小田急電鉄株式会社 様
当社とソニーさんとのお付き合いは、2010年10月より運用開始した新宿駅のデジタルサイネージ「小田急デジタルピラー」の設置計画にはじまります。「小田急デジタルピラー」は、当社の新宿駅地下西口改札を出たコンコースに設置されている65V型フルハイビジョン液晶ディスプレイ全46面を使ったデジタルサイネージシステムで、駅コンコース内1ヵ所にあるシステムとしては国内最大規模となるものです。
当時、デジタルサイネージシステムを導入するにあたり他社様が展開されているシステムとの差別化を図るために、より美しい映像と音声を流すことによって、交通広告の付加価値を高めようと考えました。こうした分野で強みを持ち、ディスプレイ本体に保護パネルを装備、画面への映り込みや外光の反射を抑え高輝度でクリアな映像を表示するだけでなく、駅という過酷な環境に耐えうる堅牢性(防塵、防滴など)を評価し、この事業のパートナーとしてソニーさんに具体的な要望を伝えました。さまざまなクリエイティブに対応できるようすべてのディスプレイで異なる映像を表示できること、コンテンツ配信は、編成後でもコンテンツの入稿に対応できること、広告主様のWebサイトへアクセスできるFeliCaリーダーを全台に取り付けることなどを中心に、大変満足のいく提案をしていただきました。
おかげさまで、「小田急デジタルピラー」は、現在も多くの広告主様から高い評価をいただいています。その運用と保守業務を手がけてもらっているソニーさんに対する確かな信頼と高い評価が、下北沢駅の「ラウンドビジョン」設置に結びつきました。
下北沢駅の「ラウンドビジョン」は、新宿駅よりも広告効果を向上したいとの思いからホーム対向壁に設置されています。シールド工法で施工された地下ホームの対向壁というのは、ディスプレイの設置スペースも限られますし、すぐ近くを電車が通るわけですから、防振や防塵はもちろん、防滴対策が必須となります。これが、今回の大きなチャレンジでした。ディスプレイの取り付け金具一つとっても、実際には数々のハードルがあったと思いますが、ソニーさんには、ひとつひとつ着実に創意工夫を重ねて乗り越えていただくことで、実現できたと思います。
当社は鉄道会社です。どんな機器も常に問題なく動作していることはもちろん、たとえ10年に一度しか起こらないような事態であっても確実に対処できることを前提として、すべての運用を考えています。そして、万が一トラブルが発生した場合は、迅速に復旧し、終電から始発までの限られた時間で本復旧させなくてはなりません。このような鉄道会社ならではのレベルの高い信頼性の要求を、ソニーさんはきちんと理解し、対応してくださっています。例えば、対向壁に設置する機材を最小限に抑えて対向壁に行かなくても復旧作業ができるシステムの導入や、アッセンブリ化により短時間で交換作業が完了できる仕組みづくりです。
とはいえシステムは絶対に故障します。そのため、障害が発生した場合、24時間365日体制の遠隔監視サービスにより、いち早くシステムの稼働状態が把握できるようになっています。また、運用への影響を最小限にするシステム構成の提案や短時間で復旧できるようなシステム設計面での工夫をしていただきました。当社の要求に対し、一歩踏み込んだ対応をしてくれたと感じています。
デジタルサイネージは、広告媒体として一般的に認知されるにしたがって、駅貼りポスターなどの紙媒体から急速にシフトが進みつつあるメディアです。そして、それに伴う技術の革新も日々スピードを増している感があります。
将来にわたって、デジタルサイネージによる交通広告をさらに発展させていくためには、コンテンツをはじめとしたソフト面の展開を検討していくだけでなく、常に最新の機器やシステムなどの情報が重要となるはずです。
当社は、今後もソニーさんとのコミュニケーションを図りながら、より価値のある交通広告の将来像を模索したいと考えていますので、ソニーさんならではの新たなご提案を期待しています。