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商品情報・ストアデジタル一眼カメラ αもっとαを楽しむ 貫井勇志-“α”で撮る世界遺産

“α”が刻む世界の時

貫井勇志
“α”で撮る世界遺産

01

デジタルSLRで世界遺産を撮る

蘇った、スチル写真への想い

世界遺産撮影に望む

世界遺産を撮影した写真は世の中にたくさんあると思いますが、私はこれまでにない角度から世界遺産を残そうと撮影に挑みました。

「“α”が刻む世界の時。」として、同じアングルによる12の異なる時間帯に撮影した世界遺産の写真をパソコンの壁紙として提供する。しかも毎月別の世界遺産を撮り続ける。

この企画を聞いた時には、世界遺産と言っても様々な種類がある訳で、それらをデジタル映像に収めるという仕事に多少の不安もありました。しかし渡されたデジタルカメラを手に取って、大きく綺麗で明るいファインダーに目を近づけた途端その不安は吹き飛んでしまいました。

「写真が撮りたい!」

そんな思いが久々に蘇ってきました。近頃は動画で映像作品を作ることが多いのですが、もともと私が映像による作品制作に入ったきっかけは写真でした。“α900”に触れて、当時写真に感じた思いや感激を思い出したのです。テスト撮影を重ね、出来上がった絵画のような深みのある写真を見るたびに「これなら自分が感じた通りに世界遺産を撮ることが可能だ」と言う確信が強まっていきました。

“α”が刻む世界の時。

刻々と変化する気温の表情までも記録する

スイス : サン・モリッツ
サン・モリッツの町と、その周辺の山々

撮影の準備

定点撮影のおもしろいところは、事前に予想もしてなかった状況に遭遇することです。雲の間から太陽の光が差し込み、思いもしていなかった場所を照らしだす。この一瞬を撮影することが出来た瞬間、何時間も待ち続ける意味を知ります。

1日12〜15時間、全く同じアングルとサイズで12枚の異なるイメージを撮影する。

こう言うと、ある一定時間間隔でただシャッターを切っていれば良いように聞こえますが、実はそういうことではないのです。

“α900”は大変に明るく優れたファインダーを持っています。このことは通常の撮影に有効なことはもちろんですが、今回の企画には無くてはならない機能なのです。と言うのも、数日間にわたり同じ場所で日の出前からカメラをセッティングする際に、前日と同じフレーミングを作り出さなくてはいけないからです。つまり、日が昇る前の暗いうちから画面内の細部が見える必要があるということなのです。

撮影が始まると太陽の高度や雲の動き、そして気圧や大気の流れを監視し続けます。場所によっては、そこに生息する虫や動物たちの行動から先を予測する時さえあります。更に光の強弱、陰影の雰囲気、また色の調和などをどのようにカメラに取り込むか考え続けます。
この世界遺産定点撮影は、ある場所へ「行ってみたらきれいだったから撮ってみました」というようなものではないと思っています。大げさかもしれませんが、「悠久の時の流れ」や「自然と文明の調和の接点」が見えてこなければならないと思っています。

しかし、そうした思いやイメージも、確実に記録してくれるカメラがあって初めて成功します。“α900”で撮影した画像をチェックするたびに、「これだっ」という実感を味わい、次ぎなるシャッターチャンスへの意欲をもらっています。

標高2500mから見るサン・モリッツ(スイス)

思い切った広角撮影で町並みを撮る

サン・モリッツにて

“α900”で最初に挑んだ定点撮影はスイスのサン・モリッツでした。標高2500mという高い位置から、レーティッシュ鉄道のベルニナ線周辺が世界遺産に登録されているサン・モリッツの山々の風景と町並みを撮ることで、そこに暮らす人々と自然との関わりを浮き立たせたかったのです。

サン・モリッツの町並み

サン・モリッツの町並みから、民家の横に立っている木々までしっかりと写し出しています。

このような細かい町並みや遠くの木々の様子を高い解像度による精細な描写で残さず撮影し記録するには、カメラを覗いたその場で詳細の確認が必要であり、大きく明るく解像度の高いファインダーは必須と言えるでしょう。そして高い解像力を持つ広角レンズを使って、思い切った「ヒキ」で撮れたのはなんと言っても35mmフルサイズのイメージセンサーだからです。イメージセンサーが小さいカメラの場合、実質的な焦点距離が伸びてしまい、必要な広い画角が確保出来ないのです。

サン・モリッツ定点撮影

山に太陽が欠けていき、右の山の隙間から入る光は左の山を照らします。シュミレーション通りの構図です。

画面内に太陽が入る時間帯では強い太陽光の明るさだけでなく、湖面からの反射も入れたいと思い、最適な撮影位置を事前に計算して撮影しました。太陽が良い位置にある時間は限られますから、航空写真や地図で下調べをする一方、映画撮影用に開発されたソフトを使ってシミュレーションを繰り返し行い、撮影に挑みました。結果、出発前には、時間によってどの位置に太陽が現れるかを、ほぼ正確に把握していました。

撮影風景(サン・モリッツ)

残る不安は逆光ゆえに暗部が潰れやすくなってしまうことですが、出かける前に何度もテスト撮影を行った結果、“α”の高い逆光性能が確認出来ていましたので安心して撮影に専念できた事は良かったと思います。

サン・モリッツは、シャンパンエアーと呼ばれるほど空気が澄んでいて、夕焼けも普段はあまり赤くはならないのですが、一瞬の雲の様子を狙う事で赤い夕日のシーンの撮影が可能になります。その一瞬が来るまでの間じっとシャッターチャンスを待つわけです。現場の気温はマイナス3度、その間狙った瞬間を得るために15時間以上立ち続けて撮影します。“α”は低温下でも大丈夫だったのですが、先に自分の手の方がダメになってしまいました。

貫井勇志(ぬくいゆうじ)

貫井勇志(ぬくいゆうじ)

ボストン国際映画祭、ロードアイランド国際映画祭にノミネートされた短編時代劇映画「血族」の監督。映像作家として数々の短編映画を手がけ、その独特な映像世界は「貫井ワールド」として称されている。短編映画だけでなく、広告制作、フリーランスフォトグラファーとしても活躍している。

「“α”が刻む世界の時。」

「“α”が刻む世界の時。」

世界各地の世界遺産(文化遺産、自然遺産)をデジタルSLR “α”で記録し、パソコン用の壁紙として提供する他、様々なイベントなどで紹介していく試み。パソコン用壁紙の提供は、時間とともに表情を変化させる世界遺産を定点撮影、その中から12の時間帯の写真をその時間帯にダウンロード可能としている。

太陽位置を表したデータ

太陽位置を表したデータ

撮影監督など映像製作に携わる人には必需品の太陽位置を示しだすデータ。日時・緯度・経度を入力することにより15分ごとの太陽高度を把握することが可能になります。

サン・モリッツ(スイス)

サン・モリッツ(スイス)

「レーティッシュ鉄道アルブラ線 / ベルニナ線と周辺の景観 」として2008年に文化遺産に登録されたレーティッシュ鉄道のメインラインアルブラ線とベルニナ線が並ぶスイス連邦・グラウビュンデン州に属するの都市。スイス有数の観光・保養地となっている 。

レーティッシュ鉄道

レーティッシュ鉄道

スイス東部を中心に約400kmの路線網を持つスイス最大級の私鉄。

アルブラ線/ベルニナ線路線図

(1)アルブラ線
(2)ベルニナ線
(3)世界遺産

アルブラ線/ベルニナ線路線図

ヒンターライン地方のトゥージスから、エンガディン地方のサン・モリッツを結ぶアルブラ線と、サン・モリッツからイタリアのティラーノまでを結ぶベルニナ線。この2つの路線と周辺に広がる風景が、世界文化遺産に認定された景観です。

レーティッシュ鉄道からの景観

高い鉄道技術で作られたレーティッシュ鉄道はアルプスの大自然の中や、橋の上など高度差1500m以上の中を走ります。列車の作りは外を眺めることができるよう整備されていて、車内から見る景色は世界遺産に登録されたことを納得させてくれます。

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