映像制作機材 | HDCAM
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財団法人 日本相撲協会 様
 
東京・両国の国技館  
財団法人 日本相撲協会様では、年間6場所開催される大相撲本場所の幕内全取組を撮影し、民放各局やCS局、海外のテレビ局などに提供するとともに、貴重な資料映像として保存されています。2005年9月に初めてのハイビジョン撮影用カメラとしてHDCAMカムコーダーHDW-730を導入し、9月場所はテスト撮影、11月場所から取組のハイビジョン撮影を開始されました。
財団法人 日本相撲協会 情報資料管理室・映像制作グループ
財団法人 日本相撲協会様は、日本の国技である大相撲を管轄する公益法人。年間6場所の本場所運営で知られますが、大相撲の歴史や文化の研究にも力を注いでおり、過去の取組を記録した資料や映像が保存されています。情報資料管理室のフィルムライブラリーには、戦前のものこそ戦災でほとんどが焼失しましたが、いまなお1200時間にも及ぶ貴重なフィルム映像が保存されています。また映像制作のプロ集団である同室 映像制作グループが独自に撮影・制作を行っている点も大きな特長で、映像制作の専門家組織を持つのは国内の各種競技団体・組織のなかでも日本相撲協会だけです。
http://www.sumo.or.jp/
 
  財団法人 日本相撲協会 情報管理室
映像制作グループ 
室長代理 宇田川 博 様
ブルガリア出身の琴欧州に続き、モンゴル出身の白鵬も大関に昇進するなど、大相撲が話題になることが増えるにしたがい、テレビで熱戦の模様を観戦する機会が増えてきました。こうした民放テレビやCS局、さらには海外のテレビ局で放送される取組の映像を撮影しているのは、日本相撲協会の情報資料管理室・映像制作グループです。


情報資料管理室 室長代理 宇田川 博様に、同部門の役割と業務を伺いました。
「主な業務の一つは、本場所における取組を記録して保存することです。協会では戦前・戦後のフィルムの時代から取組を撮影して保存してきました。その後1980年代からは記録メディアがフィルムからビデオに変わりましたが、現在も変わりなく続いています。もう一つは、撮影した取組の映像を配信することです。フィルムの時代には映画作品として、現在は主に民放テレビ局などに映像素材として提供しています。その撮影を行っているのが、映像制作グループです。」
 
本場所全取組の撮影を行うハイビジョンカメラとして初めて採用されたHDCAMカムコーダーHDW-730  
2005年9月、映像制作グループに初めてのハイビジョンカメラ、HDCAMカムコーダーHDW-730が配備され、9月場所から取組の撮影に使われています。今回のHDCAM導入の目的は、本格化するハイビジョン放送時代への対応にあると宇田川様はおっしゃっています。
「東京・大阪・名古屋地区では2004年から地上デジタル放送がスタートしており、2006年中には全国でスタートします。ハイビジョン放送時代がいよいよ本格化するわけで、これからはテレビ局に提供する映像もハイビジョン化していく必要があります。それと今後、保存していく映像のハイビジョン化も検討しなければなりません。今回のHDCAM導入は、こうした方針に基づくハイビジョン施策の第1弾目ということになります。」


ご存知のように地上デジタル放送にはデータ放送や、携帯電話でテレビが楽しめるワンセグなど新しい放送サービスがたくさんありますが、最も大きな魅力はやはりハイビジョン放送にあります。16:9の映画のような画角で、走査線数が1080本、現在のテレビ放送の2倍以上の高精細な映像を家庭で気軽に楽しむことができます。すでに大相撲のハイビジョン放送をご覧になって、その高画質で迫力のある映像や臨場感を楽しんでいる方が少なくないかもしれませんが、今後は全国の民放テレビでも、HDW-730で撮影したハイビジョン映像を気軽に楽しめる時代になるというわけです。
 
資料として保存するための編集が行われる編集室  
 
編集室に配備されたHDCAMレコーダーHDW-S2000
HDCAMの記録・再生のほか、ベータカムなど1/2インチテープの再生機能を持ち、過去の貴重なベータカム映像を有効に活用することができます。
 
ハイビジョン化の第1弾としてHDCAMを採用された理由について、宇田川様はテレビ局における普及度をあげておられます。HDCAMが放送用HD VTRフォーマットのデファクトスタンダードとなっている点を評価されたことになります。
「HDCAMなら、どのテレビ局にも機器があり、問題なく使えることが採用の最大の決め手といえます。また従来の放送用VTRのスタンダードとなっているベータカムSPと同じ1/2インチフォーマットを継承していて、再生互換があるなど使いやすく、便利です。」


HDW-730は本場所中、メインカメラとして正面の位置にセットされ、十両の好取組や幕内全取組の撮影を行っています。ハイビジョンで記録するほかに、ダウンコンバート出力を使って現行のアナログ方式でも複数台のVTRに記録されます。協会が選ぶ「今日の一番」のほか、契約する各テレビ局などに素材を提供する必要があるからです。テレビ局に提供する映像は、まだダウンコンバート出力を使いアナログ方式で記録された素材ですが、宇田川様はそれでも画質はきれいになったと評価されています。
「カメラのハイスペックのおかげで、ダウンコンバートした映像でも非常に高画質になったと思います。素材を渡しているテレビ局からも、同様の評価をいただいています。今後、テレビ局へのハイビジョン納品フォーマットがHDCAMに決定すれば、ハイビジョン素材をそのまま提供することができます。」


撮影した映像は、協会の映像資料としても保存されることになります。「ハイビジョンと現行方式の両方で1日ごとに記録映像として編集します。本場所15日間で約24時間になります。」東京両国・国技館だけでなく、名古屋・大阪・福岡で開催される地方場所でも同様の撮影が行われるため、HDW-730やポータブルHDCAM VTR HDW-S280、液晶モニターLUMAなどを持って映像制作グループのスタッフが撮影に出かけています。
ハイビジョンは自然の美しさを撮影する時だけでなく、スポーツの中継にも威力を発揮する放送と言われています。背番号や選手の表情まで映し出す高精細さと臨場感がハイビジョンにはあるからです。大相撲をHDCAMで撮影した成果として、宇田川様もやはり同様の感想を持たれたようです。
「やはり、現行方式の2倍以上の高密度な映像は大相撲でも魅力です。対戦する力士だけでなく、周囲の観客の表情もクッキリと映っており、臨場感が出ていると思います。丸い土俵で闘う力士が主役なので、16:9の画角での画づくりにはそれなりの難しさがありますが、見慣れてくれば問題はないと思います。」


また、HDW-730については高画質であることのほかに、機能面も好評です。宇田川様は、撮影開始時点の約7秒前から記録できるループレック機能を例にあげて、その魅力の一端を語っておられます。「撮影した映像を編集するときにプリロールの部分が必要になります。ところがカメラマンは、取組が始まる瞬間から撮る傾向にあるため、プリロールの部分を確保できるこの機能は大変に便利です。」


現行のアナログ放送は、2011年7月24日に中止となり、デジタル放送だけになります。現在、HDW-730のほかに現行方式のカメラ3台を運用中ですが、今後も徐々にハイビジョンカメラに更新していく計画で、2010年までには、すべてのカメラをハイビジョンカメラにしたいと宇田川様はおっしゃっています。記録・保存用として資料映像のハイビジョン化も今後の検討課題の一つとなっているようです。
「100年、200年と残していかなければならない映像なので、できればハイビジョン化したいとは思っていますが、予算や保管スペースの問題があり、簡単なことではありません。でも、今回のHDCAM導入でハイビジョンでの撮影、記録はスタートできましたので、いずれそうなった場合でも素材は確保できていることになります。」


HDCAMでスタートした大相撲の本格的なハイビジョン映像時代。今後の本場所での取組観戦がますます楽しみになってきました。
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