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事例紹介

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広島大学病院様

医療

映像伝送実験実証機材としてロケーションポーターを導入。救命現場や大規模な事故における情報伝達に非常に有効。

お客様のニーズ・課題

より高度な診療機能を提供する「高度救命救急センター」において、搬送前の適切な処置・判断を行うためには情報が重要。従来の電話などでは情報量が限られ、映像による情報交換のニーズが高まっていた。

導入効果

救急車からの映像伝送実証実験機材としてロケーションポーターを導入。遠隔から映像を見ながら救急救命士の処置を支援するほか、空港での消火救難総合訓練などでも実験を行った。研究ベースでは非常に有効と判断した。

広島大学病院様

広島大学病院様は、1877年に公立広島病院として開院して以来、統廃合などを繰り返して2003年に現在の体系となりました。2004年4月からは、国立大学法人となった広島大学の附属大学病院として再出発しています。現在では、特定機能病院やがん診療連携拠点病院、高度救命救急センターなど、広島県における高度先進医療を担う医療機関として、地域医療における中心的な役割を担っています。 さらに、国の緊急被ばく医療体制のなかで、西日本ブロックの「地域の三次被ばく医療機関」にも選定されています。

医歯薬学総合研究科病態薬物治療学講座(救急医学)教授 谷川攻一様、助教 貞森拓磨様にお話を伺いました。

導入背景

専門医療機関への搬送前処置のため映像情報が求められていた。


救急車内に設置されたロケーションポーター送信機。


高度救命救急センター内で救急車より伝送された画像を確認。

当大学病院には、厚生労働省から指定を受けた「高度救命救急センター」という役割があります。高度救命救急センターとは、重症の救急患者を24時間体制で受け入れるという一般の救命救急センター機能に加えて、広範囲熱傷や指肢切断、急性中毒などの特殊重症疾病に対する高度医療を提供する機関であり、全国23カ所に整備されています。その救命救急の現場において、以前から映像伝送の必要性を感じていました。高度救命救急センターのような高度専門的治療を行う医療機関は限られており、そこへ患者さんを搬送するか否かを決める、あるいは搬送する前に患者さんに処置を施す必要があります。従来はその判断のために電話やFAXなどでやりとりするしかなく、得られる情報量が非常に限られていました。映像伝送による情報交換に着目したのは、2000年前後に遠隔医療が注目を浴びた頃からです。当初は僻地医療への活用が主でしたが、次第に、映像伝送を救急現場への遠隔医療支援として活用してはどうかと考えるようになりました。

選定理由

優れた堅牢性と映像品質の良さ、セッティングの容易さなどを評価。

映像伝送技術を実践的な医療の現場で使用するには、コストパフォーマンスとシステム構築が課題でした。ちょうどその頃、ソニーの方からロケーションポーターのアイデアがあること、手術室からほかの部屋へ術野映像を伝送するシステムを院内に導入したことなどを伺い、そのパッケージと救急医療とを結び付けてみようという発想に至りました。救命救急の現場からどんな映像が送信でき、それが患者状態の評価と診断などでの実用に耐えうるのか検証してみようということになりました。そこでソニーの皆さんと協働し、ビデオカメラやパソコン(当時の伝送装置はノートPCを使用)を災害訓練などの現場に持ち込んで、様々な映像伝送実験を重ねました。ロケーションポーターが発売されたのは、そのような実験を開始した約1年後です。救急医療の現場に持ちこむには、コンパクトで耐衝撃性・耐久性が高く、また操作性が容易であることが重要です。それまで使用したどの機器よりもロケーションポーターの映像品質がよく、また操作性やセッティングが簡単だったことから、新たな実験機材として導入しました。

導入効果

救命救急士が行う高度な救命処置に対し、遠隔からの支援を実現。


広島空港での消火救難総合訓練での受信システム


広島空港での消火救難総合訓練での撮影状況

2009年6月に、送受信用に1台ずつ計2台のロケーションポーターを導入し、同年12月まで送信用のロケーションポーターを救急車に搭載して実証実験を行いました。ロケーションポーターの本体はコンパクトで、救急車内のラックに縦置きでちょうど収まるサイズです。
昨今、救急救命士の業務は非常に高度になり、たとえば気管挿管など非常に難しい処置も行わなければなりません。ビデオ喉頭鏡という気管挿管を行う医療器具の出力端子とロケーションポーターの映像入出力端子を接続して映像を伝送すれば、専門の医師が遠隔から映像を見ながら救急救命士の業務を支援できます。ロケーションポーターを利用した遠隔支援によって、救急分野で抱えていた様々な悩みの解決の糸口が見えてきたと感じています。携帯電話のテレビ電話機能や監視カメラ映像に比べ、ロケーションポーターによる映像は非常にクリアで、人の咽頭・喉頭部も実際に近い色合いで確認できるのが利点です。実験期間中は、救急救命士が操作を行うのではなく、救急車に同乗した医師が担当しました。専任者がいたこともあり、操作そのものはスムーズでした。受信側は伝送されてくる映像を確認するだけで、ほとんど操作を行う必要はありませんでした。
また、救急車への搭載だけでなく、航空機事故を想定した広島空港での消火救難総合訓練や、消防防災ヘリコプターからの運用実験なども行いました。空港での消火救難総合訓練では、現地対策本部へ映像ミキサーなども含めた受信システム一式を持参しました。セッティングは20分くらいで完了し、インフラさえ機能していれば問題なく使用できることが確認できました。まだ研究ベースではありますが、大規模な事故・災害時における医療現場には、現段階でも非常に有効なシステムだと確証しています。

今後の展望

将来のプロジェクトに向けロケーションポーター導入を検討中。

当大学病院では、今後、研究ベースではなく実際の運用に向けた様々なプロジェクトが予定されています。そのプロジェクトにおいて映像伝送を活用する計画もあり、ロケーションポーターの導入も検討しています。そのためにも、今後の更なるバージョンアップを期待しています。救急医療など医療の現場で使用するには、電源をオンにしただけで映像伝送が開始されるなど、さらなる簡単な操作性が重要です。また通信回線のキャリアフリー化も必要です。今後、様々な通信システムが開発されるでしょうし、衛星通信を含めたキャリアフリーの実現を希望します。
ロケーションポーターが今後さらに進化することを期待しています。

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