズを、ピクチャーモニターでは、マシンルームのバックヤードでも気軽に使える17型クラスのローコスト版など、ラインアップの一層の拡充を期待します。

株式会社サウンド・シティ

株式会社サウンド・シティ

1961年(昭和36年)創業。レコーディングスタジオの運営とポストプロダクション業務を両輪に、幅広いコンテンツ制作をサポートしています。現在、ポストプロダクション設備としてノンリニア編集室5チェーン、編集室3チェーンとネットワーク構築されたグレーディングルーム、スタジオ・MA室3チェーン、プロセスルーム1室を保有し、CM制作を主体にVPやPV、各種フォーマットによるビデオのプリント業務等を展開しています。

http://www.soundcity-w.com/