放送・業務用モニター

株式会社 TBSテレビ 様

放送局

PDFダウンロード PDF

最新鋭の大型中継車(R-ZERO中継車)の映像確認・監視用モニターとして33台の7.4型業務用有機ELモニターPVM-740を採用し、本格運用を開始

株式会社 TBSテレビ 様


スポーツやコンサート中継などで活躍するR-ZERO中継車

株式会社 TBSテレビ様は、スポーツやコンサート中継など規模の大きな番組、視聴者が求める多彩な画づくりに対応する新大型中継車「R-ZERO中継車」を導入され、2010年8月より本格運用を開始されました。ビデオエンジニアやスローオペレーター、あるいはスイッチャー担当の方が、映像の確認や監視を行う上で欠かせないピクチャーモニターとして、33台の7.4型業務用有機ELモニターPVM-740を採用。またビデオエンジニア用マスターモニターとして、17型液晶マスターモニターBVM-L170を3台導入し、運用されています。

同社 技術局 報道・中継技術部 平林雅之様に、特にPVM-740導入の目的や用途、実際に使用した上での機能や使い勝手についての評価、運用の成果を伺いました。

中継車用途で欠かせない小型・軽量・低消費電力に加えて、
有機ELパネル独自の優れた黒の締まり、色の再現性、動画特性を高く評価


技術局 報道・中継技術部
平林雅之様

「R-ZERO中継車」開発の第一のコンセプトは、1番組あたりの規模の拡大や多彩な画づくりに対応することでした。具体的に言いますと、使用するカメラの台数がどんどん増えており、それに伴ってビデオエンジニアやスローオペレーターといったスタッフの数もそれだけ必要になります。そこでまず拡幅式の車体にすることで、オペレーション時に前部だけで10人以上が余裕を持って作業できるように配慮しました。カメラにはHDC-1000R/1500Rを14台導入していますが、最大24台まで拡張できる仕様になっています。

カメラ台数が増え、中継車内のオペレーターが多くなればなるほど、中継・収録映像の確認を行うためのピクチャーモニターも数多く必要となり、その性能や機能も重要になってきます。開発当初は、当然のことですが業務用液晶モニターが有力候補となっていました。液晶モニターの小型・軽量・低消費電力という特性は、中継車用途に非常に適した資質です。しかし、その一方で画質の点では黒の浮きや残像感、あるいは視野角といった課題があったことも事実でした。

そうした時に、NAB2010でソニーから7.4型業務用有機ELモニターPVM-740が発表されました。小型・軽量・低消費電力という液晶モニターの特性はそのままに、有機ELパネルを採用することにより、従来の課題であった黒の再現性や動画特性、そして視野角による色の変化などを抑えていることが特長となっていました。早速、各社の業務用液晶モニターやCRTと、実際のカメラ映像を使って比較・検証テストを実施しました。その結果は非常に満足できるもので、液晶モニターをはるかに凌ぎ、項目によってはCRTと同等以上と評価できました。それが今回の採用の決め手であり、R-ZERO中継車とPVM-740の開発がシンクロできたことは非常に幸運であったと思っています。

カメラの動きが速いスポーツ中継でPVM-740の優れた動画特性を実感
黒の締まりについても比較テストなどでCRTと同等以上であることを確認


ビデオエンジニア用PVM-740


スイッチャーのユーティリティー用のPVM-740


スローオペレーター用のPVM-740

R-ZERO中継車には33台のPVM-740を導入し、ビデオエンジニア用に20台、スローオペレーター用に基本的に6台、スイッチャーのユーティリティーモニターとして1台、持ち出し用および予備として6台を運用中です。ちなみにPVM-740については、ロケ・スタジオ用途でも10台導入予定です。

実際にこの中継車の業務を行っているスタッフからのPVM-740への評価は非常に高く、十分に満足しているようです。もちろん、個々の業務、個人の考え方で表現はいろいろですが、共通しているのは「見やすい」「疲れない」と言う点です。この「見やすく、疲れない」というのは、私たちが理想とするモニターの条件でもあります。PVM-740の高コントラスト・広ダイナミックレンジで「見やすく」、優れた動画特性で残像感もなく「疲れない」ということだと思います。特に、スポーツ中継では選手やボールを追ってカメラが速く動かされることが多くなり、さらに長時間の業務となりますから、このPVM-740の動画特性の良さをメリットとして実感できます。

自発光の有機ELパネルを使ったPVM-740の特長には、優れた黒の再現性もあげられます。当社で行った比較テストでも、液晶よりも格段に優れていることは全員の一致した評価であり、CRTと同等以上という声も少なくありませんでした。また、これは液晶モニターにも共通することですが、CRTのような外光の影響による黒の浮きや管面の反射がない点も、使用環境を問わず黒の再現性、黒の締まりなどに貢献すると思っています。フィールド用など幅広い用途で見やすく、使いやすいモニターといえます。花火や夜間の撮影と言った黒の締まりを発揮する中継業務はまだありませんが、今後大いに威力を発揮してくれるだろうと期待しています。

PVM-740の画質のクオリティーから、有機ELパネルの実力を実感。
今後のラインアップ拡充に期待。

R-ZERO中継車は8月に運用を開始して以来、サッカーの国際マッチなどのスポーツ中継、コンサート中継などにフル稼働中です。10月29日に開幕し、TBS系列で全国放送される「世界女子バレー2010」の中継にも活躍します。まだ短い期間ではありますが、PVM-740などモニターも含めて、トラブルもなく安定した運用を続けています。規模が大きく、視聴者が求める多彩な画づくり、そして大型テレビの普及にともなって求められる、一層の高画質化といった基本コンセプトを具現化することができたのではないかと思っています。

PVM-740については、前述しましたように画質に十二分に満足するとともに、機能面でもウェーブフォームモニターやVTRオペレーターなどに好評の8chオーディレベルメーター、あるいは編集室に持ち込む収録業務で不可欠のタイムコード表示など、映像制作をサポートする機能も充実しています。生放送や生プロダクションがメインとなる中継車では必要としないものもありますが、やはり搭載されていることで幅広い業務に対応できる安心感にもつながることは間違いありません

検証・比較テストを経て導入し、実際にPVM-740を使用してみて、有機ELパネルの高性能、そして今後の可能性の大きさを実感することができました。ラインアップの拡充、特にピクチャーモニターとして使用頻度の高い17型モデルが発表されること、そして一層の性能・機能の向上を期待しています。実際、これから更新時期を迎えるCRTや液晶モニターの代替えモデルとして、PVM-740は極めて有望な候補となるのではないでしょうか。

株式会社 TBSテレビ R-ZERO中継車

株式会社 TBSテレビ R-ZERO中継車

2010年8月から本格運用されている最新鋭の大型中継車。スポーツやコンサートといった規模の大きな番組に対応できるように設計されているのが大きな特長の一つになっています。オペレーション時に車体を横に広げることができる拡幅式を採用したほか、最新の放送用機器により高画質・高機能なシステムに仕上げられています。モニターのPVM-740やBVM-L170のほか、スイッチャーにMVS-8000G(4M/E)、カメラシステムにはHDC-1000R/1500Rを14台導入し、最大24台まで拡張できる仕様になっています。2010年10月29日に開幕し、TBS系列で独占放送される「世界女子バレー選手権」の中継でも活躍します。

http://www.tbs.co.jp/