写真家の想いと作品

福田健太郎/風景写真を撮る人にとってベストな選択のカメラ

Profile:1973年、埼玉県川口市生まれ。幼少期から自然に魅かれ、18歳から写真家を志す。日本写真芸術専門学校卒業後、写真家 竹内敏信氏のアシスタントを経てフリーランスの写真家として活動を開始。日本を主なフィールドに、「森は魚を育てる」をキーワードとした生命の営みを見つめ続けている。写真展、著書多数。また、カメラ誌、総合誌、企業カレンダーなどに作品を発表し続けている。

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心地よいシャッター音 利用価値の高いマクロ

暗い森の中一人きりで撮影に集中していると、RX1Rの「コトン」という小さなシャッター音だけが響きます。その音はとても心地よいものでした。レンズをマクロ側にカチッと回すと、最短撮影が20cmになります。撮像素子の部分から20cmですから、被写体とはとても近い。ひとつのカメラにマクロ機能もついているのは、こうした自然の造形に迫って写したいときに、利用価値の高いものだと思います。この葉っぱの写真を拡大してみると、葉脈のひとつひとつがものすごくクリアに撮れて、濡れた葉っぱの表面が浮き上がるように撮れているのがわかります。ぬめっとした質感もしっかり表現されて、高温多湿な森の湿度が伝わってきます。ガツンと葉っぱの存在を強く出したかったので、クリエイティブスタイル「クリア」という、明暗差をくっきり分けてくれるモードを使いました。レンズ一体型設計の利点でしょう、周辺部までしっかりと描写しています。大きな画面で見ても気持ちがいいし、小さいプリントや画面でもその精密さが伝わってきます。

写真に慣れた撮影者も、もう一度鍛えてくれる

海を見渡せる場所に登りました。こういう場所ではやはりズームレンズが欲しくなってしまいます。気づいたのは、いつものように超広角から超望遠まで一通りレンズを持っている自分なら、太陽の周囲を望遠レンズで切り取るだろう、ということです。ところがRX1Rで撮っていると、周りの構成をどうするかも考えるようになる。レンズ交換とは違った目で考えるようになるし、そのことで写真がいい方向へ行く可能性がいっぱいある。写真に慣れるほど「こう撮るべきだ」というだけでなく、惰性で「こうなってしまっている」ということがあります。RX1Rでは、また違った引き出しが必要になります。撮影に慣れ、熟達した人でも、もういちど原点に戻って鍛えてくれるカメラですね。でき上がった写真を見ると、広がりのある周辺の

風景のなかで、かえってこのほうが太陽に目がいくかも知れないと感じました。他に情報がいっぱいあっても、工夫すれば人は自分が魅力的だと思った所に視線を合わせてくれる。写真とはそういうものだとあらためて感じました。

風、匂い、音。 RX1Rだから出会えるものがある

暑いさなかの海岸線。草木も揺れている。青い空にただよう雲もけっこうな速さで流れている。RX1Rを持って旅に出ると、肌で感じる風や、匂い、音など五感に響いてきたものを写真に残したくなります。私にとっても、レンズ交換のできる一眼カメラセットのサブとしてはもちろん、レンズ一体型設計の完成度の高さからこのカメラをメインとして選ぶ場面も多いと思うし、旅先ではRX1R一台だけで充分に満足できる写真が撮れるのではないかとも感じます。このカメラだからこそ撮れる風景、出会い、瞬間を見つけていけばいいのです。手ブレ補正機能がないことはあまり気になりません。まずしっかりとカメラをホールドすること。フラフラするカメラではないので、充分にできます。私は手が大きいほうなのですが、このカメラは

手にしっくり馴染んで操作もしやすい。シャッター速度を速くしたり、高感度にも強いから感度もためらわずに上げられる。手ブレ回避の選択肢はたくさんあるのです。

呼応し合う、被写体とカメラと自分。 RX1Rで、新しい可能性を拓こう。

RX1Rは、風景写真を撮る私にとっては
何にも代えがたい、すごい描写力を持ったカメラ。
でもそれ以上に、被写体とカメラと自分、三者が
お互いに呼応し合って写真が生まれていくことを
あらためて強く感じさせてくれるカメラです。
常に持ち歩いてあらゆるものを撮影したくなります。
日ごろあまりシャッターを押さないものに目を向け
いままで行かなかった方向に踏み込んでいきたい。
そんな、新しい可能性を拓いてくれる道具なのです。

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