XDCAM
映像制作機材 "XDCAM"

株式会社リットーミュージック 様

出版社

2020年4月掲載

PXW-Z90+MCX-500 ライブストリーミング配信
時代に合わせて変化させた動画制作とオペレーション

紙の媒体とYouTubeを始めとした動画配信を組み合わせたプロモーションは今や珍しくありません。
今回お話を伺った株式会社リットーミュージック様は、音楽関係の出版を主軸にしながら同社が企画したイベントをYouTubeなどにてライブ配信しており、顧客やビジネスの幅を着々と拡げつつあります。その詳しい内容について取締役スタジオ事業部長の國崎 晋様に導入経緯と運用についてお話を伺いました。

  • (株)リットーミュージック 取締役スタジオ事業部長 國崎 晋様
    (株)リットーミュージック
    取締役スタジオ事業部長
    國崎 晋様

紙媒体と動画配信の連携

当社はもともと楽器を演奏する方々向けに、教則本や楽譜を制作・販売する出版社で、現在もギターやドラムなど各楽器に対応したマガジンを含め多くの紙媒体を発行しています。もちろん、楽器の演奏を学ぶには、見る、聴くという方法が大変有効なので、以前よりVHSやDVDなどのパッケージの制作・販売も行っていました。現在はそれらパッケージの代わりに、YouTubeなどに動画をアップして活用しています。

ストリーミングと動画制作

VHSやDVDなどパッケージだったころは、映像の制作を外部のプロダクションに頼んでいることが多かったんです。YouTubeなどネットへアップする時代になっても同様でしたが、イベントを収録する場合だと編集に時間がかかってしまうのは良くない……例えば、有名なドラマーさんが素晴らしいプレイを披露されている様子を、そのままライブストリーミングすることで、リアルタイムにドラマーさんのファンと共有する方がいいなと。もちろん、当日に生で観られなかった方々向けに、イベントの模様をアーカイブする必要もあるのですが、その場合もあえてポストプロダクションはしない……編集に時間をかけるよりは、すぐに次のプロダクションに移った方がコンテンツの量産ができるかなと。なのでこのRittor Baseは、マルチカメラで撮影はしていますが、録画はスイッチャーのPGM OUTをそのまま記録するのみで、あえて各カメラごとの素材は残さないようにしました。ポストプロダクションを廃し、生産性を重視したワークフローということですね。

楽器、音楽に触れあう空間を発信するスタジオ

一昨年の2018年は当社の設立40周年にあたり、その記念事業としてRittor Baseを作りました。貸しスタジオとして運用しているわけではなく、自社主催のレクチャーやイベント、楽器関係のプロモーション、さらにはソニーさんのようなメーカーの方々と共同作業で製品紹介のイベントなども行っています。2019年の3月にはソニーさんと共同で、SSVR(Sonic Surf VR:ソニーが開発した空間音響技術)を使った「Touch that Sound!」というイベントを行いました。メーカーさんだけで行うと、どうしても広告的なニュアンスが強くなってしまいますが、コーネリアスやブンブンサテライツといったアーティストに協力していただき、あくまで表現を追求するために必然的に機材を使いこなす、という形でイベントを実施することで、来場者の製品に対する見方は変わってきます。Rittor Baseではそういったイベントの企画から、運営、さらにはストリーミングやアーカイブまで全て行うので、効率的に商品をプロモートできます。

また、先日はサカナクションのトークイベントのストリーミングも行いました。このイベントのストリーミング配信は3,000人以上の視聴があり、常時800人以上がライブでストリーミング配信を見ていました。Rittor Baseに何百人も集めてイベントを行うのは不可能ですが、ライブストリーミングをすることで、これだけの人数に見てもらうことというのは、とても可能性が広がりますね。

4台のカメラと1台のスイッチャーでマルチカメラ収録、ワンマン・オペレーションを実現

スイッチャーはMCX-500を選択しました。これを中心にカメラは主に引きの映像を撮るためにPXW-Z90(以下、Z90)が1台、左右にリモートカメラSRG-360SHEを1台ずつ配置し計2台、それと出演者を俯瞰もしくは彼らの手元を映すカメラとしてDSC-RX0(以下、RX0)をMCX-500につないでいます。

カメラとスイッチャーはさまざまなメーカーのものを検討しましたが、MCX-500はエンコーダーを内蔵しているので、LANケーブルをつなげば直接YouTubeやFacebook、Vimeoなどへストリーミングできる上、スイッチングした映像をその場でSDカードに記録するレコーダー機能も付いているので、まさに私達のスタジオが目指している“イベント後に編集をしない”というコンセプトぴったりでした。また、オーディオがXLR入力なのも大きなポイントでした。オーディオミキサーは別にあり、ここでミキシングしたハイクオリティな音声をプロクオリティなままMCX-500に入力できるのはうれしいですね。

私自身、音響機器には詳しいのですが、映像機器はそれほどでもありませんでした。そんな私でもMCX-500は簡単に使えています。皆さん驚かれますが、イベント時の撮影・ストリーミング配信は、一人で全てのオペレーションを行います。スイッチャーの操作はもちろんですが、カメラのアングル変更も全てです。リモートカメラはコントローラーがあるので、スイッチャーの席で全て行えます。場合によっては、司会も同時にやることもあります(笑)。配信機能を持ったスペースを運営する場合、ランニングコストが問題となりますが、今回導入したソニーのシステムで人数をかけずに運用することが可能となり、コスト削減を実現することができました。

ストリーミングはWebサイト(rittorbase.jp )に事前に何日何時から始めると予告しておきます。その時間になる少し前から、会場のセッティング風景をストリーミングとして配信し、イベントが始まる直前にタイトルをインサートしたりなどして、本番に向けてだんだん盛り上げていくような工夫をしています。

映像の収録は、MCX-500でSDカードに記録するだけ。YouTubeなどではライブストリーミングした映像のアーカイブも残るため、一応、それでバックアップもしているという感覚です。先ほども言いましたように、各カメラの映像は収録しませんので、カメラにSDカードを入れておくこともほとんどありません。

オーディオミックスを2系統に切り分け

オーディオの調整は専用のオーディオミキサーで行いますが、実は2系統の出力が必要です。一つはこの現場で聞いているお客様向けのMIX、もう一つはストリーミング配信の視聴者向けのMIXです。例えばドラムの講座では、この場にいる人にはドラムの音が十分聴こえるので、ドラマーさんの喋りのみをマイクで拾ってPAすればよいのですが、ストリーミング配信を聴いている人には、ドラマーさんの喋りに加えてドラムの音もきちんとマイクで拾って聴こえるようにしなければなりません。そのため、ストリーミング配信用の音を調節するには、会場の音が聴こえないように密閉型のヘッドホンを付けてMIXをします。その出力をMCX-500の入力に入れ、ストリーミングしているという流れですね。

配信用のMIXを別の部屋で作れば簡単ですが、そうすると二人必要になってしまいますので、ヘッドフォンを活用することで音響担当も一人でまかなえるようにしています。

MCX-500とPXW-Z90の使い勝手

MCX-500はモニターに表示されるMulti ViewにNEXT映像や送出中の映像が出ますし、さまざまな情報が表示されるため使いやすいですね。また、オーディオモニター用の音声出力があり、映像と音声のタイミングを合わせるためのディレイ設定もできます。カメラのスイッチングが可能なPC用ソフトウェアも多く出回っていますが、MCX-500はやはりハードウエアならではというか、ボタンを押した手ごたえがあって、使っていてとても気持ちがいいですね。

Z90は圧倒的に画質が良いですね。リモートカメラとの色合わせには多少苦労しましたが、リモートカメラの方を調整することで、現在はかなり合っていると思います。Z90については、最近のソフトウェアアップデートでカメラから直接YouTubeにライブ配信できるようになったとのことなので(※)、まだ試せていないのですが、スタジオ外で行うイベントなどでストリーミング配信を運用してみたいです。

※PXW-Z90 / HXR-NX80 シンプルライブストリーミング機能(Ver2.0以降・無償)

※本ページ内の記事・画像は2020年1月14日に行った取材を基に作成しています

PXW-Z90

XDCAMメモリーカムコーダー

PXW-Z90

MCX-500

コンパクトライブスイッチャ―

MCX-500

※上記商品情報はスイッチャーのサイトに移動します

Sony Business Solutions Corporation ソニービジネスソリューション株式会社