株式会社テレビユー福島（TUF）様は福島県内にネットワークを持つ民放局です。このたび、1インチビデオテープで収録されている紀行や歴史、お祭りなどの番組（330巻）をXDCAMフォーマットへ変換するサービスをご利用いただきました。 今回は、技術局技術部 兼 編成局メディア推進部　小檜山利将（こびやまとしまさ）様にお話を伺いました。 http://www.tuf.co.jp/ -メディア変換を行うきっかけ、背景について教えてください 番組を収録した1インチのビデオテープが330巻残っており、当社にはすでに再生できる環境が無いなか、これをなんとか後世に残していきたいと考えていました。このことがきっかけとなりライブラリーをどのように構築していくかについて、サーバーの活用、記録メディアでの棚保管の両面から検討を行ってきました。 サーバーは常時電源を投入しておかなければならない点から保守費用が嵩みトータルコストが高くつき、また容量にも制約が出てくることから、結局、記録メディアで残していくことに決めました。 記録メディアのフォーマットについては、収録〜編集〜送出〜アーカイブにいたるまで、できるだけ運用に統一性を図りたいということとアフターメンテナンスのことを考慮し、メーカーを統一したいと考えていました。すでに取材用カメラにXDCAM、ノンリニア編集機にXPRI、送出用VTRにHDCAMを採用していたことから、できればアーカイブもソニーさんで、ということになり、最終的にHDCAMとXDCAMの二者択一となりました。 最終的にディスクはテープに較べ省スペース化を図ることができ、またメディアとしての信頼性が高く保存性が高いXDCAMを採用することにしました。中でも決め手となったのはXDCAMにはメタデータが入るということ、HDCAMに比べ変換のコストが安価な点でした。 -実際にメディア変換した結果はいかがでしたか？ これまでテープ倉庫はラックに入りきらないテープで溢れかえっていました。 特に1インチビデオテープが大きなスペースを割いていました。テープ倉庫を拡張することは物理的に難しく、ライブラリーメディアを選定する際、スペース効率が高いことはたいへん重要なことでした。今回1インチ⇒XDCAMに変換したことにより保管に必要なスペースが大幅に改善され（体積比で約1/16）、テープ倉庫もだいぶスッキリしてきました。 全ての映像を見たわけではありませんが、変換後の映像にノイズが入ることもなく、期待していた以上の画質で満足しています。当時の様子がリアルに伝わってきます。 また、変換作業については素材を送るタイミングなど、その都度細かく連絡をいただきましたので予定どおりのスケジュールで進みました。緊急で報道中継現場へ駆けつけなければならないこともあり、フレキシブルに対応いただけたのは助かりました。 XDCAMケースのラベルレイアウトについては、当社の要望を取りいれていただきました。お蔭様でこれまでのテープ素材のラベルレイアウトとの関連も良く判り易いものができました。 -メタデータが採用のきっかけとなったとのことですが？ 今後メタデータの整備に力を入れていきたいと考えています。すでにテープ管理委員会が発足し過去のテープ素材の整理を始めています。専属の担当者がアサインされ、順次テープの内容を確認し、基本情報の整備や残す素材の選別を行っています。メタデータについては、今後きちんと整備を図りアーカイブシステムに繋げていきたいと考えています。 -変換後の素材活用のご予定は？ 今回、変換いただいた素材で地方の伝統行事の特集番組を一本制作しました。今後は、会社設立の周年記念行事の際に過去を振り返る番組の制作を予定しています。その際に今回変換した素材の活用についてアイデアを出していきたいと思っています。これまでは素材として使えないテープが単に倉庫にあっただけでしたが、すでに使えるメディアとして整い、今後はいかようにも活用ができる状態になったのは大きいと考えています。 今後の課題として、未だUマチックが百本程度残っているので、その変換を検討していきたいと思います。 -最後に一言 自分たちで変換をすることも考えましたが、現実的には人員も少なく、画質のクオリティを保ちながら変換するのは難しい状況です。今回このようにノイズもなく非常にきれいな形で変換いただけたので本当に助かりました。 本日は、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。