イナダスタヂオ
稲田佑樹 氏

茨城県日立市にあるイナダスタヂオは、長年にわたり学校の卒業アルバム制作を中心に活動してきた、地域に根ざした写真館です。三代目の稲田 佑樹 様は子どもたち一人ひとりの成長の節目や、その時代ならではの空気感を「写真」という形で残し続けています。卒業アルバム制作では全国スクールアルバムコンテストで金賞を受賞するなど、各種コンテストで入賞経験もある稲田様に、スクールフォトでαを使うメリットや便利な機能、「α7 V」になって感じた進化などをお聞きしました。

当社はスタジオ撮影だけでなく、スクールフォトも業務の主軸になっています。保育園、幼稚園、そして小学校から中学校、高校まで多くの子どもたちと関わり、修学旅行や運動会などの行事をはじめ、年間を通して卒業アルバム制作のための撮影を行っています。私で三代目になりますが、スタジオを継ぐ前から子どもが好きだったのでスクールフォト撮影は本当に楽しくて。学校生活でのさまざまな瞬間や、仲間たちとの大切な思い出を切り取るために日々奮闘しています。
以前は他メーカーのカメラで撮影していましたが、年齢を重ねるにつれてその重さに耐えられなくなってきたので小さくて軽いカメラに乗り換えようと検討を始めました。スクールフォトの撮影はハードに動き回りますし、カメラを長時間持ち続けることも多いんです。カメラが小さければその分フットワークも軽くなるので、まずは「小さく軽い」を第一条件に選択肢を絞っていきました。
さらにスクールフォトで重要なのがAFの精度です。とくに幼稚園生は動きが予測不可能なので、一瞬の動きにもピントが食いついて、しっかり追随してくれる俊敏なAF性能であることも重視しています。そのほか、バッテリー性能や過酷な環境にも耐えられる堅牢性なども考慮していくと、ソニーのカメラ一択になり、「α7 III」を皮切りにソニーのαシリーズの導入を進めていきました。

僕は「その子らしさ」を写し込むことに全力を注いでいるので、すぐにカメラを向けず、会話から入るように心掛けています。「写真屋さんでーす」と挨拶をして、楽しく話をしながら距離を縮め、「その子らしさ」を模索しながら自然とシャッターを切っていく。ファインダーを覗いて撮るというよりは、被写体である子どもにとっては撮られた瞬間がわからないように撮影していく感じですね。同時に意識しているのは、会話が生まれるような写真を撮ることです。例えば1枚の写真から先生のことを思い出して、「今、何をしているのかな」と会話のきっかけになるような、そんな写真を撮りたいと思っています。
現在は「α7 V」を使用していますが、正直なところAF性能に関しては「α7 IV」ですでに満足していました。「ここからどうやって進化させるんだろう」と思うくらいでしたが、実際に使ってみるとG Masterシリーズのレンズと組み合わせたときの瞳AFの追随速度が驚異的で、動いている子どもたちを撮影する時に瞳を掴む速度が明らかに向上したと感じました。おかげでミスショットが格段に減り、写真セレクトの際も構図や表情がよりよいものを選ぶことができます。

さらに驚いたのがホワイトバランスの進化です。「α7 V」ではAIディープラーニング技術が採用されたおかげでオートホワイトバランスの精度が上がり、難しい状況でも肌色をきれいに出せるようになりました。例えば、夕方の廊下のシーン。上に蛍光灯があって左側から西日が差し込むミックス光ではホワイトバランスの設定が難しくなりますが、オートホワイトバランスで撮影すればきれいな肌色に仕上げてくれます。また、学校では入学式や発表会といった式典を行う時、体育館に緑色のマットを敷くことが多いのですが、その状態ではどのカメラでも顔がグリーン被りしていました。でも「α7 V」で撮影すれば、すっきりきれいに補正できた状態になっているので、レタッチの手間が省けます。
「α7 V」には、僕が待望していた4軸マルチアングル液晶モニターを搭載されているのもポイントです。バリアングル式とチルト式ではそれぞれの良さがありますが、スタンダードモデルのα7シリーズにおいて、今まではどちらかしか可動できなかったので、両方を備えた4軸可動のモニターはずっと欲しかったんです。これさえあれば、縦横問わず、どんなアングルからでも楽な姿勢で撮ることができます。このほか、幼稚園での発表会を動画撮影した時はカメラ本体が熱くならない放熱性能の向上をも実感できましたし、長時間撮影に欠かせないスタミナ性能も向上しているも見逃せない進化でした。ユーザーとしては「非のうちどころのない素敵なカメラを出してくれたな」というのが率直な感想です。

「α7 V」を使うことでの一番の恩恵は撮影に対する安心感です。スクールフォトはやり直しができない一瞬の連続で、なかでも卒業証書の授与シーンは一発勝負で失敗できない怖さがあります。しかも生徒の背景は紅白幕になることが多いので、コントラストの強さに引っ張られてピントが抜けてしまいがちになります。それを回避するために置きピンにするスタッフもいるくらいですが、「α7 V」は顔認証と瞳認証が優秀なので安心して撮影にのぞめます。ピント合わせやホワイトバランスなどをカメラ任せにできるので、撮影中はどんな表情を残したいか、どの瞬間でシャッター切るか、ということに集中できるのは大きなメリットです。
卒業アルバムには記録写真だけではなく、何気ない日常の1コマをパッと切り抜いたような写真を入れたいと思っています。いかにも記念撮影のような「笑顔でピース」といった写真だけではなく、真剣に取り組んでいる姿や体育祭などで悔しくて泣いているシーンなど、開いた時にその場の音が聞こえてきそうな写真が入っているアルバムが、僕の理想である「青春の空気が蘇る一冊」です。AF性能に優れ、思いどおりの色味で表現できる「α7 V」は、僕が目指す一冊に必ず貢献してくれる頼もしい相棒となっています。