導入事例CASESTUDY

事例紹介

FineAllies株式会社 様

株式会社ベヒシュタイン・ジャパン 様

『α7S III』と
『Camera Remote SDK』を
組み合わせた
リモート撮影システム
「FA-OPUS」が導く
演奏者とホール運営者の課題解決

音楽教室コンサルティングおよびマネジメントサービスを行うFineAllies(ファインアライズ)株式会社。世界三大ピアノメーカーのひとつであるドイツ・ベヒシュタインの日本法人、株式会社ベヒシュタイン・ジャパンの情報技術アドバイザーとして、ITを中心とした技術支援も行っており、デジタル一眼カメラ『α7S III』と『Camera Remote SDK』(以下、SDK)を組み合わせたリモート撮影システム「FA-OPUS」を開発し、ベヒシュタイン・ジャパンのリサイタルホール「ベヒシュタイン・セントラム 東京」にて常設運営しています。同システムに『α7S III』と『SDK』を採用した理由と、システム導入の意義やメリットについて、FineAllies株式会社 代表取締役 後藤 英夫 様、株式会社ベヒシュタイン・ジャパン 小売営業課 セントラム 東京 店長 富岡 武史 様、そして、ピアニストとして同システムを利用している米津 真浩 様に、話を伺いました。

カメラ制御・録音・ライブ配信まで、
すべてを遠隔で行う「FA-OPUS」

ーIT技術と音楽業界への知見を活かした新たな価値提供を

FineAllies株式会社
代表取締役 後藤 英夫 様

後藤:FineAllies株式会社は、ITを活用した音楽関連サービスを提供する企業です。当社設立前、私は、国内外の大手IT企業にて大規模システム開発に携わり、IT開発エンジニアやプロジェクトマネージャーとしての経験を積んできました。その経験が、コンサートホール常設型のリモート収録プラットフォーム「FA-OPUS」の開発に活かされています。当社の主力事業となった「FA-OPUS」は、収録時にホールスタッフが任意の撮影位置に運び、そこから先はプロカメラマンによるフルリモート操作で演奏者と会話しながらカメラ制御・録音・ライブ配信まですべてを遠隔で行うサービスです。

ー1席分のスペースに設置できる。それが「FA-OPUS」導入の決め手に

株式会社ベヒシュタイン・ジャパン
小売営業課 セントラム 東京 店長
富岡 武史 様

富岡:株式会社ベヒシュタイン・ジャパンは、ドイツ製ベヒシュタインピアノの販売を主軸事業としているほか、ホール・音楽教室の運営、ピアノのマスタークラスの開催など、音楽文化の普及に関わる事業にも取り組んでいます。ベヒシュタインのピアノは、音の透明感や粒立ちのよさ、多彩な音色などに定評をいただいております。またレスポンスのよさにより、弾き手の意図を繊細に反映し、豊かな表現を可能にする点において、多くの演奏家に評価されています。東京・日比谷にある「ベヒシュタイン・セントラム 東京」は、中小ホールと呼ばれる小さなリサイタルホールで、スペースが限られるため、動画撮影のために大掛かりな機材を常設するのは現実的ではありません。『α7S III』と『SDK』を組み合わせた「FA-OPUS」導入の決め手となったのは、わずか1席分のスペースで設置・収納が可能な点にあります。

コンクールビデオ審査の通過率向上に
寄与する『α7S III』の高画質映像

ービデオ審査が主流のなかでのジレンマ

株式会社Avant 代表取締役
ピアニスト
米津 真浩 様

米津:僕は全国各地のコンサートホールでクラシックの演奏会を行うとともに、クラシック音楽の魅力をYouTubeやSNSで発信しています。僕の両親は音楽家ではありませんし、父を早くに亡くしたこともあり、ピアニストを目指すという意味においては、決して恵まれた環境ではありませんでした。さまざまな辛い思いがありましたが、クラシック音楽が近くにあり、それを聴いたり、弾いたりすることで救われてきました。クラシック音楽が日常に溢れ、気軽に聴ける文化を作っていけたら、という思いでクラシック音楽の魅力を発信しています。

近年、国際コンクールや留学のための事前審査はビデオ審査が主流となっていて、手持ちのスマートフォンや、一般的なビデオカメラなどで撮影を行うケースが少なくありません。仮に、まったく同じ演奏をした2人の奏者がいて、どちらか一方がより高品質な映像と音だったとします。そうなれば、審査する側は、どうしても映像と音がきれいなほうを選ばざるを得ません。したがって、事前審査の通過率を上げるには、『α7S III』のような高性能カメラで、プロのカメラマンに撮影してもらうのが望ましいわけですが、それには大きなコストがかかりますし、映像と音の収録、それぞれに専門のエンジニアを呼ぶようなことになれば、それだけで多大な労力になります。「ホールの手配」と「収録業者の手配」を別々に行い、両者のスケジュールを合わせるというのは、想像以上に大変なことです。僕自身の学生時代を振り返っても、「コンクールをたくさん受けたいけれど、レコーディングや映像撮影ができないから受けられない」という状況が多々ありました。

ープロ品質の収録を気軽に利用できる

後藤:演奏動画の収録業務を請け負う場合、収録者側では、カメラマンの現地派遣・機材運搬・設置などに多大なコストと時間がかかります。たとえば、ベヒシュタイン・セントラム 東京は日比谷にありますが、機材を車で運べば駐車場代がかさみ、電車で運ぶにしても、機材は重く、タクシーなどを使わざるを得ません。さらに、収録時間が短くても、搬入・設営・撤収にかかる時間は同じであり、短時間の収録ほど採算が合わないというジレンマがありました。この「運搬・設置するコスト」をゼロにできれば、業務の本質である収録業務のみに時間を割くことができ、演奏者がもっと気軽に、プロ品質の収録を利用できるのではないかと考えたのが、「FA-OPUS」開発に乗り出したきっかけです。

「FA-OPUS」は、ホールに常設し、収録中はプロカメラマンが遠隔からカメラを制御し続けるシステムです。カメラのリモート操作という特性上、制御プログラムが止まることは許されません。長時間の連続稼働に対して高い安定性が求められるため、OSにはLinuxが最適でした。私の技術スキルや経験上、この用途にはLinuxがどうしても必須でしたが、Linux環境からカメラをプログラムで制御できるシステムがなかなか見つからず、実現は困難に思えていたなかで、ソニーの『SDK』がLinuxに対応していることを知りました。

ー奏者の指の動きを精緻に記録できる『α7S III』

後藤:センサーサイズの小さい一般的なビデオカメラやスマートフォンは、暗所性能が低いため、ノイズが多い映像になりやすく、奏者の指の動きをしっかり撮影するのは難しいです。演奏者の将来を左右する国際コンクールや留学のための事前審査に提出する映像としては、お世辞にも満足できるレベルのものにはならないでしょう。ただ、フルサイズセンサーを搭載し、すぐれた暗所性能を備えた『α7S III』なら、コンサートホールのような暗い撮影環境下でも、ノイズが少なく、クリアな映像収録が行えます。また、ピアノの審査では、指の動きが重要な評価ポイントとなりますが、『α7S III』なら指先の繊細な動きまで鮮明に記録できますし、センサーの読み出し速度が速く、繊細な指の動きにゆがみが生じにくいという利点もあります。プロダクション品質とも言える4K 4:2:2 10bit映像の豊かな階調表現により、ノイズが少ないことと併せて、グラデーションが縞模様になってしまうバンディングが発生しにくく、明暗差の激しい環境下でも、クラシック音楽の格調高い雰囲気にふさわしい映像品質を確保できるのです。さらに、フルサイズセンサーと大口径レンズにより、F値を小さくできるため、ピアノ鍵盤の低音から高音の範囲のみにピントが合うよう、浅い被写界深度に調整できます。これにより、演奏に没入しやすい映像表現を実現できます。

ーホール稼働率や収益性の向上にも貢献

富岡:コンサートホール側の視点で言うと、撮影するとなると、カメラの設置や事前準備、人を派遣する工数などに手間がかかり、稼働率に影響を与えていました。また、撮影時にはカメラ用に座席を数人分減らす必要がありましたが、「FA-OPUS」を導入することで、位置さえ決めておけば遠隔で撮影できるうえに、たった1つ分の座席スペースで設置が可能で、収益性も損ないません。稼働率が向上できれば、コンクールを受けられるかた、これからピアニストとして成長されていくかたたちに、当社のピアノに触れていただく機会をたくさん提供することができ、収益性も損なわない。私たちにとっては大きなメリットです。

プロ品質の映像によって、
演奏者本来の実力が正しく評価される

ー『α7S III』と『SDK』が広げる演奏撮影の可能性

後藤:今後は、ベヒシュタイン・ジャパン様のベヒシュタイン・セントラム 東京を起点として、全国の音楽大学・専門学校、およびコンサートホールへ「FA-OPUS」の設置を展開していきたいと考えています。また、「FA-OPUS」の用途としては、①コンクール動画審査用の収録、②YouTubeなどの動画クリエイター向け収録、③リアルなコンサート会場への導入の3つの可能性があります。現在はピアノの収録が中心ですが、「FA-OPUS」を複数台体制にすることで、マルチアングルでの映像制作にも対応でき、YouTubeやコンサート収録のニーズにも応えられるようになります。アンサンブルへの対応も含め、演奏スタイルに合わせた画角制御をさらに進化させていきたいです。そして、将来的には、演奏者の動きを認識した自動カメラワークの実現も視野に入れています。『α7S III』の卓越したオートフォーカス性能と、「SDK」のすぐれた制御性を組み合わせることで、より高度な自動撮影が可能になると期待しています。

米津:たくさんのホール、サロンに「FA-OPUS」が導入されることを願っていて、日本全国に、さらには世界にも広まっていくといいなと思っています。撮影をスマートフォンで済ませている演奏者がまだまだ多いなか、プロ品質の撮影を気軽に利用できるようになり、演奏者本来の実力が正しく評価されるようになることを心から願っています。

富岡:ソニーの『α7S III』と『SDK』を組み合わせた「FA-OPUS」を導入したベヒシュタイン・セントラム東京のメリットを多くのかたに知っていただき、たくさんのピアニスト、演奏者のかたに利用してもらいたいです。多くのかたに利用していただくことで、当社のピアノの美しい音色に触れていただければ、こんなに嬉しいことはありません。

使用機材紹介

デジタル一眼カメラ
α7S III

商品情報

※デジタル一眼カメラ αサイトにリンクします

FineAllies株式会社

FineAllies株式会社

https://www.fineallies.co.jp/
株式会社ベヒシュタイン・ジャパン

株式会社ベヒシュタイン・ジャパン

https://www.bechstein.co.jp/

米津 真浩オフィシャルサイト

https://www.tadahiroyonezu.com/

※本ページ内の記事・画像は2026年3月に行った取材を基に作成しています。

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