法人のお客様プロフェッショナルモニター 事例紹介 株式会社 テレビ朝日 様

事例紹介

株式会社 テレビ朝日 様

放送局

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ドラマ収録を主コンセプトに更新されたスタジオ/サブのマスターモニター/ピクチャーモニターにTRIMASTER ELシリーズを採用

株式会社 テレビ朝日 様

株式会社 テレビ朝日様は、アーク放送センター内Aスタジオ/スタジオサブをドラマを中心とした収録スタジオというコンセプトで更新されました。スタジオカメラシステムに最新鋭のHDC-2000シリーズを導入し、サブのVE卓、照明卓のマスターモニターにBVM-F250を採用されました。

同社 技術局 制作技術センター 小山恭司様に、TRIMASTER ELシリーズ採用の狙いや、運用での成果などを伺いました。

本格的にドラマ収録できるスタジオを基本コンセプトに更新


小山恭司様

アーク放送センターAスタジオは、もともとニュース・情報番組などの生放送用のスタジオとして設計されたものを2003年以降は収録スタジオとして使用していました。今回の更新では、ドラマ収録をメインに、大型バラエティー番組にも対応できるスタジオをコンセプトにしました。まず、従来は別の場所にあったVE卓やラックをサブの中に入れ、スイッチャーや照明とのコミュニケーションを密にするとともに、トラブル時にも機敏に対応できるようにしました。

また、スタジオカメラシステムとして最新のHDC-2000シリーズを採用しました。ドラマの収録では、暗部の表現が重要な役割を担いますので、16ビットA/Dコンバーター搭載で高精細な映像、黒の表現を向上し、高SN比を実現したHDC-2000シリーズが最適であると判断しました。これに合わせて、暗部の階調や色を正確に確認・監視できるマスターモニターが不可欠となりますので、VE卓および照明卓にTRIMASTER ELシリーズの25型有機ELマスターモニターBVM-F250を導入しました。

視聴覚教育暗部の階調や色の確認、監視に向いたマスターモニター



VE卓のマスターモニターに採用されたBVM-F250。薄型・軽量を生かし、回転機構付きのスライド棚に設置することでより視認性を向上

今回、TRIMASTER ELシリーズを採用した最大の決め手は、やはりCRTに近い画や色の再現性、動画応答性にあります。当社では、CRTのBVM-Dシリーズと併行して、液晶マスターモニターBVM-L231を導入していますが、VEの立場から、あるいはドラマ収録の観点からしますと、液晶の黒の再現性や残像感、あるいはディテールについては正直不満が残っていました。TRIMASTER ELシリーズは、こうした難点をクリアし、ほぼCRTと遜色ないと評価しました。

また、CRTにはなかったメリットもTRIMASTER ELシリーズにはあります。非常に高コントラストで映り込みもなく、比較的明るい環境でカメラの調整などができる点などで、これはドラマ収録でも非常に魅力的であると感じました。さらに最上位のBVM-Eシリーズに加えて、放送規格に最適化したBVM-Fシリーズやピクチャーモニターがラインアップされた点も高く評価しました。実際、AスタジオではBVM-F250に加えて、フロアモニターにPVM-2541、クレーンカメラのモニターとしてPVM-740、ビューファインダーにHDVF-EL75を採用することで、ディレクター、カメラマン、照明、VEが有機ELパネル搭載のモニターを使って確認したり、コミュニケーションできる体制を整えました。

CRT BVMモードもVEの経験値を生かす上で非常に有効

VEの立場では、BVM-F250に搭載されたCRT BVMモードも魅力的な機能です。VEの多くは、BVMシリーズのCRTで経験値を積んできていますので、このモードを使うことでこれまでの経験値をそのまま生かした調整ができます。また、TRIMASTER ELシリーズは、黒の再現性でCRTを上回るものがあります。黒や暗部の階調が見えすぎるために、照明担当が照明をどんどん落とすといった現象が生じることもありました。

このCRT BVMモードを使うことで、黒や暗部についてもVEと照明で共通の認識を持つことができ、撮影・収録を効率的に行うことができます。特に、CRTから、あるいは液晶から次世代モニターである有機ELモニターへの過渡期である現段階においては、非常に有効に活用することができる機能だと思います。今後、ポストプロダクションを含めて有機ELモニターがさらに幅広く普及し、スタンダードになればこうした機能は不要になるのかもしれません。


フロアモニターにPVM-2541(写真・左)、クレーンカメラのモニターとしてPVM-740(写真・中央)、7.4型有機ELカラービューファインダーHDVF-EL75(写真・右)も運用中

更新や新規導入の際にはTRIMASTER ELシリーズを検討へ

すでに2012年4月から、Aスタジオでドラマ収録を開始しました。TRIMASTER ELシリーズは、VEをはじめとしたスタッフにも好評です。マスターモニターに求められる測定器、基準器としての機能を有効に活用できている結果だと思っています。VE、照明、カメラマンなどスタッフが同じ有機ELの画を介してコミュニケーションがとれることで、画質管理のみならず、効率的なドラマ制作にも寄与しているのではないかと思っています。

また、ここでの実績、経験から有機ELモニターを使った画や色の管理といったノウハウを蓄積していきたいと思っています。今後、放送用モニターのCRTや液晶からの更新に際しては、TRIMASTER ELシリーズが有力候補になるのは間違いないと思いますので、そのノウハウは有効に生かせるのではないかと期待しています。ラインアップの拡充など、TRIMASTER ELシリーズの一層の進化・発展に期待しています。

テレビ朝日アーク放送センターAスタジオ

テレビ朝日アーク放送センターAスタジオ

アーク放送センターは、テレビ朝日本社の六本木ヒルズ移転に伴い、アークヒルズ内に設けられた3つのスタジオを持つ放送センター。Aスタジオ(190坪)は、かつて「ニュースステーション」や「やじうまワイド」などの生放送を主体とした運用でしたが、今回の更新により、ドラマなどの収録スタジオとしての機能を充実したスタジオとして生まれ変わりました。Aスタジオの更新は、同社のHD対応スタジオで初の更新ともなっています。

http://www.tv-asahi.co.jp/ (株式会社テレビ朝日)