What's HDR

映像の高画質化

映像の画質を決める要素として、解像度(平面解像度)、量子化(ビット深度)、フレームレート(時間解像度)、色域、ダイナミックレンジ(輝度)の5つがあります。このうち解像度、量子化、フレームレート、色域の4つについては、UHD(Ultra HD)の放送規格ITU-R BT.2020で規格化されており、HDの放送規格ITU-R BT.709から進化しています。一方、ダイナミックレンジは、カメラが広いダイナミックレンジを保持できるにも関わらず、CRTを基準に映像制作を行ってきた背景もあり、従来のまま(SDR:Standard Dynamic Range)となっています。
しかし、近年、家庭用テレビや業務用モニターの高輝度・高コントラスト化が進み、今まで再現できなかった明るい部分の階調を、肉眼に近い状態で表現することが可能になるHDR(High Dynamic Range)という表現方法が注目を浴びています。

HDRとは

自然界は、夜空の星(10-6 cd/m2)という暗い光から太陽光(109 cd/m2)という明るい光があり、ダイナミックレンジが非常に広い世界となっています。
人の眼は、瞳孔を固定した状態で105のダイナミックレンジがあると言われており、瞳孔を閉じたり開いたりすることで、自然界の広いダイナミックレンジを最適な輝度レベルで見ています。

カメラ/レンズシステムも人の眼と同様に、固定アイリスで105のダイナミックレンジを得ることができ、アイリスを閉じたり開いたり調整することで、最適な輝度レベルで撮影を行っています。

しかしながら、カメラで得られた105のダイナミックレンジも、現在の映像制作プロセスや視聴者が見るまでの伝送、表示するディスプレイの技術的制約により、103のダイナミックレンジまで狭められています。

HDRでは、カメラで得られたダイナミックレンジを失うことなく、映像制作プロセスから伝送、表示することができるようになり、高品位な映像体験が得られるようになります。

効果・ベネフィット

人間の目は、暗い部分から明るい部分まで細かく認識できる能力を持っていますが、従来の映像制作では、暗い部分が黒く潰れたり、明るい部分が白飛びしたり、肉眼で見るような景色が再現できていませんでした。HDRの技術により、黒潰れと白飛びを抑えた肉眼に近いリアリティーのある映像表現が可能になります。

例えば、日中の景色は、車の陰になっている暗部から空や水面に反射する明部まで存在します。HDRの技術を活用することにより、車の影になっている部分が黒潰れせず、空や水面の明部も白飛びせず鮮やかな色で再現でき、解像感を高めることが可能になります。

また、スポーツイベントなどが開催される日中のスタジアムでは、スタジアムの屋根によりフィールドや観客席などの日陰になっている暗部と、日が当たるフィールドや背景の空に浮かぶ雲などの明部が存在します。明るさが大きく異なるため、従来の映像制作手法では暗部、明部のどちらかを優先して撮影するしかありませんでした。HDRの技術を活用することにより、日蔭、日なたどちらの映像も黒潰れや白とびすることのない映像表現が可能になります。

カラーボリュームの拡大

HDRを再現するには、単純に高輝度化すればよいと考えられがちですが、高画質化を進めるには、色域と輝度が密接な関係にあります。カラーボリューム(色空間)の図は、底面に色域、縦軸に輝度を示した図になります。

従来の映像制作(ITU-R BT.709の色域とSDR)に比べ、広色域(色域ITU-R BT.2020)化と高輝度(HDR) 化を実現することにより、扱える色の情報量が増え、特に高輝度部分での色再現性が高まります。
これはつまり、カラーボリュームが拡大するという事になり、使用できる色の数が圧倒的に増えるという事になります。結果として、質感などのリアリティーや立体感が増し、より自然に近い映像表現が可能になります。
これらの高輝度・広色域を表示する家庭用テレビは、ハイエンドモデルから少しずつ市場に流通しており、4Kとともに高画質化技術の一つとなっています。

HDR制作が加速

更なる高画質化を求め、多くのお客様がHDR制作への取り組みを開始しています。ハリウッドではHDR作品の制作を開始しており、海外の映画館で上映も始まっています。Ultra HD Blu-rayではHDRが規格化されており、コンテンツの供給が2016年から始まっています。さらに、インターネット映像配信サービスでは4K HDRコンテンツの配信を開始しています。映画・ドラマなどの分野のほか、スポーツやコンサート、レースなどといったライブコンテンツの分野でも、HDRはコンテンツの臨場感を大きく高める効果があり、今後、HDRの映像制作が拡大していくことが期待されます。

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