XDCAM
映像制作機材 "XDCAM"

株式会社 毎日放送 様

放送局

報道フォーマットにXDCAM HD422シリーズやXDCAM Stationなどを採用し、ファイル/ネットワーク化を推進。

株式会社 毎日放送 様


横井秀則様


高田仁様

株式会社 毎日放送(MBS)様は、報道フォーマットにXDCAMを採用され、PDW-700、PDW-F1600/PDW-HD1500などXDCAM HD422機器やXDCAM Stationなどを導入され、2011年10月末より本格運用を開始されました。

同社 報道局 映像センター部次長 横井秀則様、制作技術局 制作技術センター部次長 高田仁様に、XDCAM選定の決め手や、今後の運用計画、ワークフロー改善への期待などを伺いました。

なお、記事は2011年10月上旬に取材した内容を、編集部でまとめたものです。

機器の入れ換えではなく、ワークフローの革新が大きな目標


取材機として18台のXDCAM HD422カムコーダーPDW-700を導入し、本局/支局を含めて一気に更新を図っています。協力プロダクションの更新を合わせると約30台のPDW-700が2011年10月末より本格稼働されることになります。

当社は、1999年に報道のフォーマットしてHDCAMを採用し、HDW-750をはじめとするHDCAMカムコーダーを運用してきました。こうしたカムコーダーが更新時期を迎えたことが、今回の更新計画の大きな背景になっています。同時に、効率的なファイル化/ネットワーク化によるファイルベースワークフローへの移行を念頭にフォーマットや機器の選定を行う必要がありました。

つまり、今回はカムコーダーやデッキといった機器の入れ換えという更新というより、トータルワークフローの革新につながっているのが特長です。これは同時に、より多くの情報をより素早く確実に視聴者に届けるためのサービス向上がテーマとも言えます。それを実現するため、スタッフの負担を軽減するとともに、当社の報道業務をより良い形でサポートできるファイルベースワークフローをコンセプトとして取り組んでいます。

そこで、まずカムコーダーと再生環境をファイル対応として、スタッフのファイルに対する習熟度を上げつつ、テストや検証を行い全員で情報を共有しながら、徐々にトータルワークフローを構築していくことにしました。今回のPDW-700、PDW-F1600/HD1500の大量導入は、そうした狙いを背景とした、ワークフロー更新の第一段階になります。

高画質や安定性、フォーマットへの信頼感が採用の決め手


●カメラの更新は、一般的には3年位かけて順次行いますが、今回は全機種を一気に更新しました。ファイルベースワークフローのメリットを享受するためには、まず撮影や再生でファイルベースの運用に早く習熟し、綿密な検証を行う必要があると判断したからです。(横井様)

フォーマットについては、各社からの提案を検討し、社内で検証も行った結果、XDCAMを採用することにしました。記録ビットレート50Mbps、4:2:2サンプリングによる高精細・高解像度の映像は、報道用途として要求を満たす映像であると評価しました。また、実績を背景とするフォーマットの安定性・信頼性の高さも決め手の一つと言えますし、充実した製品のラインアップや、メディアのコストパフォーマンスの高さなど、総合的に評価しました。

実は、フォーマット選定で最も重視した点は、フォーマットの継続性でした。やはり10年単位で使っていくものなので、将来的に安心して使えるものでなければなりません。その点でも、XDCAMはソニーが継続したサポートを表明していますし、バージョンアップやラインアップを見ていてもそうした姿勢が顕著で信頼できます。特に、XDCAMフォーマットをベースに、ファイルサーバー的な運用を可能にした新しいコンセプトのXDCAM Stationの登場は、今後の継続性のみならず、拡張性をも示唆する商品として高く評価しており、フォーマットへの信頼感を一層高めてくれました。


XDCAMプロフェッショナルメディアステーション"XDCAM Station" XDS-PD2000を3台導入。サブ送出や、ENGセンター(写真・右)での素材配信用デッキとして運用が予定されています。

新しいコンセプトで登場したXDCAM Stationの可能性にも期待


XDCAM HD422フィールドステーションPDW-HR1を11台導入。フィールド収録や、収録素材のFPU伝送など、主に持ち出し用として運用予定です。

現在、報道はベースバンドで運用していますが、今回の導入で取材機と、報道編集ブースのリニア編集システム、支局や伝送拠点の再生側はすべてファイル対応にすることができました。XDCAMは、ベースバンド環境とのハイブリッド運用に適したフォーマットであることがメリットの一つで、今後の段階的なファイル化/ネットワーク化をサポートしてくれています。

これから2年あまりをかけて、編集・送出、そしてアーカイブのファイル/ネットワーク対応を進めて、更新コンセプトであるスタッフの負担を軽減しつつ、報道業務を効率的に行えるトータルワークフローを構築していきたいと考えています。効率化を追求すると同時に、逆にサーバー化等によって素材の管理といった「目に見えにくくなる部分」への対処法やセキュリティー管理なども考慮していかなければならないと思っています。

ワークフローの改善という点で、大きな可能性を感じているのがXDCAM Stationです。たとえば、サブ送出や素材配信用として使えば、ディスク搬入とファイル搬入に対応することができますし、回線収録でも利便性を発揮できます。より効率的なファイルベースのワークフロー構築に貢献するものとして大いに期待しています。


XDCAM HD422レコーダーPDW-F1600/PDW-HD1500を合計25台導入。スポーツを含めて14チェーンある報道編集ブースのリニア編集システムのプレーヤーとして、あるいは支局や伝送拠点の再生機として当面運用される予定です。

取材からアーカイブに至る一貫したメタデータ管理にも注目


合計8台のXDCAMドライブPDW-U2はプレビューやディスクフォーマットなどに活用予定。

●XDCAMを採用したメリットの一つが、PDW-F1600のジョグ/シャトルのレスポンスの良さなどを含めた、ベースバンド運用との親和性の高さです。これにより、ベースバンドでの編集環境からファイルベースのノンリニア編集にも段階的に、かつスムーズに移行できると期待しています。(高田様)

ファイルベースによる効率的なワークフローには、メタデータの活用も欠かせないと思っています。今回の導入に合わせて、Wi-FiアダプターCBK-WA01を導入したのも、XDCAMを中心としたメタデータワークフロー"XMPilot"によるメタデータ登録フローの検証を行い、今後のシステム開発やメタデータの有効活用につなげたいと考えたからです。

将来的には、当社報道部門の上位システムである報道情報システムから、取材・編集・送出、そしてアーカイブに至るまで、項目や内容などの一貫したメタデータによる管理が可能になればと期待しています。また、そうしたトータルワークフローを構築しなければ、ファイル/ネットワーク化の本当の意味での成果を得ることはできないのではないかと考えています。

そうした理念、理想をつねに念頭に置きながら、今後のノンリニア編集システムの導入や、送出、アーカイブのシステム、さらに局内のネットワーク化などを慎重に検討していく予定です。本当の意味でスタッフの負担を軽減でき、しかも報道業務を効率的にサポートしてくれるファイルベースのワークフローを構築していきたいと思います。