おもにテレビ東京の番組制作を手掛ける映像制作会社、株式会社 日経映像様。技術と制作の部署がそれぞれXDCAMメモリーカムコーダー『PXW-Z200』(以下、Z200)を導入し、さまざまな映像制作に活用しています。テクニカルビジネスセンター(以下、技術)の成田 大助 様と、報道制作本部(以下、制作)の増田 彦太郎 様に、それぞれの視点から、『PXW-Z200』導入の決め手や魅力、導入によって得られたメリットなどをお伺いしました。
ーディレクターもカメラを持つのが当たり前に

株式会社 日経映像
テクニカルビジネスセンター 副センター長 兼 日経ビデオバンク
成田 大助 様
成田:当社は日経グループの映像制作会社で、事業内容としては、「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」「新 美の巨人たち」「NIKKEI NEWS NEXT」といったテレビ東京系の番組制作を中心に、報道、ドキュメンタリー、バラエティー、企業VP、インフォマーシャル、映像配信イベントなど、映像制作全般を幅広く手掛けています。

株式会社 日経映像
報道制作本部 ニュース報道部 兼 HR室 兼 情報管理部
増田 彦太郎 様
増田:仕事の流れで言うと、私が所属する制作が受注した仕事に対して、成田が所属する技術が、使用するカメラ、照明機材、音声機材などを選定し、技術のカメラマンが実際に撮影を行なうというのが基本的なワークフローです。ただ、最近では、ディレクターもカメラを持って撮影を行うケースが増えています。「NIKKEI NEWS NEXT」もそうですし、出演者が多いバラエティー番組なども同様です。何かの“瞬間”を撮りたい場合、やはりディレクターもカメラを持っていないとその“瞬間”を収められないためです。技術のカメラマンが2人、制作のスタッフが2〜3人、全員がカメラを持って、一緒に撮影することも多いです。
ー求めていたのは、さまざまなシチュエーションを1台でカバーできるカメラ
成田:これまで、我々、技術のカメラマンは、機動力の高さや使い勝手のよさからNXCAMカムコーダー『HXR-NX5R』(以下、NX5R)を使用していて、4K撮影が必要な場合にはXDCAMメモリーカムコーダー『PXW-Z150』(以下、Z150)も使用していましたが、『NX5R』は導入から時間が経っていますし、『Z150』は、4K撮影の場合、30pという制約がありました。それゆえ、プロフェッショナルカムコーダー『FX3』『FX6』を現場に持って行くことも多く、出演者を追う時は機動性にすぐれたもの、作品撮りは4K撮影ができるもの、という具合にシチュエーションに合わせて複数台のカメラを使い分けていました。「しかたのないこと」と割り切ってはいましたが、複数台を使い分けなければならないことが課題であり、すべてを1台でカバーしつつ、設定を追い込むことができるカメラを求めていました。
増田:制作の視点で言うと、ディレクターはカメラの扱いに精通しているわけではないので、もっと操作しやすく、それでいてAF(オートフォーカス)性能にもすぐれたカメラを求めていました。マニュアル設定で撮影するディレクターもいますが、制作スタッフの多くはフルオートで撮影するケースも多いためです。
ー高速で精度の高いAF性能に感嘆

増田:技術が求める画質や設定のカスタマイズ性、また、制作が求める操作性やオートフォーカス性能、そうしたニーズを網羅したカメラとして、『Z200』を両部署がそれぞれ導入しました。使ってみてまず驚いたのは、AF性能の進化です。とにかくAFが高速で、精度も高い。これまでは、狙った被写体の奥にいる人物の顔にフォーカスがきてしまうことも多かったのですが、『Z200』ではそうしたストレスがほとんどありません。追従性能も高く、被写体の人物が横を向いてもしっかり追従を続けてくれますし、いざとなれば、液晶画面のタッチ操作で直感的にフォーカスを微調整することもできます。フルオートでフォーカスを安心してまかせられるのは、本当にありがたいです。
成田:『NX5R』とサイズや重量がそれほど変わらず、より高画質で、テレ端からワイド端まで幅広く撮影でき、出演者の撮影から作品撮りまで1台でカバーできるようになったことは大きいですね。また、『NX5R』はレンズの引きしろが十分ではなく、ワイドコンバージョンレンズ(以下、ワイコン)を常に装着していたのですが、そうなると、カメラの前方に重心が偏って、バランスを取りづらいことがありました。その点、『Z200』は十分に引きが取れるので、ワイコンを付ける必要がありません。結果として、重心が安定し、長時間の撮影でも疲れにくくなりました。
増田:ディレクターは1人でカメラや三脚を持って行くことが多いので、機材は少しでも軽くしたいです。それだけに、ワイコンが必要なく、わずかでも機材を軽くできるのはとても助かりますし、重心が後ろにあるおかげで、手首が疲れにくいことは大いに実感しているところです。
成田:技術視点でメリットに感じたのは、設定を細かい部分まで追い込めるようになったことと、さまざまな設定を瞬時に変更できる点ですね。たとえば、『Z150』では、ヘッドホンのボリュームはMENU設定の中に入らないと変えられず、少しもどかしく感じていたのですが、『Z200』ではハードボタンに変更されています。ズームレバーの実用性も向上していますし、アサイナブルボタンが増えたり、壊れやすい部分が改良されていたりと、痒い所に手が届くと言いましょうか、細かい部分までしっかり作り込まれているなと感じました。
ー使い方が限定されず、それぞれの立場でメリットがあるカメラ
成田:バージョンアップ(Ver. 2.01)によって、レンズリングにIRISを割り当てることが可能になりました。2連リングをこれまでのフォーカス・ズームの割り当てから、フォーカス・IRIS、あるいはズーム・IRISに割り当てることや、フレームレート59.94iのインターレース収録に対応したこともあり、懸念していたような“違和感”はありませんでした。2連リングやアサイナブルボタンへの割り当てはカメラマンごとに異なるので、各自がSDメモリーカードを持ち、設定を入れておくようにしています。各カメラマンの好みや、マニアックなシチュエーションにも対応できるカスタマイズ性の高さは、「Z200」の大きな魅力のひとつだと思います。

増田:『NX5R』では3連リングだったレンズリングが『Z200』では2連リングに変更されましたが、制作の視点で言うと、そもそも3連リングを使いこなしているスタッフが少なかったので、まったく問題になりませんでした。ディレクターは出演者を追いかけながら撮影することが多いこともあり、設定を細々と調整する余裕はなく、本体のAUTO⇔MANUALのスイッチをAUTOに切り替えて使うようにしています。AUTOはフォーカス、アイリス、ゲインだけではなく、ホワイトバランス、シャッタースピードと全てがAUTO設定になり、その場に合わせた設定をカメラ側でしてくれます。撮りたい画に集中してカメラの設定に気を配れないこともあるなかで、AUTOに任せて撮れるのは良い点です。慣れていないディレクターが持つときに、AUTO機能があるだけで救われます。すべてのオート性能が向上しているので、『Z200』を信頼して、“おまかせ”しています。
インタビューの撮影をはじめ、引きと寄りの両方が欲しいという場面で、これまでは2台のカメラを用意しなければいけませんでしたが、『Z200』なら、少し引いて4Kで撮影しておけば、後でクロップするだけでいいので、さまざまなシチュエーションを1台でカバーできます。制作のディレクターはフルオートで使うことができますし、技術のカメラマンのように、設定をとことん追い込むこともできる。そういう懐の深さがこのカメラにはあります。
ーカメラワークや絵作りに集中できる

成田:今後は、こだわった撮影にも『Z200』を投入していきたいと考えています。企業VPやインフォマーシャルなど、映像の質感の高さが求められる撮影では、『FX3』や『FX6』を選択することが多かったのですが、そこに『Z200』を混ぜたり、『Z200』を使ってより効果的な映像表現に挑戦したりと、さまざまな可能性があると思います。音声に関しても、4チャンネルまで収録できるのであれば、『Z200』自体をフィールドレコーダーのようにして使うこともできます。そういう意味でも、高いポテンシャルを持つカメラだと思います。引きが足りないこともなく、寄りたい時はグッと寄れて、AFも手振れ補正も優秀なので電源を入れてカメラを構えればなんとかなる、『Z200』が1台あればいい絵が撮れる、その安心感は何よりもありがたいです。オート機能が優秀な分、カメラマンはカメラワークや絵作りに集中できるので、その結果として、より質の高い映像表現が可能になるのではないでしょうか。
増田:ディレクターは、カメラの扱いに精通しているわけではないがゆえにまだ網羅できていない機能を積極的に試していきたいです。そうすることで、よりハイクオリティーな映像を撮影できるようになりますし、映像表現の幅が広がっていくことを期待しています。
使用機材紹介

株式会社 日経映像
※本ページ内の記事・画像は2025年10月に行った取材を基に作成しています。
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