法人のお客様 事例 ゲーム感覚で健康づくりが楽しめる「ファンケル 元気ステーション」

ゲーム感覚で健康づくりが楽しめる「ファンケル 元気ステーション」

ブランド価値を高める体験型ショールームの提案

当社は、東京銀座にある株式会社ファンケル様の旗艦店「ファンケル 銀座スクエア」のリニューアルにあたり、7階の「ファンケル 元気ステーション」に設置された体験型ゲームコンテンツのコンセプト提案からデザイン、システム設計までを手がけました。お客さまの生涯にわたる健康づくりのパートナーとして、「楽しみながら健康づくりを始めるきっかけを提供したい」というファンケル様のご要望のもと、施設を訪れるお客さまがゲーム感覚で身体機能を測定でき、生活改善に役立てられるエンタテインメントコンテンツをご提案。今回のプロジェクトを始動するきっかけをはじめ、お客さまに楽しみながら体験していただくためのストーリーづくりや、デザインやテクノロジーのこだわりなどをご紹介します。

ファンケル元気ステーション:美と健康に関する食事についてのクイズゲーム!
光にタッチして、反射神経や動体視力を測定

カジュアルに訪れ、健康を考えるきっかけになる施設に

ファンケル様は2020年に創業40周年を迎えるにあたり、「ファンケル 銀座スクエア」のリニューアルを予定されていました。当初、当社にご相談いただいたのは、8階にあるレストランの音響設備でしたが、ソニー本社のショールームにご案内したところ、「7階の体験フロアでも何かご提案がもらえないか」と打診されたことが本プロジェクト始動のきっかけでした。もともと銀座スクエアの7階には「予防医療ミュージアム」という健康測定機が並べられた体験型フロアがありましたが、銀座という土地柄、買い物帰りのお客さまに「カジュアルに健康を考えるきっかけになる施設をつくりたい」というご要望がありました。また、今回のリニューアルを機に、「FANCL」というブランドに興味を持ち好きになってもらえるような体験コンテンツを提供し、ブランド価値を高めたいという想いもお聞きしておりました。

さらに、今回のご提案では、ファンケル様の顔でもある銀座スクエアにふさわしい、高いデザイン性が重要なポイントでした。そこで、ソニーグループとしてベストな提案をするため、ソニーのデザイン全般を統括し、UX(ユーザーエクスペリエンス)の設計などにも携わるクリエイティブセンターとワークショップを行い、施設を訪れるお客さまが求めるUXとは何か、ブランド価値を高める体験コンテンツはどうあるべきか、検討を重ねながらご提案に結びつけていきました。

プロジェクトメンバーがファンケル 銀座スクエア前で作業中
UXプロデューサーの内山(右)とデザイナーの庄司(左)

訪れた人に元気を持って帰ってもらうユーザー体験のストーリー

ファンケル様は「たのしく生きる、健康 100 年時代」をスローガンに、生涯にわたる健康づくりのパートナーであることを企業の目的とされています。「ファンケル 元気ステーション」は、その名の通り、元気を持って帰ってもらえる場所。そのご要望にこたえるため、健康の3本柱である「食事」「運動」「休息」に沿いながら、ゲーム感覚で楽しめる6種類のコンテンツを制作するとともに、フロア全体を通して「健康のあり方や生活について知ることができる」ストーリーを目指しました。また、来館者は40〜60歳代の女性が中心となるため、ワークショップで導きだした「美しく健やかに」を体験のコンセプトに据え、クールになり過ぎず、また高齢者向けに偏り過ぎないようなグラフィック表現にも配慮。コンテンツは空間との調和を図り、グリーンを基調としつつ、より元気になれるような黄色から濃い緑までのグラデーションを採用し、フロア全体で一貫したユーザー体験ができるようデザインに統一感を持たせています。

グリーンを基調としたゲームコンテンツ、「FLAMIN-GO(フラミンゴー)」
「FUMI-DAS(フミダス)」では、平均歩幅を計測

各コンテンツの制作では、ゲーム感覚で楽しめるようにエンタテインメント性を追求。たとえば、片足立ち測定のコンテンツ「FLAMIN-GO(フラミンゴー)」では、銀座の街並みをグラフィックで再現し、片足立ちで街を巡りながら筋力やバランス感覚を測定。平均歩幅を測る「FUMI-DAS(フミダス)」は、銀座スクエアを起点に新橋、日本橋、東京までどのくらいの歩数でたどり着けるかを紹介し、銀座という立地を生かしたコンテンツを作成しました。また「MANE-CCO(マネッコ)」では、お客さまの体力に合わせて3つのコンテンツを用意。ポーズが決まると身体に鳥がとまったり、花が成長したりするなど、体験者を飽きさせないように演出しています。UXストーリーの最後となる「SUU-HAKU(スーハク)」では、ボールの光に合わせて深呼吸をするという独自のインタラクションで、五感をフルに使ったユーザー体験を提供。各コンテンツにゲーム的要素を加えつつ、体験のメリハリにこだわりました。

お客さまの体力に合わせて3つのコンテンツを用意した「MANE-CCO(マネッコ)」
「SUU-HAKU(スーハク)」では、ボールの光に合わせて深呼吸

技術的な面からもユーザー体験を高められるように工夫しています。コンテンツ同士で光や音が重ならないようプロジェクターやスピーカーの位置を調整し、各ゲームを存分に楽しめる空間体験を創出。また身体だけではなく、足の位置・高さ・歩幅まで細かくセンシングするため、プログラムやセンサーの配置には検証を多く重ねました。また、銀座という場所も考慮し、英語や中国語にも対応し、国籍を問わず多くのお客さまに楽しみながら健康のあり方や生活について知ることができるようにしました。

ユーザーとの接点をつくり、ブランド価値を高める
「ファンケル 銀座スクエア」のグランドオープンでは、「ファンケル 元気ステーション」が集客の目玉となり、来訪された多くのお客さまに体験型コンテンツをお楽しみいただくことができました。現在、コロナ禍によりリアルな店舗での販売が難しくなる中で、B to Cビジネスを行う多くの企業が、いかにしてユーザーとの接点をつくるかを模索しています。今回のプロジェクトでは、健康チェックができる体験型コンテンツを通して、ファンケル様とお客さまの接点を築くお手伝いができました。より多くの企業のブランド価値を高めるために、当社はこれからもユーザー体験を提供し続けます。

内山(UXプロデューサー)

〜広い視点で人材を集めて、最高のパフォーマンスを発揮する〜
今回のようなプロジェクトでは、より広い視野を持ちながら、最適な人材を集めて、最大のパフォーマンスを発揮させることが重要です。今の時代は1社だけでイノベーティブなことを実現するのが難しく、いろいろな方との協業がビジネスにも人にもイノベーションをもたらすと感じています。テクノロジー×デザイン×コンテンツに加え、「人」にしか生みだせない発想を掛け合わせることで、常に進化しつづけるユーザー体験を提供できると思います。今回、化粧品・ヘルスケア業界におけるユーザー体験の創出に初めて挑みましたが、こうしたニーズは多いのではないかと感じました。コロナ禍という逆境においても、「これがあるから行く」という強い動機となるような場所づくりにチャレンジし、 “場”の価値を最大化することで、お客さまのブランド価値を向上させる提案をしていきたいと思います。

吉川(営業担当)

〜お客さまの想いを受け止められる、ソニーの幅広さと提案力〜
このプロジェクトを通して、ソニーという会社に対するお客さまからの期待の高さを改めて実感しました。ファンケル様と対話を重ね、運用上の制約なども把握した上で、「本当に実現したいものは何か」を、全員で一緒に考えながら提案に結び付けていきました。たとえお客さまの本音を聞き出せても、技術力やデザイン力など、それを解決できる引き出しがなければ実現できません。今回は、メンバーみんなの能力を持ち寄り、その裏側にある思いまでしっかり受け止めることで、ファンケル様の期待を超える提案が可能になったと思います。今後もお客さまとの対話を通して、さらに喜んでいただける新たなご提案をしていきたいと思います。

ソニー株式会社 クリエイティブセンター 庄司(デザイナー)

〜テクノロジーで可視化することで、お客さまに気づきを与えるユーザー体験〜
たとえ同じ年代であっても、人の身体や肌の状態は千差万別です。今回の案件を通して、化粧品やヘルスケア業界では、お客さまごとに伝えるべき情報や商品の使い方が異なり、そのアプローチにも細かな配慮が必要なのだと気づきました。たとえば運動不足や髪・肌の水分や油分量なども、テクノロジーを使って可視化すれば、お客さまにわかりやすくご理解いただけるかもしれません。さまざまなユーザー体験を通じてお客さまに気づきを与え、健康状態に合わせた商品提案のストーリーづくりなど、チャレンジできる余地がまだあると感じました。新しい技術の進化やエンタテインメントの潮流を知るソニーだからこそ、それを生かした新たなユーザー体験を今後も提供していきたいと思います。