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正ちゃんの即効!カメラテクニック講座

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色再現で失敗しない"ホワイトバランス"のテクニック
正ちゃん 撮影する映像の色味を、目で見た実際の色に近づけるポイントはホワイトバランスの設定・調整にあります。
ビデオカメラにはいくつかのホワイトバランス設定機能があり、さらにDVCAMカムコーダー DSR-450WSLなどのカメラには好みの色を作るための調整機能もあります。
これらの特長をつかみ、使いこなすことが大切です。

撮影した時の独特の色が、無くなってしまいました!

おやおや?タクが再生映像を見て悩んでいます。どうしたのでしょう?
タク 見てください、早起きして明け方の清々しいイメージと、夕方まで待って夕焼けの暖かいイメージを撮影したんですが、両方とも日中の普通の色味になってしまいました。それぞれの雰囲気ある映像を撮るにはどうしたら良いのですか。
明け方の撮影で、青っぽくなるはずの映像が普通になってしまった。
明け方の撮影で、青っぽくなるはずの映像が普通になってしまった
夕焼けの時の撮影で、赤っぽくなるはずの映像が普通になってしまった。
夕焼けの時の撮影で、赤っぽくなるはずの映像が普通になってしまった
正ちゃん タクはホワイトバランスの設定を"オートホワイトバランス"*で撮影したようだね。オートホワイトバランスは、白い物を白く撮影するよう色のバランスをカメラが自動で整える機能なんだ。
でも、タクが撮りたかった場面でこの機能を使ってしまうと、朝焼けの青さや夕焼けの赤い色味も抑えられてしまい、白を基準とした映像になるんだよ。
つまり原因は、描きたいイメージに適したホワイトバランスを使わなかったことにあるんだ。

この機会にホワイトバランスに関してその基本を教えよう。ホワイトバランス設定には次の4つの種類があることは知っているかな。
*:カムコーダーの種類により機能名が異なります。

ホワイトバランスの種類

オートホワイトバランス
広角での撮影時など、画面内の被写体の色に偏りが少ない場合は、かなり正確なホワイトバランスが得られるんだ。*
しかし、画面内の被写体の色に偏りがある場合(ズームアップ時に多い)、正確に取れないこともあるので注意が必要。
色の再現性を大切にする場合は、ワンプッシュホワイトバランスでの撮影が良いでしょう。

*

オートホワイトバランスの基本原理:
画面にある色全体を分析し、その平均値がグレー(無彩色)になるようR-GAIN、B-GAINを自動でコントロールします。また、光の色(色温度)と被写体の色を考慮するために、黒体放射カーブ上の色を光の色と認識するようプログラムされています。したがって、被写体の色が偏っていると、ホワイトバランスの精度が落ちてしまう場合があります。
広角の映像は、色の偏リが少ない。
広角の映像は色の偏リが少ない ズームアップの映像は色が偏ることがある
ワンプッシュホワイトバランス
色合いの基準となる"白色"をカメラに強制的に覚えさせる機能のことで、操作方法は、基準とする白い被写体を写し、ホワイトバランススイッチを押せばOK。
メリットは、正確なホワイトバランスが取れること。しかし、光源(色温度)が変化する度に取り直す必要があるんだ。
同じ光源下では、常に同一の色再現が得られる。
撮影場所の光源でホワイトバランスを取る 同じ光源下では、常に同一の色再現が得られる
光源が変わったため、正しい色再現が得られない。
光源が変わったため、正しい色再現が得られない。
 
屋外の光源でホワイトバランスを取り直した映像。
屋外の光源でホワイトバランスを取り直した映像。
プリセットホワイトバランス
夕焼けの撮影や舞台など照明条件が変化する場合など、光源の色でホワイトバランスが取れない時や、その光の色合いをそのまま収録したい場合などに使用します。
HDVカムコーダーHVR-Z1Jでは、"屋外モード"を15段階で設定でき、たとえば夕焼けをもっと夕焼けらしく描写したいなど、狙ったイメージに合わせて値を選択することができるから、一度は使ってもらいたい機能なんだ。
※DSR-450WSLではプリセットの色温度を幅広く可変でき、さらに細かく調整できるようになっています。*

*

DVCAMカムコーダーDSR-450WSLのプリセットホワイトバランスは、工場出荷時はハロゲンランプを多用するスタジオを想定した色温度3200Kに設定されていますが、このプリセット値を2900Kなど任意の値に割り当てることもできます。これはハロゲンランプでも電源電圧によって色温度が変化したり、さまざまな照明条件への対応の幅を持たせるためです。
マニュアルホワイトバランス
DSR-450WSLに装備されている機能で、好みの色を自分で作り出すことができます。(実際にはR-GAIN、B-GAINなどの調整を手動で行う)
さらにホワイトバランスオフセット機能を使うと、ホワイトバランスを取った後に色をコントロールし、より好みのイメージに近づけることも可能なんだ。
DSR-450WSLのメニュー画面 R-GAIN、B-GAINの項目
DSR-450WSLのメニュー画面
R-GAIN、B-GAINの項目
DSR-450WSLのホワイトバランスオフセット画面
DSR-450WSLのホワイトバランスオフセット画面
正ちゃん 以上の説明でわかるように、ホワイトバランス設定の基本は"ワンプッシュホワイトバランス"だけど、光の色を表現したい場合は"プリセットホワイトバランス"、またスナップ的に撮影したい場合は"オートホワイトバランス"が便利ということだね。

下の映像は、タクがプリセットホワイトバランスの"屋外"に設定して撮影した場合の映像だよ。撮影場所は屋内だけれども、外光が光源の撮影だから屋外の設定を選ぶんだよ。
DSR-450のメニュー画面 R-GAIN、B-GAINの項目
明け方のイメージが伝わる
DSR-450のホワイトバランスオフセット画面
夕焼けのイメージが伝わる
タク ホワイトバランスの使いこなし、よくわかりました。
僕の場合はオートホワイトバランスの設定だったので、明け方や夕焼けのような、被写体の色に偏りがあるシーンでも白を作るように働いてしまったんですね。

ホワイトバランスの取り方<コツ&応用>

正ちゃん おっ、わかってきたな。それでは一歩先行くノウハウを紹介しよう。
ワンプッシュホワイトバランス機能を使用して、正確なホワイトバランスを取るためのちょっとしたノウハウだよ。

まず、オートアイリスモードで白い紙(ノートなど)を画面いっぱいに写して、輝度レベルを適正にする。ホワイトバランスを正確に取るときは、白い被写体の明るさが適正であることが重要なんだ。
撮影現場の照明(色温度)で、開いたノートを写します。
撮影現場の照明(色温度)で、開いたノートを写す
白い紙が画面いっぱいにならない場合は、ビューファインダーにゼブラ信号(70%)を表示する設定にして、基準となる白い紙にゼブラが出るようアイリス(絞り)を調整すれば、適正な露出となって、ホワイトバランスが正確に取れるんだよ。
ただ、この時に注意することは画面の白(この場合はノート)以外の被写体に、ノートの白より明るいものが映っていないことが大切だ。
ゼブラは70%に設定します。
ゼブラは70%に設定する
ノートだけにゼブラ信号が出るよう、アイリスを調整します。
ノートだけにゼブラ信号が出るよう、アイリスを調整する
さらに、意図的にホワイトバランスを崩して色調を変化させたイメージ映像を狙う場合は、白いノートの代りに折り紙などの色紙を使ってワンプッシュホワイトバランスを取れば良いんだ。
ホワイトバランス
色紙の"黄色"でホワイトバランスをとった場合、このような色調の映像になります。
色紙の"黄色"でホワイトバランスを取った場合
色紙が手元に無い場合は、異なる色の被写体をフォーカスをぼかして写し、色を混ぜるテクニックで色紙の代役とすることもできるよ。
被写体の色を
クローズアップ
  ピントをぼかす   色合いを平均的にする   ホワイトバランスを取る   色調を変えた映像
映像の色調や色再現の基準はホワイトバランスにあるんだ。ある程度色にこだわった撮影をする場合は、ワンプッシュホワイトバランスを中心に撮影したほうがいいね。
それから、ホワイトバランスを取る際に基準の白とする被写体は、テーブルクロスや発泡スチロールなどは使わないほうがいい。ノートなどの紙の白の方が反射も染色も少なくていいんだ。
正ちゃん
次回 『カメラテクニック講座』撮影編の初回はいかがでしたでしょうか。
次回は設定編として"フリッカー"をテーマとした講座です。どうぞ、お楽しみに。
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