イメージバンクナカジマ株式会社
中嶋 秀磨 氏

長野県長野市の写真館、イメージバンクナカジマの代表取締役を務め、セミナー講演などの情報発信を精力的に行うなど、多方面で活躍している中嶋 秀磨 様。写真家ではなく写“心”家※と名乗る中嶋 秀磨 様ですが、グローバルシャッターによる全速同調が可能な『α9 III』を導入したことで、それまで抱えていたさまざまな課題が解決されたそうです。写真館経営における、『α9 III』導入の価値を伺いました。
※「写心」はイメージバンクナカジマの登録商標です
週末はおもにご家族の写真やウェディングフォト撮影、平日はそれらに加えて地元の企業の皆様の広告写真や情報発信用の動画を撮影しています。一般に、カメラなどの技術習得に必要なのは「1万時間」と言われますが、それを1000時間、500時間と短縮していくためにはソニーのカメラが重要な役割を果たします。ソニーのカメラの機能がとても高いので、習得に時間がかかるカメラ技術を補完することができ、お客様に満足いただける写真を提供できることへつながります。ただ、あえて不満を感じていたカメラの機能をあげるとすれば、ロケーション撮影時によく使うハイスピードシンクロ撮影があげられます。ハイスピードシンクロ設定時のフラッシュは光量が弱く、被写体と距離があると届きにくいうえ、フラッシュへの負荷も大きく、チャージに時間を要するため、シャッターを切りたいタイミングで撮影できないこともありました。もちろん、大型のフラッシュとNDフィルターを使えば光量は確保できますが、バッテリーを含めるとかなりの重量になったり、スタジオから屋外撮影に移行する際、NDフィルターを付けたり、シャッタースピードを落としたりと、どうしても負担が多くなります。また屋内撮影時ではスタジオ内の環境光を明るくしています。GMレンズを開放絞り付近で撮影するのが好きなのですが、例えば1/125秒でF2、ISO100という設定の場合、環境光をセンサーが拾ってシャドー部に色被りが発生します。このように撮影設定の変更や準備に時間がかかり、お客様にお待ちいただいていたことや、提供サービスと撮影技術の超えられない壁などが課題でした。

ソニーのカメラへの信頼感がありつつも、ハイスピードシンクロ撮影などに課題を感じていた中で、登場したのが『α9 III』です。課題を解消する画期的な技術となったのは、全画素を同時に露光、読出しを行なう、『α9 III』に搭載されたグローバルシャッターです。どのシャッタースピードでも通常発光で同調する全速同調が可能なので、屋外撮影ではフラッシュをハイスピードシンクロモードにする必要がないですし、通常発光なのでフラッシュへの負荷も軽く、機材も軽量化できる。もちろん、屋内撮影であってもシャッタースピードを速めて撮影できるため、環境光の影響を受けず、色被りも発生しません。それだけ、グローバルシャッターによる全速同調は、エポックメイキングな技術革新だったと思います。

スタジオと屋外を行き来する撮影スタイルが多い中で、『α9 III』の導入により機材を軽量化でき、テンポよく移動して撮影できるようになったのは大きな変化でした。お客様を待たせなくてよくなり、お客様はもちろん自分自身にもストレスがかかることが減ったと思います。お客様がいい表情をしている時など、シャッターを切りたい瞬間にシャッターを切れるという安心感も生まれました。さらに、グローバルシャッターによって、フラッシュを使う際のシャッタースピードを選択する自由度の向上、スタジオ内撮影にてLEDライトを積極的に使おうと考えていた時に、考慮しなければならないフリッカーの問題から解放されたのも大きいです。テンポよく撮影でき、シャッターを切りたいときに撮影ができ、自分自身の撮影技術を思う存分投入できる『α9 III』は、とても大きなメリットを与えてくれます。
撮る直前まで絵を確認できるブラックアウトフリーも含めて、シャッターチャンスを逃さないという撮影の基本が、より簡単に実践できるようになりました。LEDライトを使っていたとしてもシャッタースピードを速められることでブレを押さえられるので、たとえばお子様が不意にジャンプしている瞬間など、動きのある写真も狙いどおりに撮影できます。また、スタジオ撮影ではお子様が怖がらずリラックスできるよう、スタジオ内は明るくしておくことが多いのですが、フラッシュを使った撮影時に明るいF値でシャッタースピードを速めて撮影できるため、環境光の影響を受けず色被りが発生しません。その結果、さまざまなシチュエーションでの自由度の高い撮影が可能になり、家族写真を毎年撮っているようなお客様などにも、今までとは異なる構図やポージングの写真を提供できるようになりました。

テンポアップの実現やシャッターを切りたいときに撮影できる安心感、さらに、撮影の自由度を高められる『α9 III』は費用対効果の高いカメラだと言えます。グローバルシャッターの機能を生かすことで、撮影が楽になり、クリエイティブやお客様へのサービスに集中できるようになる。もちろん、導入にはそれなりに費用がかかりますが、それに見合う、いや、それを超える価値が『α9 III』にはあります。それぞれの写真館ごとにさまざまなビジネス課題があると思いますが、『α9 III』を導入することで写真館のワークフローをガラッと変えたり、今後のビジネスを展望したりできるようにもなります。そんなことができるカメラは、ほかにはないのではないでしょうか。
※本ページ内の記事・画像は2025年6月に行った取材を基に作成しています。