XDCAM
映像制作機材 "XDCAM"

ヴェルト株式会社 様

プロダクション

XDS-PD2000とPWS-300TC1を中心としたファイルベースリニア編集システムで革新的なスピードアップに期待。


生田目隼様


川奈部野和様

ヴェルト株式会社様は、XDCAMでの番組納品開始に向け て、XDCAM Station XDS-PD2000と、トランスコード・コピー・ステーションPWS-300TC1を中心とした、ファイルベースのリニア編集システムを構築。汐留スタジオにて、主にバラエティ番組のポストプロダクション業務における試験運用を9月より開始されました。

同社 執行役員 生田目隼様ならびに、同社 執行役員 川奈部野和様に、同システムのコンセプト、使用機材やワークフロー、成果や評価について伺いました。

なお、記事は2016年9月下旬に取材した内容を、編集部でまとめたものです。

リニア編集の新しい形に挑戦


既存の編集室に、以前より導入していたXDS-PD2000 を4 式移設し、USB3. 0 インターフェースボード XDBK-108、外部SSD アクセスオプション XDBK-109 を新たに導入。

当社は主にバラエティ番組の編集とMAを主力に行っております。ノンリニア編集室もありますが、主力はリニア編集室で、汐留に11室、台場に8室、渋谷に2室、合計21室を抱えています。

すでにVTRの販売終了が発表されていると同時に、民放各社からはXDCAMのディスク納品受け入れ開始のアナウンスが相次いでおり、現状はHDCAMのテープ納品が主流ですが、XDCAMのディスク納品はいつ本格化してもおかしくない状況になりました。

当社としては、いつでも対応できるように準備しておかなければなりません。来年2月にはリニア編集室のうち1室をXDCAMベースに更新しますが、それに先立ち、「いずれ始めることなら、真っ先にやってみよう」ということで、課題の洗い出し、ノウハウの蓄積を兼ねて始めたのが今回の試験運用です。

クオリティーにはこだわる、その結果のXAVC-I 100Mbps

MPEG HD422 (LongGOP 50Mbps)での納品であれば、50Mbpsのままで編集する、という選択肢もあります。また、実用上必要なクオリティーで編集をすることも可能だと思います。しかし当社は、もともとはD-1編集室から始まった会社で、クオリティーに対する高いこだわりを持っています。また、世代を重ねたり、RECを繰り返す中で、画質劣化を意識して作業するのは避けたい面もありました。そのような背景でXAVC-Iのフレーム内圧縮100Mbpsという画質劣化の少ないフォーマットは魅力的でした。

ニーズ、作業性、設備投資、どの面でも譲れなかったリニア編集

世の中ではノンリニア編集が全盛で、「世の中はノンリニアでしょ?リニアは終わりでしょ?」とも思われていますが、依然としてお客様からのリニア編集のニーズは高いのが現状です。バラエティ番組の編集では、ほぼ尺が完成しているオフライン結果をベースに、1番組で300〜800枚のテロップ入れを2〜3日かけて行います。すべてをノンリニアで行うことは作業性やレンダリング時間の面などからも、まだまだ課題が多いと考えています。そして、納品媒体やワークフローが変わるということは、お客様にとっても大きな負担です。同時に、当社が保有しているリニア編集室21室すべてを、一斉に更新するというのも現実的ではありませんでした。

そこで私たちは、リニア編集ベースのワークフローや既存システムを生かしつつ、ファイルベースならではのアドバンテージを享受できる方法はないだろうか、と模索していました。

その中でソニーから提案を受けたのが、XDS-PD2000と、PWS-300TC1への部分的なリプレースを中心とした更新案でした。XDS-PD2000を従来のVTR同様に取り扱い、USB3.0接続の外部SSDにXAVC-I(100Mbps)ベースでのインサート編集を行い、PWS-300TC1によって、納品用の正・副と制作保存用計3本のXDCAMメディア(50Mbps)を作成するワークフローです。

予想以上の使い勝手のよさとスピードを実感


マシンルームに設置したPWS-300TC1 1式(写真・左)とPDW-U2 3 式(写真・右)

既存の編集室に、以前より導入していたXDS-PD2000を4式移設し、USB3.0インターフェースボード XDBK-108、外部SSDアクセスオプション XDBK-109を新たに導入しました。また、マシンルームにPWS-300TC1を1式、XDCAMドライブPDW-U2を3式導入して試験運用を開始しました。実際に30分尺のバラエティ番組1本の編集を行ってみましたが、予想以上の使い勝手のよさとスピードでした。

たとえば、今までのVTRのようにプリロールや調走で待たされる時間がなく、RECもキーを叩いた瞬間からすぐに始まる感じです。今までリニア編集を行ってきた中で、初めて「速くなった」と実感できる出来事でした。ジョグやシャトルにおける音声のキュー音など、細かな使い勝手も従来のVTRライクに再現されており、違和感なく作業が行えました。また、SSDメディアは接続先を変更することで、編集室を移動しての作業も引き続き行え、テープでのやりくりと同様の作業ができます。いわば、ノンリニア編集の使い勝手をリニア編集に加えた「いいとこ取り」ができたような感覚です。次は、長尺の特番でも使ってみたいです。

トランスコード・コピー・ステーションで編集室の稼働率もアップ

従来は、完パケが仕上がってから、納品用のサブマスターと制作会社の保管用テープをコピーするために編集室を占有する形となっていました。試験運用を始めた今回のシステムでは、その役割をPWS-300TC1と3式のPDW-U2で行います。ファイルベースですので編集機を介す必要がなくXAVC-IからMPEG HD422へのトランスコードと3枚のXDCAMメディアへのコピーが、マシンルームにおいて行えるようになります。結果として編集室を占有することがなくなり、編集室の稼働率が向上すると同時に、ブッキングも楽になります。

2月の更新を皮切りに、順次更新をめざす

今回の試験運用の結果を受けて、来年2月の更新を皮切りに、順次この形に更新していきたいと考えています。それまでに、各機材の適切な台数配分の見極めや、XDCAMで8chに増えたオーディオでどんなことができるかなど、ポテンシャルを生かしたシステムやワークフローの検討を重ねていきたいと考えています。

たとえば、SSDには180分ほどの映像が入りますが、それを従来のリニアにおけるテープと同じように1クリップとして扱う方が便利か、または、素材ごとにクリップを別に作る方がよいか、といった内容です。特にトランスコード・コピー・ステーションは、来年にかけてのバージョンアップで、納品用ディスクのコピー機能だけでなく、編集プロセスの改革につながるような幅広いコピー機能を追加する予定と聞いていますので、今後はこのPWS-300TC1を核に、MAを含めた他の作業との連携やスピードアップ、効率化なども狙いたいと考えています。同時に、お客様にも積極的にこのシステムでの編集を提案していきたいと思います。

ソニーにはXDCAMベースならではの、ショットマークを活用したリニア編集の作業性アップなど、新機能や使い勝手向上の実現、提案を、これからも期待しています。

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