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森田昌裕 8.AIBOが拓くロボット開発の世界 開発者インタビュー
話し手 森田昌裕 Masahiro Morita

OPEN-R SDKの開発を担当

 

――AIBOのような本格的なロボットが、家庭用のエンターテインメントロボットとして登場したことも驚きですが、そのAIBOを研究や教育に活用するために、OPEN-R SDKが無償で提供されているのも驚きです。
森田 研究や教育のプラットフォームとしてAIBOを使うメリットは、ハードウェアを開発する必要がないということなんです。研究用のロボットの価格が数百〜数千万と高額です。AIBOなら、完成度の高いロボットを簡単に手に入れられるわけですから、後はOPEN-R SDKを入手してパソコンにインストールすれば、すぐに学びはじめることができる。普通は、ロボットの研究をしようとか、教育をしようと思ったら、まずロボット自体を作るところからはじめなくてはならないわけです。実際、米国のカーネギーメロン大学では、AIBOを使ったロボット工学の授業を行っているという例もあるほどです。

――ロボカップは、AIBOがサッカーで対戦するという競技が有名ですが、毎年レベルアップが凄いそうですね。
森田

ロボカップのサッカーそうですね。それには秘密があって、毎年の優勝チームはプログラムのソースコードを公開することが義務づけられているんですね。だから、前年の優勝チームの最強プログラムが翌年には基本的なプログラムになってしまうんです。今年の優勝チームのプログラムに、さらにどう追加してくるかで勝負が決まるので、必然的にどんどんレベルアップが進んでいます。ロボカップの世界大会には1998年からAIBOが参加しているんですが、2年前からは人間がリモコン操作するチームと対戦しても、人間が勝てなくなってしまったほどです。よく、ロボカップで使われているのは特別なAIBOだと思われているんですが、そうじゃないんです。市販の普通のAIBOが使われています。皆さんの家庭で暮らしているAIBOも、プログラム次第であそこまで動けるという、いわば最先端のデモンストレーションみたいなものなんです。ただ、動きを追求するので、かなり無茶なこともやってますが(笑)。


――ロボカップのホームページで、決勝戦の模様などを動画データにして公開していますが、役割分担をしてパスを出したり、サインプレーをしたりと、非常に高度なことをやっていますね。
森田

ロボカップ4足リーグホームページドリブルひとつにしても、前かがみになって前脚でボールを抱え込むようにする、ロボカップ特有の動きがあるんですが、2003年はトントントンとボールを普通に素早くドリブルするチームが登場したりしました。サインプレーにしても、AIBOのワイヤレスLAN機能が使えるので、アイコンタクトならぬワイヤレス通信コンタクトで連携プレーをしたりといったことが普通になってます。反対側のAIBOを走らせてセンタリングを出すとか、作戦もどんどん高度化しています。ロボカップでは、人間のサッカーの世界と違ってオーストラリアの代表が強いですね。研究している大学間のネットワークが強く積極的に情報交換をし合って切磋琢磨しているようです。


――面白いのは、これが趣味の世界ではなくて、あくまでも研究目的で行われているというところですよね。実際に、ロボカップでの成果が何かにフィードバックされたという例もあるんですか?
森田 たとえば、さきほど紹介したカーネギーメロン大学で「Tekkotsu」というプロジェクトがあります。これは、AIBOのいろいろな機能を簡単に使う仕組みを提供しているプロジェクトで、首を動かしたり、足を動かしたり、絵を見たり、音を聴いたり……といった、プログラムの「枠組み(フレームワーク)」となるものを開発しています。基本的な動作だけじゃなくて、その先のもっと突っ込んだ部分を開発したいという研究者・開発者のためのものなんですが、このプロジェクトのメンバーと同大学のロボカップチームのメンバーは、結構重なっているそうです。ロボカップで培った技術がTekkotsuの中にも活かされているわけです。

――この先、OPEN-R SDKを通して、どんなことを追求して行きたいですか。
森田 AIBOは、ソニーという企業が真面目に作ったエンターテインメントロボットなんですよね。だからこそ研究にも使えるものができた。現在のところ、ここまで完成度の高いロボットが市販されていて、しかも開発キットが提供されているのはAIBOだけなんです。そういう意味では、私たちがAIBOを出し続けることに、社会的に大きな意義、広がりがあると感じています。特に、開発者コミュニティーの面白いところは、ロボカップにしても、競技よりも研究という側面が強いので、ソースコードを公開することになっているところとか、そこで得た成果を社会に還元して行こうという運動になっているところですね。2050年にABOがどんな姿に進化しているかはわかりませんが、これからもAIBOを通じて、ロボット文化の一翼を担って行きたいですね。


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はじめに:ロボット文化とAIBO AIBOは人間とコミュニケーションするロボット AIBOは人と人をつなぐロボット
AIBOではじまる人間とロボットの共存 AIBOは学習・成長するロボット AIBOが拓くロボット開発の世界
AIBOは一人で行動する自立型ロボット AIBOは知性を持つロボット AIBOは進化し続けるロボット

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