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アトムの夢とAIBOの現実 解説:司田武己

第四回 ロボット時代のエネルギー問題
 科学技術の発達が「エネルギー」という礎の上にあることを忘れてはならない。
 現在、我々が享受しているエネルギーの大半は「電気」であろう。もし、電気がなくなれば‥‥と考えただけでもゾッとする。蛍光灯は点かないし、テレビが観られないのは当然、パソコンが使えなくて仕事もできない。それから、携帯電話の充電もできないから友達とも喋れないし、クーラーも使えないので夏は汗だくで過ごさなくてはならない。だから、そんなことは在りえないこととして、電気は無意識に消費されているのが現状だ。
 だが、電気は無尽蔵に存在するわけではない。電気は作り溜めができないために、電力会社は毎日の消費量に合わせて電気を生産しなければならない。従って、電力会社の生産体制が崩れれば、電気が尽きてなくなることは在りうるのだ。夏のピーク需要時などに、節電対策を促す電気への共通意識が高められるのもそのためである。
 ところで、AIBOのバッテリ持続時間は最高2時間半である。2時間半が過ぎれば、充電しなくてはならない。ロボットといえども、エネルギーがなければただの人形になってしまうのだ。それはアトムでも同じことで、原作のアトムは闘いの途中でエネルギー切れになって何度も苦戦を強いられている。
 とはいえ、アトムもAIBOもエネルギーが切れる前に自ら補充する機能は備えている。ただし、AIBOの場合は「おりこうAIBO」というAIBO-wareを装着し、近くにエナジーステーションがあるシチュエーションに限るのだが。
 新作アニメーションでのアトムは、第1話『パワーアップ!』で「ジオワーム」から供給される電気エネルギーと思われるもので動き出した。ジオワームから溢れるエネルギーをアトムは吸い取ったことから、アトムは恐らく、電気を貯蔵できる小型のハイパワーエンジンを搭載しているのではないか。
 ジオワームの発電方式は説明されていないが、メトロシティ全体に電気を供給するほど、ジオワームのエネルギー生産量は大きいことが分かる。だから、第8話『ロボット超特急』のとき、爆弾を積んだネオンライツ号をジオワームに突っ込ませるわけにはいかなかった。時速700キロメートル以下のスピードになると爆発するよう仕掛けられた爆弾を処理するため、アトムは700キロメートルのスピードを保ったまま宇宙空間まで飛び立ち、ジオワームの破壊を防いだ。
 アトムは人間にはできない極限状態の危機を回避してくれたのだ。もし、ジオワームにネオンライツ号が突っ込んでいたら、巨大な爆発を起こしてメトロシティが致命的なダメージを負っていただろう。現実の世界で起こった悲劇を知っているだけにその想像には難くない。
 
 1986年4月26日、ウクライナ共和国のチェルノブイリで発生した原子力発電所の爆発事故は3万人の死者、300万人以上の被災という大惨事を招いた。エネルギー施設の破壊が及ぼす影響は計り知れないことを突き付けた事件だった。なお、1999年、チェルノブイリの放射能汚染を調査するために、米レッドゾーン・ロボティックス社のロボットが使用されている。
 そもそも、地球上の主なエネルギー源は石油と石炭、天然ガスのいわゆる「化石燃料」であり、電力を世界的にみると、化石燃料を利用した火力発電によって全体の半分以上がまかなわれている。特に、石油の消費量は20世紀から飛躍的に伸び、ジェレミー・リフキン著の『水素エコノミー エネルギー・ウェブの時代』(NHK出版)によると、2020年までに地球上にある石油の半分を使い切ってしまうという。
 現在、より安全で再生可能なエネルギーの開発が世界的に進められている。その新エネルギーの一つに「水素エネルギー」がある。各国の自動車会社では、水素の燃料電池で動く自動車が開発されており、2010年までに燃料電池自動車の一般発売が目指されている。
 実際にロボット社会が訪れたとしたら、ロボットがどのようなエネルギーで動くかというのは興味深い。ロボットは自動車のように独立して(コードレスで)動くわけだから、エネルギー源も独立していなくてはならない。たとえば、燃料電池はコンパクトながら高出力を実現するために、ロボットのエネルギーとしては有力な候補かも知れない。ただ、アトムのようなパワーを持つロボットには、燃料電池のような出力では到底足りない。そうすると、水素にこだわらず、安全かつ再生可能なエネルギー物質を利用しなくてはならない。
 エネルギーがなくなることは機械文明の終わりを意味する。我々だけの時代を考えるのではく、我々の子供の時代、そのまた子供の時代を考えて、今からエネルギー問題には真剣に取り組まなければならない。そうしないと、AIBOの先にある、アトムどころかロビタさえも生まれることはないだろう。

アトム豆知識
「シクロノメーター」ってなに?
アトムのオプションの通信レーダー装置のことです。原作の『フランケンシュタイン』の巻で最初に装備されたもので、アトムの正確な位置を知る機能を持ちます。第8話『ロボット超特急』でもアトムが爆弾処理をする際にお茶の水博士から通信装置を渡されることから、新アトムでもオプション装置だと分かります(シクロノメーターとは言ってません)。実はAIBOの通信装置も最近オプションで用意されました。「AIBOアイズ」というAIBO-wareを装着し、携帯電話のメールで留守番しているAIBOに連絡すると、メッセージや写真を送ったりするのです。なかなか現実のロボットも負けていないようですね。


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