映像制作機材
カメラ機能活用集
「カメラ機能活用集」トップへ戻る
第2回 明るい環境で鮮やかな色合いをリアルに表現する
■はじめに
  設定前 [拡大画像]
  設定後 [拡大画像]
スポットライトがあたった花束などを撮影する場合、明るい部分がつぶれて見える"白つぶれ"が起こる場合があります。被写体の明るさ(輝度)をカメラのダイナミックレンジ(処理できる輝度の範囲)に収めるためにKNEE(ニー)機能を使って信号を圧縮することによって、これを防ぐことができます。
ただし、このとき被写体の色合いも同時に圧縮されてしまうため、映像の色合いが薄く見えることがあります。例えば、右の"設定前"の映像の白い部分は"白つぶれ"なく再現されていますが、色のある部分では実際の色より薄くなっています。
このようなとき、輝度と同時に圧縮される信号を調整することによって、花束をリアルに表現することができます。
■ソニーのカメラの特長

ソニーのカメラには、被写体の色合いをよりリアルに表現するための機能のひとつとして、KNEE SATURATION(ニーサチュレーション)機能が搭載されています。この機能を使うと、被写体の明るいイメージを損なうことなく、鮮やかな色合いを表現することができます。ニーサチュレーションのレベルを高く調整すると映像に付加される色の度合いが多くくなり、低く調整すると少なくなります。スポットライトがあたっている花束の場合では、"設定後"のようにレベルを高く調整すると、リアルな色合いが表現された映像になります。
この効果は、ウェディングドレスなどの明るく淡い色合いの被写体を撮影するときにも便利です。

KNEE SATURATION 機能が搭載されている主なソニーのカメラ
DSR-450/400 シリーズ、PDW-530/510、
DVW-970シリーズ、MSW-970

■カメラの設定方法
KNEE SATURATION(ニーサチュレーション)は、PAINT メニューのKNEEページで調整・設定することができます。

1)PAINT メニューのKNEE を開きます。
2)KNEE SATURATION を ON(デフォルト)に設定します。
3)KNEE SAT LEVEL を-99 から+99の範囲で設定します。

-側に設定すると色が濃くなる度合いが少なくなって薄い映像になり、+側に設定すると色が濃くなる度合いが多くなって、より鮮やかな映像になります。"設定後"の映像では、28に設定されています。


設定値はDSR-450WSL の場合です。お使いの機種やライティング環境によっては同じ設定でも映像の色合いなどが変わることがありますので、必ず映像を確認しながら設定を行ってください。
各カメラに付属の取扱説明書などもあわせてご覧ください。
■技術情報
KNEE SATURATION(ニーサチュレーション)とは
KNEE機能がONのとき、カメラに入力された信号はKNEE回路で圧縮されます。このとき、輝度(Y)信号が圧縮されるだけでなく、色差信号(R-Y、B-Y)も圧縮されてレベルが下がるため、映像の色合いが充分に表現されないことがあります。このような場合に映像の色合いを保つための機能がKNEE SATURATION(ニーサチュレーション)です。KNEE SATURATIONをONにすると、圧縮される前の色差信号(R-Y、B-Y)がKNEE SATURATIONの回路に入り、その後KNEE機能で圧縮された信号に重なって、最終的に映像が出力されます。
ソニーのカメラでは、KNEE回路で圧縮された信号に重ねる補正信号の鮮やかさの度合い(KNEE SAT LEVEL)を-99から+99の範囲で調整することができます。


KNEE(ニー)とは: 被写体の明るさ(輝度)を最大限にカメラのダイナミックレンジ(処理できる輝度の範囲)に収めるために、あるレベル以上の輝度の信号を圧縮する機能です。