

東京学芸大学
附属竹早中学校
簡便な操作で
授業をマルチアングルで
記録・配信し、
映像を
教育の質の向上に利活用
2020年8月、教員と企業、教育委員会がチームとなり、Society5.0に向けた新しい学校システムづくりに挑戦するべく、国立大学法人東京学芸大学が始動させた「未来の学校みんなで創ろう。PROJECT」。このプロジェクトの舞台の一つ、東京学芸大学竹早地区の附属竹早中学校において、ソニーは次世代型教室ソリューションの各製品、および教員養成ソリューションとしてクラウドメディアストレージサービス『Ci Media Cloud』を納入しました。今回は、2つのソリューションを導入された背景や目的について、東京学芸大学附属竹早中学校 金子 真也 教諭にお話を伺いました。
手軽な操作で授業の記録が可能な
次世代型教室ソリューション
教員養成を重視し、教育学を中心に学術的な研究・教育を行っている東京学芸大学の附属校である竹早中学校では、授業の様子を撮影し、その映像をさまざまな施策に活用する取り組みを以前から進めてきました。
金子教諭「きっかけは、コロナ禍での出席停止等の生徒に対しての学習支援のために、授業の配信を始めたことでした。固定したiPad1台で行う授業配信では、配信先の生徒には授業の見たい部分が上手く見られていないのではないかと感じていました。そこで、私が担当する理科の授業を行う物理化学室では、スイッチャーを使って画面を切り替えたり、分割したりしながら、教室のディスプレイに映している画像やハンディカメラで写した教室の様子を配信する取り組みを始めました。配信した授業の映像は同時に録画されて残るので、この授業の記録も利活用できるのではないかと考えたのです。はじめは、授業をしながらハンディカメラを手動で動かして黒板や実験の手元、発表する生徒の様子を撮影していましたが、授業者が授業そのものに専念できる形にしたいと以前から考えていました。
そうした中、ソニーのリモートカメラをご紹介いただき、リモコンのボタン1つでプリセットしたアングルに瞬時に切り替えられる点と、高精細な映像で授業の様子が記録できる点を評価し、導入を決定しました。教室の後方に設置したPTZオートフレーミングカメラ『SRG-A12』では教員や黒板を、前方に設置した旋回型HDカラービデオカメラ『SRG-X120』で授業を受ける生徒たちの様子や表情を撮影しています。これにより、他の先生にもより簡易な操作で授業を配信したり、記録したりしてもらえるしくみが実現できたと思います。」

物理化学室に設置されたPTZオートフレーミングカメラ『SRG-A12』(教室後方)

旋回型HDカラービデオカメラ『SRG-X120』(教室前方)

直感的にカメラを操作できるリモートコントローラー『RM-IP500』
金子教諭「また、物理化学室には法人向けブラビア『FW-65BZ30L』も導入し、キャスター付きのスタンドに設置しています。ブラビアの画面を分割することで、生徒がノートに書いた内容を大画面に表示しながら、同時に発表する生徒の様子も映し出せるようになりました。授業の中でディスプレイの画面を分割して使うためには、それなりに大きな画面と鮮明な画質が必要となりますので、ブラビアはとても役立っています。複数のディスプレイに分けて映し出すのではなく、1つのディスプレイの中に見せたい画像、映像をまとめてしまうことにより、その画面をそのまま配信・記録することが可能になったのです。」

法人向けブラビア『FW-65BZ30L』を活用し、生徒の発表を共有
授業の映像を安全に
教員養成へ活用できる
『Ci Media Cloud』
竹早中学校では、教室に設置したカメラで撮影した授業の様子をオンライン学習向けに配信するだけでなく、アーカイブとして記録された映像資産を、授業の研究や教員の研修などの教材として活用。教員のレベルアップと、生徒に対してより質の高い学びの提供をめざす取り組みを行っています。
金子教諭「子どもの様子がよくわかる授業のアーカイブは、授業の研究や教員の研修などに活用できると考えていましたが、それをオンラインで共有することには危険を伴います。たとえ限定公開にしても、そのURLがどこからか流出してしまう可能性もあるからです。そんなとき、ソニーのクラウドメディアストレージサービス『Ci Media Cloud』の存在を知りました。ソニーの担当者から「Ci Media Cloudではアクセス者をメールアドレス認証で制限する機能があり、誰がアクセスしているかもわかるため、セキュアな環境で映像の共有が可能」という提案があり、さっそく半年間の試験運用を開始しました。実際にセキュアな環境で映像を共有できたのに加え、コンテンツを管理する機能も充実していましたので、その後、正式に採用となりました。授業の映像に限らず、指導案や授業で用いたワークシートや教材(画像や動画など)も共有することができます。」

『Ci Media Cloud』を操作する様子
金子教諭「Ci Media Cloudにはタイムライン上にコメントをつけられる機能があり、授業等の動画を視聴した他の先生や学生とやりとりしたり、質問に答えたりすることもできます。試験運用中、東京学芸大学の教職課程の学生にCi Media Cloudで私の授業を事前に視聴してもらい、その後にオンラインで集まって、授業の解説をしたり、意見交換を行ったりする学習会を行いました。単位にならないのにも関わらず、30名ほどの学生が手を挙げて参加してくれました。その際、学生たちから『授業を見られる機会が増えてありがたかった』といった声や、『実際の授業の映像とともに現場の先生の話が聞けたのがよかった』、『対面の場で意見を求められるとすぐに自分の考えをまとめて発言するのが大変だが、オンデマンドで映像を何度か見て、時間をかけて考えを整理することができた』といった感想が聞かれました。授業研究や研修において対面での授業参観が重要であることは変わりませんが、先生方も学生もなかなか教室に直接足を運ぶ時間がとれないこともありますし、そうしたときに生かせるオンデマンドならではのメリットもあると改めて認識する機会となりました。」
視聴した先生や学生がやりとりできる『Ci Media Cloud』のコメント機能
授業の研究がより身近になれば、
教育の質は向上する
金子教諭「今回導入した次世代型教室ソリューションとCi Media Cloudは竹早中学校だけにマッチするものではなく、他の学校でも活用できるものだと思います。こうしたソリューションが今後さらに普及していけば、実践的な授業に接する機会は確実に増やしていけるだろうと感じています。たとえば地方の学校で研究授業を行う場合、先生方が車で数時間かけて集まることも多々あると聞いています。そうしたときに、授業映像の配信などオンデマンドを適切に取り入れることで、より研修の効率化が図れたり、教員の働き方改革にもつなげられたりするかもしれません。そしてなにより、いろいろな先生の授業を自分の好きな時間に何度でも視聴できることで、授業研究がさらに手軽で身近なものになる。それが結果的に、より質の高い教育を生徒に提供することにつながっていくと考えています。」
ソニーはこれからも、高品質なハイフレックス型授業を実現するさまざまなソリューションを提供していくことで、映像を駆使して教員養成に注力する竹早中学校と「未来の学校みんなで創ろう。PROJECT」の取り組みを支援しつづけてまいります。

写真左から、東京学芸大学附属竹早中学校 主幹教諭 上園 悦史 様、東京学芸大学附属竹早中学校 教諭 金子 真也 様