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映画制作「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」(本広克行監督作品)
デジタルシネマカメラF35により全編24p/RGB 4:4:4で撮影されたメガヒットムービーシリーズ第3弾がいよいよ全国ロードショー
 
  2010年7月3日 全国ロードショー
配給:東宝 (C) 2010 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー
2003年に公開され、日本実写映画興行史上歴代1位を記録した大ヒット映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」から7年、劇場版第3弾となる「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」(監督・本広克行、脚本・君塚良一、出演・織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里、ユースケ・サンタマリア、ほか)が2010年7月3日から全国東宝系で公開されます。
この作品は、デジタルシネマカメラF35とHDCAM-SRポータブルレコーダーSRW-1により全編を24p/RGB 4:4:4で撮影されています。制作に携わった、株式会社ロボット コンテンツ事業部 映画部 プロデューサー 村上公一様、株式会社バスク 制作技術センター 技術専任部 部長 川越一成様、同社 制作技術センター 映像技術部 岡村亮様に、撮影にF35/SRW-1を採用した狙いや、実際に撮影に使用してみた評価と成果、映画制作における可能性などについてお話を伺いました。

映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」の公式サイトはこちら
http://www.odoru.com/
「日本映画最高の話題作を、最新・最高のテクノロジーを使って撮りたい」という思いからデジタルシネマカメラF35を採用

――今回の作品の企画意図や制作に至る経緯、見どころなどをご紹介ください。

村上この作品は「踊る大捜査線」シリーズ第3弾となります。2003年の劇場版第2弾以来、7年ぶりとなります。
今回は東京湾岸署の「引っ越し」が作品のモチーフとなっています。人が動く、物が動く、車が動く。そのドサクサの中で事件が起こる、しかも8つ同時に発生する。さらに青島が逮捕した者の解放要求が届く・・と。2年ぐらいかけていろいろなアイデアを紡ぎだしていく中で、劇場版の魅力である物量、事件多発、群像劇など、「踊る大捜査線」シリーズらしい、おもしろい映画ができると判断し、制作が決定しました。テレビシリーズからのファンの方々はもちろんですが、新旧豪華キャストそれぞれの魅力と映画の内容で、初めて観る人にも十二分に楽しんでもらえる作品に仕上げることができたと思っています。ぜひ、大勢の方々に劇場へ足を運んでもらい、「踊る大捜査線」シリーズならではの世界を満喫していただきたいと思っています。

――撮影にデジタルシネマカメラF35とHDCAM-SRポータブルレコーダーSRW-1を採用された狙いは何でしょう。

村上本広監督の作品制作には、「おもしろい映画づくり」というメインテーマとともに、「新しいテクノロジーへのチャレンジ」というサブテーマがあります。2003年の「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」はCineAlta HDW-F900によるHDCAM 24pで、2005年の「交渉人 真下正義」はHDW-F900とSRW-1によるHDCAM-SR 4:2:2で、2006年の「UDON」はほぼ全編をCineAlta HDC-F950とSRW-1によるRGB 4:4:4といったように、つねにその時代の最先端のテクノロジーを採用して撮影しています。 では、今回の作品は何で撮るか、と考えた時に、個人的に真っ先に思い浮かんだのがデジタルシネマカメラF35でした。撮影を担当された川越さんも同様のお考えでしたから、割とスムーズに決定しました。最高の話題作を、最高のテクノロジーと予算を使って撮りたいという思いはスタッフ共通だった、ということでしょう 。

川越僕自身はテレビドラマ制作を数多く手がけてきていますが、いまデジタルシネマという観点、つまりビデオで映画を撮る上で最高のカメラの一つがF35であることは間違いありません。スーパー35mm相当の単板CCDなど最新のテクノロジーがもたらすクオリティーの高さは誰もが認めるところでしょう。ただ、今回F35を推奨した理由は、このクオリティーの高さだけでなく、ビデオエンジニアが参加することで現場での追い込みが可能になること、そして撮影後の仕上げを含めたトータルワークフローでのF35の優位性を評価した結果でもあります。データ収録というだけなら、ほかのカメラを使うことも考えられますし、実際にテストもしてみました。ところが、ワークフローに違いがあるわけです。私たちが求める作品世界を追求するには、データ収録の場合、撮影や仕上げの時間がかかり過ぎると判断しました。F35はポストプロダクション作業を含めた使い勝手の良さという観点でも、ハイエンドの分野で群を抜いた存在だと思います。

村上ワークフローも確かにF35採用の決め手の一つですね。今回の作品はクランクインから公開日までの日程が予め決まっていたので、ポストプロダクション工程の時間がかなり制限されていました。使い慣れたワークフローを踏襲できるF35でなければ、公開に間に合わないといった状況に陥ってしまったかもしれません。

   
株式会社ロボット コンテンツ事業部
映画部 プロデューサー 村上 公一様
  株式会社バスク 制作技術センター
技術専任部 部長 川越 一成様
  株式会社バスク 制作技術センター
映像技術部 岡村 亮様
800%に拡大できるダイナミックレンジなどF35の特長をフルに活用できる設定で撮影

――基本的な撮影スタイル、レンズ、各種設定についてお話いただけますか。

川越日頃ドラマ制作で行っているスタイルで撮影しました。カメラとVTRは光ケーブルアダプターCA-F101で結んで分離運用し、収録・調整はベース側でビデオエンジニアが行い、監督やスタッフがモニタリングできる環境を整えました。撮影した画や映像を共有することで、監督の意向を反映でき、スタッフ皆が一丸となって求める色や画づくりができるという意味で一番良い方法だったと思いますし、撮影後の処理を含めた効率的なワークフローにも貢献したと思います。レンズはフジノン製35mmPLマウントズームレンズをベースにしました。画のキレも良く、F35のクオリティーを活かせるレンズだと思います。

岡村必然的ではありますが、撮影モードはカスタムモードです。ガンマについては、S-Logに対する関心もあったのですが、今回はやはり仕上げの効率化も考えてユーザーガンマを使用しました。F35の最大の特長でもある800%に拡大できるダイナミックレンジをフルに発揮できるようなガンマカーブを作りました。シーンやシチュエーションに合わせて選べるようにガンマカーブを3個ほど作り、状況に合わせて微調整しながら撮影しました。結果的に、事前にガンマカーブを用意したことで撮影は比較的スムーズに進められたのではないかと思います。色域モードについても、ワイドモードのS-Gamutもありますが、S-Logと同様、モニタリングや仕上げの観点から今回は使い慣れたF900モードを選んでいます。

――RGB 4:4:4で撮影されたのは、CG合成シーンが多かったからですか。

村上CG合成は100カットぐらいありました。ですから、CG部からはグリーンバックは必ずRGB 4:4:4で撮影して欲しいという要望がありました。ただ、今回はCG合成シーンだけでなく、全編をRGB 4:4:4で撮影しています。「UDON」の時もそうでしたが、幅広い情報量をキャプチャーできる点は自然や街の風景、あるいはスタジオ撮影でも活きてくるためです。

 
デジタルシネマカメラF35で撮影中の本広克行監督(写真・右)と川越一成様(写真・左)   「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」の1シーン
フィルムカメラと同様の被写界深度、ダイナミックレンジの広さなどが表現に大きく貢献

――フィルムカメラとほぼ同等の被写界深度、ダイナミックレンジなど、F35の特長が今回の作品でフルに発揮されたシーンを具体的にあげていただけますか。

川越はじめに村上さんから、この作品の魅力の一つとして群像劇が挙げられましたが、そういったシーンで特に威力を発揮してくれたと思います。大勢の人を見せる時のパンフォーカスでも画が硬くなることはありませんし、逆に長玉である人物にフィーチャーしたいときなどには、ボケ味の付いた、きれいな映像でそれを表現できました。ワイドな画でも、タイトな画でもこちらが見せたい映像を素直に表現してくれます。

岡村どのシーンというより全体について言えることですが、800%まで拡大できるダイナミックレンジの魅力を実感しました。特にセット撮影で大量の照明をバックにした時にも白飛びが抑えられますから、画づくりでかなり追い込んでいける点などは大きな魅力です。

村上刑事課のセット撮影でそれは感じました。最初見た時は照明が結構ギラギラしていて嫌だなと思っていたのですが、撮った画を見ると非常にきれいになっているんです。それでセットの外を見ていると本当に大量の照明が使われていました。あれでも飛ばないで、きれいに撮れるというのはF35ならではの魅力です。あと、色の調整についてもかなりのことができるような印象を持ちました。本広監督は、現場で細かいことはあまり言わないのですが、”青島コート”の色については細かく注文を出していました。衣装部との共同作業ですが、この辺りもF35の特長が生きていたのではないでしょうか。

岡村確かに色の調整範囲が広い点も、F35の特長の一つとして実感することができました。
”青島コート”のモスグリーンについてもそうでしたが、撮影現場でもかなり細かな色づくりができたと思います。ビデオエンジニアの立場からしますと、色の調整範囲が広いという点は非常にありがたい特長です。

F35はデジタルシネマ制作のスタンダードになる可能性を秘めている

――今回の作品でF35をご使用いただいて、今後のデジタルシネマ制作におけるF35の可能性についてはどのようにお考えでしょうか。

村上可能性は非常に大きいと思います。今回の作品でもクオリティーの面はもちろんですが、ワークフローの点でも満足できる成果をあげてくれたと思っています。私たち全スタッフにとって、F35を利用しての撮影は新しいチャレンジでしたが、結果的にベストチョイスだったと満足しています。今後は機会があれば、F35の大きな撮像素子を活かしてシネスコサイズの映画制作にも挑戦してみたいと思っています。コストダウンやラインアップの拡充など、今後も環境の整備に努力していただければ、デジタルシネマ制作のスタンダードになるのではないでしょうか。

川越可能性については、同意見です。ポテンシャル、クオリティーの高さ共に十分満足できるレベルに達しています。可能であれば、テレビの世界でも手軽に使える環境を整えて欲しいと思います。確かに放送を前提にすればオーバークオリティーかもしれませんが、ドラマやドキュメンタリーといったコンテンツは放送以外での活用も考えられる時代ですから、ぜひ機会があればテレビの仕事でもチャレンジしてみたいですね。そのためにも、より安く、より軽く、より小さな製品の開発や、ビデオエンジニアの意見を採り入れた機構・機能の開発にも注力して欲しいと思います。NAB2010でスーパー35mmサイズ単板CCD搭載のHDCAM-SRカムコーダーSRW-9000PLが発表されましたが、こうしたラインアップの一層の充実などにより、ぜひテレビの世界でも気軽に使えるようにして欲しいと思います。

岡村エンジニアの創作意欲をさらに喚起してくれるクオリティーの高さだと思います。映画などのハイエンドコンテンツ制作でますます活躍の場を広げていくのは間違いないと感じています。ただ、クオリティーが上がり、ポテンシャルが高くなることに伴い、さらにスペックやフィーチャーに対して欲が出てくるのもエンジニアの特性です。フィルムカメラに迫る性能面にさらに磨きをかけてもらうとともに、私たちがビデオで培ったノウハウを活かせる機能や使い勝手を具現化してくれることを期待しています。

――ありがとうございました。

「踊る大捜査線 THE MOVIE」シリーズ 1997年にフジテレビ系列で放送された「踊る大捜査線」は、多くの視聴者に支持された刑事ドラマシリーズ。その後3本のスペシャルドラマを挟んで、1998年に劇場版第1弾「踊る大捜査線 THE MOVIE」が公開され、観客動員数700万人、興行収入101億円を記録。当時の日本実写映画興行史上歴代3位という大ヒットとなった。さらに、2003年の劇場版第2弾「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」は、観客動員数1260万人、興行収入173.5億円、日本実写映画興行史上歴代1位という驚異的な記録を残した。もちろん、2010年6月現在、この記録は破られていない。2005年には、シリーズのスピンオフ作品として「交渉人 真下正義」(興収42億円)、「容疑者 室井慎次」(興収38.3億円)が公開されるなど、日本映画を代表するヒットシリーズになっている。
http://www.odoru.com/

株式会社ロボット 1986年設立。テレビコマーシャル、劇場用映画、アニメーション、CGモバイルコンテンツなど、あらゆる分野の映像コンテンツの企画制作から、キャラクター開発、グラフィックデザインやウェブサイトの制作・運営などを幅広く手がける映像制作プロダクション。2006年4月に映像技術会社IMAGICAグループと経営統合し、イマジカ・ロボット ホールディングスを設立。イマジカ・ロボットグループの中核企業。主な映画作品に、「踊る大捜査線 THE MOVIE」シリーズ、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「海猿」シリーズなどがある。「つみきのいえ」で日本作品として初めて米国アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞。
http://www.robot.co.jp

株式会社バスク 1986年設立。テレビドラマ、映画等の制作技術会社。撮影から編集・MAまで、映像コンテンツをトータルにコーディネイトし、高い評価と実績を得ている。また、日本でトップクラスの規模を誇るフルデジタル映像設備を備える。2004年12月よりフジサンケイグループの一員となり、活動の場を一層拡大中。
http://www.vasc.co.jp
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