週末フォトグラファー&ビデオグラファーとして、
ポートレートをメインに日本の四季を表現しているnabecamさん。
αオーナーでもあるnabecamさんに、
VLOGCAM ZV-E1で撮影したシネマティックVlogの作品解説と
撮影のポイントについてお聞きしました。
あなたもお持ちのαで、シネマティックVlog撮影に挑戦してみませんか。
フォトグラファーの
撮影の裏側を残したい
作品のテーマと表現したかったことを教えてください
nabecam
この作品は、フォトグラファーの「撮影の裏側」がテーマです。私が普段、どんなふうに撮影遠征を行っているのかを動画で残しておきたいと思って制作しました。遠征は深夜に出発することが多いので、夜、車で移動するシーンから始まり、現地に着いて撮影をするという、時間軸に沿った構成にしています。
撮影当日は天候が悪かったのですが、予定を変更することができなかったため、撮影を決行しました。幸いにも撮影を始める頃には天候が回復し始め、時間の流れとともに天気の移り変わりも表現できました。作品のストーリー性も生まれ、結果的には良かったと思います。
お気に入りのシーンを教えてください
nabecam
冒頭の夜の雨のシーンは、車のヘッドライトに照らされる雨粒や、ワイパーに拭われフロントガラスを流れていく雨水が情緒的で、お気に入りのシーンのひとつです。αはノイズが出にくいので、夜のシーンもきれいに撮影できます。特にVLOGCAM ZV-E1はノイズ処理に優れていて、ISO感度を3200ぐらいまで上げても、ノイズが全然気になりませんでした。ノイズのない引き締まった黒の表現で、夜の雨の美しさがさらに際立ったと思います。
00:05〜00:17
nabecam
もうひとつのお気に入りは、2分12秒あたりの森のシーンから、最後の記念撮影までの流れですね。湖の場所には何度か訪れていますが、こんなにはっきりと富士山が見えたのは初めてでした。直前まで雨が降っていたおかげで、いい感じに靄(もや)がかかっていて、本当に印象的で特別なシーンになりました。
02:12〜02:14
02:16〜02:17
今回、初めてシネマティックVlog設定を使ってみて、いかがでしたか
nabecam
動画作品を制作するときは自作のLUTを使って編集しているので、思い通りの色味に仕上がるのか正直不安でした。実際に使ってみると、撮影の段階から完成イメージに近い色味やレターボックスが付くので、編集ではほぼ素材を並べるだけでした。編集がシンプルかつ短時間でできるようになるのが、大きなメリットだと思います。
この作品では、夏前の季節の色鮮やかさを表現したかったのでLookは[CLEAN]、森の中で撮影するのでMoodは[FOREST]を使用しました。このシーンは滝の美しさに感動して、見ている人にも追体験してほしいと思いながら撮影しました。[FOREST]は緑と青が強調される印象で、木々の緑と滝の清涼感がより伝わるシーンになったと思います。
01:14〜01:16
「シネマティックVlog設定」*1で、
より印象的な映像に
シネマティックVlog設定は、複雑なカメラ操作をすることなく、映画のワンシーンのような印象的な画づくりを直感的に一括設定できる機能です。意図した表現やシーンに合わせてLook(ルック)やMood(ムード)*2を使って撮影することで、誰でもかんたんにシネマのような映像表現が可能になります。
Look:S-Cinetone / CLEAN / CHIC / FRESH / MONO
Mood:AUTO / GOLD / OCEAN / FOREST
*1 動画 / S&Qモード時有効。S&Qモード、かつ[XAVC S-I 4K]選択時はシネマティックVlog設定を使用できません
*2 Lookが[Mono]のとき、Moodは選択できません
※「シネマティックVlog設定」搭載モデル:VLOGCAM ZV-E1、VLOGCAM ZV-1 II(2023年9月現在)
ぼけの表現が効果的だと思うシーンはありますか
nabecam
冒頭のシーンは、ぼけ表現があったからこそ、ヘッドライトや雨粒を印象的に残せたと思います。使用したレンズFE 20mm F1.8 Gは正円に近い玉ぼけがとても美しく、より一層印象に残るシーンにすることができました。
また、前ぼけの表現で気に入っているのが、2分23秒あたりの室内のシーン。富士山から室内へとズームアウトしていき、最後に前ぼけの障子を入れることで、奥行きのある空間が表現できました。私は動画を撮影するときも写真の構図を意識していますが、このシーンでは写真の構図がうまくはまったと思います。
02:18〜02:23
静止画の作品が挿入されていますが、意図と効果を教えてください
nabecam
動画と写真の親和性をどう高めていくかというのが今回の作品の裏テーマだったので、写真を織り交ぜる構成にしました。フォトグラファーにとってストーリーのある動画を作りやすく、写真と動画両方の良さを生かせる構成になったと思います。
αは静止画も撮って出しのクオリティが秀逸です。写真で使ったクリエイティブルックの[FL]は、青や緑が印象的で、コントラストにもメリハリがあり、編集では明るさを少し調整したくらいで、ほとんど手を加えていません。さらに、VLOGCAM ZV-E1は動画と静止画の切り換えがスムーズにできるので、動画撮影中でも静止画がすごく撮りやすかったです。
02:40〜02:45
「クリエイティブルック」で、
動画も写真も思い通りの雰囲気に
クリエイティブルックは、カメラにプリセットされた画づくりのための機能です。全10種類のモードから選んで、撮影段階で映像の質感や色味を思い通りの雰囲気に仕上げることができます。
詳しくはこちら
※「クリエイティブルック」搭載モデル:α1、α7R V、α7S III、α7 IV、α7CR、α7C II、α6700、VLOGCAM ZV-E1、VLOGCAM ZV-1 II、VLOGCAM ZV-1F、FX3、FX30(2023年9月現在)
モデルさんは雰囲気のある方で、着物と和傘がとても印象的でした
nabecam
着物は日本の風景と文化を発信する上で相性がいいと感じたので、数年前からモデルさんに着物を着てもらうことが多くなりました。彼女も着付けを勉強したことで、遠征のときでも自装ができるようになりました。
和傘は風景の中でアクセントとなるので、撮影時によく使用します。この日も和傘は使用していましたが、雨予報だったため和傘に見える雨傘と通常の和傘を持参し、天候に合わせて使い分けていました。
01:22〜01:35
この作品の撮影に使用したレンズと機材を教えてください
nabecam
レンズは基本的にFE 20mm F1.8 Gを使って撮影しています。霧のシーンではFE 16-35mm F2.8 GMを使用しました。富士山のタイムラプスや、森の中での離れた場所からの撮影には、FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIを使用しています。
ジンバルは1、2カ所で使用しましたが、ほとんどのシーンが手持ち撮影です。また、最後の記念写真のシーンでは三脚を使用しました。
時間の流れを生かした表現が
動画の魅力
動画を撮るようになったきっかけと、撮影スタイルを教えてください
nabecam
6年前、AUXOUTさんの動画を見て「シネマティックVlog」というジャンルがあることを知ったのが、動画撮影のきっかけです。いざ撮り始めてはみたものの、フォトグラファーである自分にとっては写真撮影がメインだったため、動画の撮影や編集にあまり時間をかけることができず、なかなか形にできずにいました。現在は、写真を撮るときに動画も撮影するというのが、私の撮影スタイルになっています。
nabecamさんが考える動画の魅力と、動画撮影で意識していることを教えてください
nabecam
写真は瞬間を作り込んで残せることが魅力ですが、動画は過ごした時間や場所、空気感まで残せるのが魅力だと思っています。写真でいうと組写真に近い感覚ですが、ちょっとした表情の移り変わりなどは、写真では残せません。時間軸でのニュアンスの変化まで表現できるので、ドキュメンタリー性の高い作品づくりができると思います。
動画を撮影するときは、写真にはない、動画ならではの表現を意識しています。S&Qはまさに動画にしかできない表現。日常では見ることができない被写体の姿を映すことができます。また、カメラワークを使って空間や状況を説明できるのも、動画ならではだと思いますね。
S&Q(スロー&クイックモーション)で、動画ならではの表現を
αにはS&Q機能が搭載されているので、カメラだけで手軽にスローモーション/クイックモーション映像が撮影できます。モードを「S&Q」に合わせて、記録設定やフレームレートを選ぶだけなので、操作も簡単。例えば水の流れや人物の動きなどではスローモーション、雲の動きなどではクイックモーションを使えば、より印象的な動画作品が作れます。
VLOGCAM ZV-E1(無償アップグレードで4K 120pに対応)では、シネマティックVlog設定時のフレームレートは24pに固定されますが、ボタンで切り換えればS&Qで4K 60p(2.5倍スロー)や4K 120p(5倍スロー)が可能となり、さらに映像表現の幅が広がります。
※VLOGCAM ZV-E1の無償アップグレードについてはこちらをご確認ください
魅力的な動画作品づくりに
欠かせないカメラワーク
カメラワークとは、動画を撮影するときの「カメラの動かし方」です。さまざまなカメラワークの特徴を理解して撮影に取り入れれば、より相手に伝わりやすい動画作品をつくることができます。
詳しくはこちら
VLOGCAM ZV-E1を使って動画を撮影してみた感想をお聞かせください
nabecam
私はいつもα7 IVで動画を撮影していますが、VLOGCAM ZV-E1は機動性に優れているので、今まで気軽に撮れなかったようなシーンにもチャレンジできました。動画の素材がいつもより多く撮れたので、ますます作品づくりがしやすくなりそうです。またカメラもコンパクトなので、モデルさんも「撮られている!」という圧迫感が軽減されていたようです。そのため、いつもより自然な表情を多く撮ることができました。
一番驚いたのが、手ブレ補正「ダイナミックアクティブモード」の性能の高さ。ジンバルを使う必要がほとんどなく、手持ちで気軽に撮影できました。自分が写っているシーンはモデルさんが撮影していますが、安定したフレーミングで撮ってもらうことができました。
VLOGCAM ZV-E1は、シネマティックVlog設定や手ブレ補正「ダイナミックアクティブモード」など、撮影体験を円滑にする技術で、今までできなかったことや苦手だったことを簡単にできるようにしてくれるカメラです。動画も写真も撮るだけでいい感じに仕上がるし、大変な編集も必要ありません。これからもVlogづくりで活躍する存在になると思います。
01:41〜01:47
作品づくりに使用した
カメラとレンズ