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業務用オーディオ お客様事例 四季株式会社 様 柔軟に、効率的に運用できるシアター向け音響設備として1.2GHz帯デジタルワイヤレスマイクロホンシステムを導入。ミュージカルの全国ツアーなどで本格運用を開始。

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株式会社CBCテレビ様

日本の演劇界を代表する劇団四季様は、ソニーの1.2GHz帯のデジタルワイヤレスマイクロホンシステムを導入され、2016年4月下旬よりミュージカルの全国ツアーなどで本格運用される予定です。

劇団の制作企画・興行運営を行っている四季株式会社 技術部 音響 金森正和様吉田常夫様森下 要様森田佳照様三谷ふた葉様に、今回の導入の経緯や目的、運用予定、本格運用での期待などを伺いました。

なお、記事は4月下旬に取材した内容を、編集部でまとめたものです。

ミュージカルなどシアター向けに合った性能・機能、対応を評価


新たに導入したデジタルワイヤレスマイクロホンシステムの初運用となる「エルコスの祈り」のポスターとスタッフによる事前検証の様子。梶賀千鶴子作「エルリック・コスモスの239時間」を元にした劇団四季のオリジナルミュージカルで、この後、全国ツアーでの公演も予定されています。


シアター用途に適したボディパック型送信機を210式導入。小型・軽量化に加え、装着する俳優さんたちの安全性を確保するために丸みを帯びたデザインにしました。ダンスパフォーマンスなど激しい動きにも耐えられると好評です。

今回ソニーの1.2GHz帯のデジタルワイヤレスマイクロホンシステムを導入した背景には、電波法の改正に伴う周波数移行があります。劇団四季では、年間3,000回を超える公演を行っていますが、全国に8つある専用劇場だけでなく、全国各地に移動してのツアー公演も含まれます。専用劇場では既設のシステムをそのまま運用することができますが、年間600回から800回になる全国ツアーでホワイトスペース帯を使用するとなると、チャンネルリストの運用が必要になりますので煩雑な手間と時間を必要とします。1.2GHz帯だとそうした面倒がなく、38波まで自由に使用することができますので、それが今回の導入の大きな要因であり、決め手の一つになっています。

400MHz帯や800MHz帯のアナログワイヤレスマイクロホンの時代からソニー製を愛用してきた経緯もあり、音質に対するこだわり、安定性確保の努力など技術力の高さを評価していたことも背景にはあります。

そして最大の決め手ともなったのですが、私たちの細かな要望にも積極的かつ柔軟に対応していただけたことです。ミュージカルなどシアター向けでは、俳優さんたちが身につける送信機の安全性、安定性、機能性が重要になります。ダンスパォーマンスや舞台上で転げ回るなど激しい動きがあったり、時にはカツラの中に仕込んだり、予備を含めて2式装備するといった運用もあります。必然的に小型・軽量であること、俳優さんに負担をかけないこと、誤操作を未然に防止できる配慮などが求められます。

ソニーはこうした要望に、直接設計担当の方々がヒアリングに訪ねてくれ、具体的に対応してくれました。結果的にグレーの本体色、丸みのあるデザイン、スイッチやボタンの配置など、満足できるボディパック型送信機を実現することができました。既存のワイヤレスヘッドマイクが使えるレモコネクター仕様にしてもらえた点も評価しています。

正直、ここまでの対応をしてもらえるとは考えていなかったのですが、国内のメーカーで技術力のあるソニーだから可能になったと感謝しています。


金森正和様


吉田常夫様


森下 要様


森田佳照様

四季芸術センターでの運用、検証テストでも満足できる成果


三谷ふた葉様

シアター向けに特注対応していただいたボディパック型送信機210式に加え、デジタルワイヤレスレシーバーDWR-R02DN/Gを112式、グランドプレーンアンテナAN-57/GとアンテナブースターWB-01/Gをそれぞれ44式、アンテナデバイダーWD-01を9式、デジタルワイヤレスマイクロホンDWM-02N/Gを6式導入しました。これを6セットに区分けして、4セットを全国公演用に、2セットを稽古場運用に使用する予定です。

事前の運用テスト、検証作業は2006年にあざみ野に設けた劇団四季の稽古場としても活用している四季美術センターで行っています。大・中・小10の稽古場があり、さまざまな状況下で運用試験を行いました。


デジタルワイヤレスレシーバーDWR-R02DN/Gも112式装備。持ち運びに便利なパッケージケースも用意。送信機の設定を遠隔操作、管理できる「Wireless Studio」も有効に活用(写真・上/中央)写真・上/右はグランドプレーンアンテナAN-57/G。写真・下は、公演前にスタッフの方による舞台でのパフォーマンスと、音響や照明の事前検証を行っているPA席の様子。

音質に関しては期待どおりで、非常に聞き取りやすく、違和感のない響きを感じることができました。伝送性能も申し分ないと評価しました。

また、多チャンネル同時運用を効率的にサポートしてくれる制御ソフトWireless StudioやCross Remoteの利便性も実感できました。もちろん、シアター運用でどう使っていくかは今後の検討課題となりますが、柔軟な運用に貢献してくれるのではないかと期待しています。

一方、デジタルの課題とされるディレイ(音声遅延)についても気になることはありませんでした。MODE2で約1.5msecの低遅延を実現している点も安心材料となっています。ただ、ディレイはない方がよいという考え方は理解はできるのですが、それを固定観念にしてしまうのはどうだろうか、という思いを一方で感じています。

長期間安定した状態で運用できる信頼性の高さに大きな期待

今回導入した1.2GHz 帯のデジタルワイヤレスマイクロホンシステムは、これから全国を巡るツアー公演で本格運用する予定です。最も期待しているのは、高音質、伝送性能、柔軟な運用に加えてシステムの安定性、信頼性です。北は北海道・稚内から、南は沖縄・宮古島までトラックで運び、営業を含めて40名ぐらいのスタッフで運用を行います。場所によっては音響スタッフは2名程度という所も少なくないのでスピーディーにセットアップし、安全に運用しなければなりません。車の振動、季節やエリアによる温度、湿度、運搬・搬入時の衝撃などに耐えられる安定性と信頼性は欠かせない条件となります。

こうした点でも国内メーカーであることが大きく貢献してくれるのではないかと期待しています。メンテナンスやサポート体制の充実も安心材料の一つになると思っています。まず3 〜 4 演目予定されている全国ツアーを無事に終了できることが最優先であり、それに向けてスタッフ一同で取り組んでいきたいと考えています。

そこで得た成果やノウハウを蓄積することで、より効果的なシアター運用に生かしていきたいと考えます。ロングラン公演が行われる全国の専用劇場でも1.2GHz 帯のデジタルワイヤレスマイクロホンシステムを運用してみることも検討していきたいと思っています。

ソニーには、今後も充実したアフターフォローをいただくとともに、実際に運用している現場の要望に応えるマイクロホンシステムのソリューションを提案してもらいたいいと思います。

2016年9月掲載