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事例紹介

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大分大学医学部附属病院様

医療

救急現場に出動するドクターカーにロケーションポーターを搭載。病院内から状況を把握し、的確な診察・治療支援を実現。

お客様のニーズ・課題

救急医療の現場では病院内外の情報交換が非常に重要。しかし音声による情報伝達は発信者の主観が入ったり必要情報が不足しがち。言葉では伝えにくい情報や客観的情報を効率よく伝えるものとして映像伝送ツールを検討していた。

導入効果

車内の映像と心電図モニター画面、カーナビゲーション画面をリアルタイム送信。これらの映像により、病院側が状況を把握して指示を出し、受入れ準備を整えるなど、診断・治療の前倒しを実現した。

大分大学医学部附属病院様

大分大学医学部附属病院様は、県内唯一の特定機能病院として、豊富な経験を持つスタッフ(医師約400名を含め医療従事者約1,220名)の体制を整え、最新医学の進歩を真っ先に取り入れながら最良の医療を追求し続けています。2008年5月には救命救急センターの指定を受けました。各診療科の協力のもと、全ての専門分野の救急患者を24時間受け入れる体制をとるともに、ドクターカー・防災ヘリを活用した救急患者の搬送や事故・災害現場への医療チーム派遣なども行っています。

大分大学医学部附属病院 救命救急センター 診療教授 石井圭亮様と、臨床工学技士 中嶋辰徳様にお話を伺いました。

導入背景

表現しにくい情報を客観的に伝えるシステムとして映像ツールを選択。


ロケーションポーターを装備したドクターカー

救急医療の現場では、病院側と現場との情報交換が非常に重要です。一般的には、携帯電話を使用しますが、重症患者さんを前にして片手が電話機で塞がっているというわけにはいかない場合が多いですし、音声のみのやり取りだけではどうしても情報に発信者の主観が入ります。現場で患者さんを診療している医師からの情報が、客観的な事実か否かを音声だけでは判断することが難しいのです。また、言葉にできない情報もたくさんあります。そこを補うものとして、映像を活用したツールを採用したいと考えました。

選定理由

簡単操作で映像伝送、双方向で音声がやり取りでき、スムーズな診察活動をサポート。


ドクターカーより伝送された映像

映像の一番のメリットは、情報を客観的に把握できることです。病院内の医療スタッフは現場の映像を見ることによって、患者さんの様子を把握し、到着するまでの間に万全の受け入れ態勢を整えることができます。また、すべての病状が分かる万能な医師というのは存在しません。現場で診療する際に判断に迷うこともありますが、現場の映像をリアルタイムに送ることにより、病院内の専門医が患者さんの状態や心電図などを確認し、現場の医師への的確な指示が期待できます。

そのような前提で数社の映像ツールを検討した結果、簡単な操作で現場からの映像伝送を実現し、映像品質が良いこと、さらに、両手がフリーになるヘッドセットが使用できることなどから、ソニーのリアルタイム映像伝送システム「ロケーションポーター」を選択しました。また、採用したツールを将来的に広域展開する可能性を考えた場合に、ソニーの企業としての力と信頼性が高いと判断したという理由もあります。

導入効果

ドクターカーに搭載し救急現場と病院をつなぎ、病院側からの的確な支援を実現。


ドクターカー内の最新装備


車外にも持ち出せるロケーションポーター


車内の映像を撮影するカメラ

2010年4月から運用を開始したドクターカーに画像伝送装置としてロケーションポーターを搭載し、受信機を病院内に設置しています。ドクターカーとは、重症度や緊急性の高い症例が発生した際に、救急隊や医療機関からの要請を受けて出動する車両です。医師を乗せて現場に向かい、患者さんへの処置を行いながら病院へ搬送するために、一般的な心電図モニターや除細動器、人工呼吸器のほかに、消防無線と衛星携帯電話も装備しています。自前の足としてあえてドクターカーを用意したのは、救急車には我々が必要と思うシステムを勝手に装備できないこと、もしできたとしても、出動時にその車両を必ず使用できるとは限らないことなどが理由です。ドクターカーの出動要請は増加傾向にあり、1日に2件のペースで出動しています。

ドクターカーにこのシステムを導入したことで、車内の映像と心電図モニター画面、カーナビゲーション画面を現場から送信し、病院内のモニター画面にそれぞれの映像を一括表示できるようになりました。これは我々にとって大きな利点であり、病院側が映像を見ることで状況を把握し、現場の医師に指示を出したり、受け入れ態勢を整えたり、患者さんを乗せたドクターカーの到着時間までも予測できます。結果として、診断・治療を前倒しできるというメリットにつながります。

また、ロケーションポーターは車外にも持ち出せるため大規模災害など、地域をまたがった医療を行うにも有効と考えられます。先日、災害訓練が行われた際にもドクターカーが出動し、現地の様子を映像転送して病院側から遠隔指示を行うことができました。実は、被害が大規模になればなるほど、目先の対応に追われてしまうために、遠隔からの方が全体像を把握しやすいのです。まだまだ解決すべき課題はありますが、救急活動の現場で円滑な医療活動を行うには、このシステムは非常に有効であると考えています。

今後の展望

救護システムとしてすべての行政・医療機関への展開も視野に。

将来は、県内すべての行政と医療機関、消防・救急隊にこのシステムを導入し、病院間の搬送や救護システムへの活用を考えています。さらにその先には、県という枠を飛び越えて広域災害対策としての運用があります。大規模災害時にどの医師や救助隊が被災地に向かうとか、患者さんをどの県のどの病院に搬送するかなど、映像による客観的な情報を元に一元管理が可能になると期待しています。効率のよい医療体制を大規模災害時に応用できるのは、非常に強力なツールになるのではないでしょうか。現在は、そのための基盤作りの段階です。ソニーさんには、そこまで見据えながら機器・システムをさらに展開していただきたいと思います。

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