法人のお客様[法人向け] カメラ Camera Remote Toolkit Camera Remote SDK 導入事例 株式会社TBSテレビ 様 株式会社WOWOW 様

導入事例CASESTUDY

事例紹介

株式会社TBSテレビ 様

株式会社WOWOW 様

ソニーのSDKとカメラが実現した
低コスト・コンパクトな
リモートプロダクション

放送の枠を超え、ネット配信など新たなメディアチャンネルの拡大とコンテンツ拡充に力を注ぐTBSテレビとWOWOW。その新技術開発部門がタッグを組み、一般企業でも導入できる、コンパクトで低コストなリモートプロダクションシステムを新規に開発。すでにネットライブ配信から地上波における海外からの生中継に至るまで、運用実績を着実に積み上げています。その画期的なシステムの特長と『Camera Remote SDK』の果たす役割、将来に向けた展望について、株式会社TBSテレビ メディアテクノロジー局 未来技術設計部 藤本 剛 様 と 株式会社WOWOW 技術局 技術企画部 石村 信太郎 様にお聞きしました。

リモートプロダクションを
低コストに実現したいという強い思い

ー『Camera Remote SDK』を活用するに至った経緯について教えてください。

株式会社WOWOW 技術局 技術企画部

石村 信太郎 様

石村:当社が制作するコンテンツは、案件によって予算規模が大きく異なります。今までは、制作費が予算に収まらないものについては、ゼロイチで「ゼロ」にするしかありませんでした。新しい技術を取り入れることで制作コストを抑え、そういった、今まで諦めていたものを拾い上げて番組にし、コンテンツの幅を広げられないか、と考えていました。
そこで着目をしたのが、中継現場に赴く人員を最小限にし、遠隔でコントロールを行う「リモートプロダクション」です。
TBSとWOWOWでは、独自に開発した「ライブマルチビューイング」(LMV)という技術を保有していました。マルチストリーム映像を低帯域・低遅延で伝送できる技術です。このLMVを応用することで、安価で一般的な公衆網を利用した、今までにないリモートプロダクションが行えるのではないかと考えました。

株式会社TBSテレビ メディアテクノロジー局 未来技術設計部

エキスパート特任職トップスペシャリスト 藤本 剛 様

藤本:ただ、リモートプロダクションにするだけでは、コスト削減の余地に限界があります。私は地上波番組における制作技術も経験してきていますので、たとえば「1000万円のカメラに1000万円のリモート雲台を取り付ければリモートプロダクションはできる」ということは十分承知していました。しかし、それでは本来やりたかった、制作コストを抑えることはもちろんできません。いかにコンパクトかつ低コストなシステムを構築できるかが肝でした。

石村:リモートプロダクションの着想前から我々が取り組んでいたのが、ソフトウェアベースのプロダクションでした。PCなどを活用し、ソフトウェアベースのスイッチャーを用いたり、手ごろな価格のカメラに対して、独自のリモートコントロールソフトウェアを用いたりすることで、それを作り上げることにしました。

Linux対応のSDKと
環境の異なる様々な現場でも
高画質で撮影できるカメラが決め手

ーαを採用いただいた理由について教えてください。

藤本:当初は他社のカメラを使っていました。安価であったことやSDKが用意されていたことが理由です。しかし、使い勝手の面ではオートフォーカスのスピードが遅かったり、設定できるモードが1つしかなかったり、ホワイトバランスの微調整が行えないなど、多くの不便がありました。さらにカメラの感度も低く、画質がどうしても良くならないというのが悩みでした。

石村:スポーツ競技の中継では、照明を足すことができません。室内競技だけでなく、屋外でも夕方やナイターだと照度が不足してしまいました。また、以前使用していたカメラはダイナミックレンジも狭く、晴天の屋外競技など、日向と影があるシーンでは、暗い方に合わせると映像が白飛びをしてしまう、また明るい方に合わせると黒つぶれしてしまうという課題がありました。以前から別の用途でαやCinema Lineは使っていて、αの感度の高さやダイナミックレンジの広さ、安定性や信頼性の高さはよくわかっていました。αのEマウントには豊富なレンズの選択肢があり、電動ズームレンズが用意されていることも私たちの用途にぴったりでした。

藤本:αは画質も良く、感度も高いことは知っていました。これまでもαやCinema Lineは歌番組やドラマなどでも活用しており、これがリモートプロダクションで使えればと思っていたところにソニーから『Camera Remote SDK』がリリースされました。WindowsやMacOSをサポートするSDKが提供されているカメラは多くあります。しかし、私たちが制御用に使っているLinuxをサポートしているカメラは他になく、この点が導入の決定打になりました。

ーリモートコントロールの具体的なオペレーションはどのようなものですか?

石村:カメラ本体に対しては、カメラのSDKを利用して、ホワイトバランス、ISO感度、シャッタースピード、オートフォーカス、レンズの絞り、ズームなどのコントロールを行えるようにしました。カメラを上下左右に振るリモート雲台の役割として、手持ち撮影用の電動ジンバルを導入しました。このジンバル側のSDKを利用することで、アングルのコントロールを行えるようにしました。
それらの制御は、映像のエンコードやネットワーク送信をしているLinux対応のボードコンピュータNVIDIA Jetsonで行うようにしました。このコンピューターはカメラ1台ごとに抱き合わせています。たとえば、私たちが使用したメインの現場であるテニス中継の場合、カメラ台数は3~5台程度になり、基本的な部分は同一の構成です。

ーソニーのカメラと『Camera Remote SDK』を使用した実際の現場を教えてください。

藤本:2022年の7月に地上波での陸上競技大会の中継に使用しました。東京のTBSテレビ本社からアメリカ・オレゴン州のスタジアムに設置した2台の『α7S Ⅲ』をコントロールして、伝送された4K映像をXR(エクステンデッドリアリティ)スタジオのLEDウォールに映し出す背景映像に使用しました。レンズは、スタジアム全体を約120°もの超広角で映せる『FE 12-24mm F2.8 GM』を選びましたが、周辺部までしっかり映ったキレのいい4K映像をここまでの広角で映せたのは、フルサイズイメージセンサーを搭載しているαならではの性能と思いましたし、スタジオにいらっしゃった方も、あまりの臨場感の高さにテンションが上がっていた様子でした。

また、2019年からテニスの試合のリモート撮影を実施していましたが、2022年3月の高校生テニスの全国大会の配信から、ソニーの『Camera Remote SDK』を用いた『α7 Ⅳ』と『α7S Ⅲ』による撮影に移行しました。レンズについては電動ズームに対応し、動画撮影用に作られている『E PZ 18-105mm F4 F OSS 』を使用しました。2022年12月にはCinema Line カメラ『FX30』も導入し、愛媛で開催されたテニスのジュニア大会の中継に投入しました。

ー『FX30』を導入した理由をお聞かせください。

藤本:まず、イメージセンサーがAPS-Cサイズであるという点が大きいです。望遠撮影がしやすく、被写界深度を深めに取れるため、スポーツ撮影向きであるということです。次に価格がリーズナブルだという点です。レンズの費用を含めて予算にほぼ収めることができました。また、特に『FX30』はCinema Lineということで、動画を長時間撮影する場合の放熱なども考慮されていることが安心感につながっています。画質についても当然ながら申し分なく、オートフォーカスの追従性能は抜群で、これ以上のものはないと思えるほどです。
さらに2023年2月の男子テニスの国別対抗戦では、Cinema Line カメラ『FX6』も加え、こちらも『Camera Remote SDK』を通じてリモートコントロールを行いました。『FX6』については、現場カメラマンによる有人オペレーションにしたのですが、他の無人カメラとの色味や露出の統一のためにリモートコントロールを使いました。『Camera Remote SDK』は幅広い機種に対応しているのが良いところです。2023年3月にはCinema Line カメラ『FX3』も導入しました。

カスタマイズの自由度が際立ち、
撮影スタイルのアイデアが広がるSDK

ー『Camera Remote SDK』を利用した感想はいかがでしたか?

藤本:専用のリモートコントロールソフトウェアの開発は私が行いました。当初使用していた他社のSDKと比較するとソニーのSDKは、設定できる細かさや自由度が格段に高い点が良いと思いました。また、レンズのズームまでもカメラ経由でコントロールできるのがソニーの強みです。アップデートも頻繁に行われ、機能やサンプルコードなどがどんどん追加されています。アップデートが多いほうが、使う側のモチベーションにもなります。Cinema Line カメラについては、リモートコントロールに対応した電動雲台一体型の『FR7』も登場していますので、こちらも利用を検討してみたいと思っています。

ー構築されたシステムの今後の展開についてお聞かせください。

藤本:今後は車両に取り付けての運用なども考えています。たとえばマラソン中継などでは、大型の防振装置を取り付けて、車内でカメラのコントロールをする必要があり、そのために専用の中継車を必要としていました。しかし、このシステムであれば、遠隔でコントロールでき、普通の乗用車やバイクにも搭載が可能です。地上波の番組制作でも、活用の幅を広げていきたいと考えています。

石村:オペレーションに関わる人員も、さらに少人数で行えるよう、AIによるカメラワークの自動化などにもチャレンジしており、すでに実験的に導入をしています。特にコストパフォーマンスにこだわってこのシステムを構築したのは、一般企業など幅広い方々にもご活用いただきたかったためです。一層のブラッシュアップを図りながら、社外にも積極的にシステムやサービスの提供を行っていきたいと考えています。

使用機材紹介

Cinema Line カメラ
FX30

商品情報

※プロフェッショナルカムコーダー サイトにリンクします

Cinema Line カメラ
FX3

商品情報

※プロフェッショナルカムコーダー サイトにリンクします

Cinema Line カメラ
FX6

商品情報

※プロフェッショナルカムコーダー サイトにリンクします

デジタル一眼カメラ
α7S Ⅲ

商品情報

※デジタル一眼カメラ α(アルファ)サイトにリンクします

デジタル一眼カメラ
α7 Ⅳ

商品情報

※デジタル一眼カメラ α(アルファ)サイトにリンクします

株式会社TBSテレビ

株式会社TBSテレビ

https://www.tbs.co.jp/
株式会社WOWOW

株式会社WOWOW

https://www.wowow.co.jp/

※本ページ内の記事・画像は2023年2月に行った取材を基に作成しています。

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