撮影がより快適になる プロのαメンテナンス術

プロはαをどのようにメンテナンスしているのでしょうか。さまざまなジャンルの第一人者に、日頃の創作活動の中で行っているカメラやレンズ、アクセサリーのメンテナンスについて聞きました。今回は、写真家の福田健太郎さんのメンテナンス術をご紹介します。

写真家

福田 健太郎

福田健太郎氏 愛用の道具

写真家

福田 健太郎

1973年、埼玉県川口市生まれ。幼少期から自然や風景、その土地に暮らす人々に憧れ、18歳のとき写真家を志す。写真家 竹内敏信氏の助手を経て、1997年より写真家として活動を開始。日本列島を主なフィールドに、生命に溢れる万物の姿を見つめ続けている。

メンテナンスはいい作品を
残すための基本ルーティン

私は主に自然風景を撮影しているため、屋外でレンズ交換をする機会が多く、どうしてもセンサーやレンズにゴミが付着する可能性が高くなります。さらに、絞り込んで画面全体にピントを合わせる撮影が多いため、ちょっとのゴミでも驚くほどくっきりと写ってしまいます。

デジタルカメラを手にしたばかりの今から20年以上前、写真に写る“黒い点”の正体がゴミだとすら気づかず、レタッチ技術もなかった頃は、本当に悔しい思いをしました。また、レンズの後玉に自分の髪の毛が付いたまま撮影してしまい、その日撮った写真が台無しになったことも。

その苦い経験があるからこそ、私は今、センサーとレンズには常に細心の注意を払っています。撮影技術と同じくらい、機材のメンテナンスは作品づくりにとって重要です。みなさんも日々のルーティンとしてメンテナンスを取り入れていただき、素敵な作品をたくさん残していただきたいと思っています。

写真家 福田健太郎

出かける前のメンテナンス

チェック・充電・フォーマットがルーティン

撮影に出かける前には、まずはカメラとレンズをチェックします。持って行く機材をテーブルの上に並べ、センサーとレンズにゴミやホコリが付着していないかをチェックします。

センサーのチェックは、カメラにレンズを装着し、絞りをF22ぐらいまで絞って白い壁などを撮影して、黒い点々が写り込んでいないかをチェック。もしゴミやホコリが付いていたら、カメラの「センサークリーニング」機能を使って振るい落とすか、ブロアーで吹き飛ばします。
* 一部機種には搭載していません

また、「電源OFF時のシャッター」は[入]に設定しておくと、センサーがむき出しにならないので、レンズ交換時のセンサーへのゴミの付着リスクが少なくなります。シャッター幕には絶対に触らないように注意しましょう。

カメラとレンズをテーブルに並べ、どれを持っていくか選びながら、ゴミやホコリのチェックを行う。
白い壁などを撮影し、センサーをチェック。絞り開放だとゴミが写らないので、絞り込むのがポイント。

また、「電源OFF時のシャッター」は[入]に設定しておくと、センサーがむき出しにならないので、レンズ交換時のセンサーへのゴミの付着リスクが少なくなります。シャッター幕には絶対に触らないように注意しましょう。

「センサークリーニング」と「電源OFF時のシャッター」はMENUの「アンチダスト機能」で設定できる。
屋外でレンズ交換を行うことが多いので 「電源OFF時のシャッター」は常に[入]に設定している。

マウントも入念にチェックします。端子部にゴミやホコリが付いていると、レンズが作動しないなど不具合の原因になります。もしゴミなどが付着していたら、ブロアーや綿棒、クリーニングクロスなどでそっと取り除きます。最後にレンズをカメラに装着し、絞り値やシャッターの動作が連動できるかもチェックしておきます。

また、ファインダーは長く使い続けていると、知らず知らずのうちに汚れていることが多いものです。クリアな視界で撮影するために、ファインダーもきれいにしておきましょう。

次に、予備バッテリーも含め、すべてのバッテリーをフル充電の状態にします。メモリーカードはフォーマットしないとすぐに容量がいっぱいになってしまうので、毎回フォーマットしています。バッテリーの充電とメモリーカードのフォーマットは、現場で撮影に集中するために欠かせません。

撮影現場には予備バッテリーを持っていくので、出かける前は数本のバッテリーを充電している。
メモリーカードの交換頻度を減らしてテンポよく撮影するために、フォーマットは重要な作業。

撮影現場では機材の温度管理に注意

撮影現場ではメンテナンスは行いません。もしセンサーやレンズにゴミやホコリが付いてしまったら、ブロアーで吹き飛ばすだけです。水滴はクロスで拭くと拭き跡が残ってしまうので、水滴もブロアーで吹き飛ばすのが基本です。

ブロアーは撮影現場の必需品。ゴムの硬さが自分の手に合っていて、しっかり風量があるものがベスト。

また、気温の低い冬の時期や、湿度の高い梅雨の時期、特に注意したいのが結露です。撮影中、外気にさらされていた機材を温度差の激しい室内や車内に持ち込むと、すぐに結露が発生します。カメラやレンズの内部に発生すると、1〜2時間は次の撮影ができなくなることもあります。特にズームレンズは隙間から外気が入りやすいので注意が必要です。

撮影が終わったら、機材を密閉性の高い防水バッグに入れて、寒暖差のある空気にさらさないようにしています。防水バッグがない場合は、乾いたタオルに包んでビニール袋に入れ、固く結んでおくとよいでしょう。

車での移動中は、外気との温度差が少ない後部座席やトランクに機材を格納し、窓を開けて外気を取り込むようにしています。

宿泊所に戻っても、すぐにはカメラバッグから機材を取り出しません。室内の温度を冬なら低め、夏なら高めに設定し、1〜2時間そのまま放置します。部屋の気温に慣れてきたら、カメラバッグからそっと取り出し、テーブルの上に並べて乾燥させます。

ブロアーは撮影現場の必需品。ゴムの硬さが自分の手に合っていて、しっかり風量があるものがベスト。
この防水バッグは家庭用の防水性能だが、大きさがあって望遠ズームレンズがそのまま入るので重宝している。

帰ったあとのメンテナンス

データを保存し、バッグから機材を取り出す

現場から帰ったら、まずは撮影データを外付けハードディスクに保存します。

次に、カメラバッグから機材をすべて取り出し、テーブルの上に並べて乾燥させます。レンズキャップも外して、内側も乾燥させるようにしています。

カメラやレンズの外側に付いた汚れは、クリーニングクロスでやさしく拭き取ります。マウントはレンズ交換時に擦れて金属片が発生しやすい部分です。ブロアーできれいにしておきましょう。

ダイヤルやファインダーなどデリケートな部分は、ブロアーでゴミやホコリを吹き飛ばす。

指紋が付きやすいフィルター類は、レンズ専用のクリーニングペーパーにクリーニング液をつけ、汚れをやさしく拭き取ります。キズが付きやすいので強く擦らず、頻度も最小限にとどめておきます。

ダイヤルやファインダーなどデリケートな部分は、ブロアーでゴミやホコリを吹き飛ばす。
フィルターの溝など細かい部分に付いたゴミやホコリもブロアーで吹き飛ばす。

高温多湿を避け、直射日光が当たらない場所に保管

カメラやレンズの保管は、しっかりと湿度管理ができる防湿庫が理想的です。防湿庫がない場合は、密閉ボックスでもいいと思います。密閉ボックスに保管する場合は、除湿剤を入れて定期的に交換してあげると、カビが発生する恐れが少なくなります。

私は頻繁に撮影に行くので、すぐに持ち出せるように、安定した棚やテーブルの上に置いています。家の中でも湿度が低く、直射日光が当たらない、不用意に触れることのない場所を選んで置いています。

避けてほしいのが、機材をカメラバッグに入れっぱなしにしておくこと。湿度や直射日光に注意しながら、身近な場所に保管するのがおすすめです。ぱっと手に取って操作を楽しんだり、次の撮影のイメージを膨らませたりすることも、カメラの楽しみの一つだと思います。

カメラやレンズは、湿度が少なく過ごしやすい室内の安全な場所に保管。すぐにパッキングして出かけられるように、近くにカメラバッグも保管している。

避けてほしいのが、機材をカメラバッグに入れっぱなしにしておくこと。湿度や直射日光に注意しながら、身近な場所に保管するのがおすすめです。ぱっと手に取って操作を楽しんだり、次の撮影のイメージを膨らませたりすることも、カメラの楽しみの一つだと思います。

ファームウェアはいつも最新にアップデート

カメラのファームウェアをアップデートすると、カメラやレンズの性能や機能が向上するので、私は常に最新の状態にしています。製品登録をするとアップデートの情報が送られてくるので、届いたらすぐに更新するようにしています。

スマートフォンにCreators’ Appをインストールしておくと、手軽にファームウェアのアップデートが行えます。 Creators’ Appは、スマートフォンをカメラのリモコンとして使用することもできるようになるので便利です。

Creators’ App について詳しくはこちら

対応カメラ

FX3、FX2、FX30、α1 II、α1、α9 III、α7R V、α7S III、α7 V、α7 IV、α7CR、α7C II、α6700、ZV-E1、ZV-E10 II、ZV-1 II、ZV-1F、RX1R III、ILX-LR1

* 本体ソフトウェアアップデートにて対応

サービスを利用したメンテナンス

自分でできないメンテナンスは専門スタッフに依頼

センサーに付いたゴミがどうしても取れない場合は、αの「清掃・点検サービス」を利用しています。最近は新しい機材を使用していることもあり、定期的に利用することはなくなりましたが、1日に何千枚も撮影していたときは、1年に1回、必ず点検を受けていました。

「清掃・点検サービス」は車検のようなものです。長く使っていれば不具合が起きる可能性が高まります。撮影に集中するためにも、専門スタッフによる清掃・点検を受けることをおすすめします。特にシャッターを切る回数が多い方は、定期的に点検を受けると安心して撮影に臨めると思います。

安心して撮影に臨むために
定期的な清掃・点検を

清掃・点検サービスは、お持ちのデジタル一眼カメラαおよびレンズを、専門スタッフが清掃・点検し、ソフトウェアアップデートも行うメンテナンスサービスです。全国対応の「引き取りサービス」は、当社指定の宅配業者がご自宅まで機材を引き取りにうかがい、清掃・点検後にお届けします。さらに、αあんしんプログラム 会員の方は、通常価格の最大50%OFFで清掃・点検サービスにお申込みいただけます。大切な機材を長く快適にご使用いただくために、ぜひこの機会にご利用ください。
* 別途送料がかかります

メンテナンスでαをベストコンディションに

お持ちのαを末長くご愛用いただくために、
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