商品情報・ストアヘッドホン The Headphones Park 開発者インタビュー MDR-1AM2 開発者インタビュー PART2

Engineer’s Interview MDR-1AM2 開発者インタビュー

ソニー株式会社 ブランドデザインプラットフォーム
クリエイティブセンター 八重樫 拓さん

――MDR-1AM2は前モデルのMDR-1Aと比較して、軽量化、コンパクト化が図られているとのことですが、この点についてデザイン的にはどう取り組んだのでしょうか?

八重樫  軽量化とデザインの両立は、このモデルの重要なテーマでした。単純な軽量化ではなく、MDR-1シリーズとして進化した造形表現との両立を目指して取り組みました。オーディオプロダクツのデザインコンセプトに「コンデンス・アンド・コンプレス」、つまり凝縮、圧縮していくことがベースにあります。それを目指すために、エッジや稜線をなくして要素を減らすことで、よりミニマルで一体感のあるデザインを表現できたと思います。

ハンガーからシームレスにケーブルに繋がっている造形

――大きさ、重さは減らしながらも、見た目は初代のMDR-1Rの雰囲気をそのまま踏襲しているように感じます。たとえばハンガーの形状を見たとき、変化はあるのですか?

八重樫  デザインの大きな方向性は初代から続いている、ワイヤードならではのハンガーの形状です。ヘッドバンドからハンガーに繋がって、それがシームレスにケーブルに繋がっているという造形コンセプトが大元にあります。初代が発売されて、今回のMDR-1AM2が発売されるまでには、6年という時間がありました。お客様に、この形状がソニー独自のものだと認知されているということも踏まえて、形状は大きく変えずにディテールをブラッシュアップし、進化感を出す方向性でデザインしました。細かい稜線の出し方が変化して、要素がかなりそぎ落とされているデザインになっています。スライダーのパーツもMDR-1Aのタイミングで実現できなかったパーツを1つ削除することができました。それに伴って、スライダーの部分も今まで金属の板の曲げだったのが、アルミのパイプの曲げになり、よりシンプルでソリッドなものになりました。
特にハンガー造形は難しく、MDR-1Aは円をスパッと切って稜線がはっきりしたハンガーでしたが、今回はヘッドバンドからハンガーへと稜線がなくスムーズにつながるデザインになっています。

西田  線を消していくというのをテーマに掲げて、そこに最大限取り組んだモデルだと思っています。前の機種からスライドの部分のパーツも一部品なくなってすっきり仕上がっています。横から見ていただくとわかりますが、2部品に分かれていて、ビスも見えていた部分が、MDR-1AM2では1部品で構成されています。部品割の線を消し、ビスも見えない構造にしました。外装の品位を高めるというのは、デザインと設計の共通の目標ですので、お互いにどうすれば実現できるか議論を重ねました。

――内側だけでなく外側の素材も前回から大きく変わっていますね。

八重樫  今回、ハウジングのフランジ部 にも合成皮革を回し込むデザインを採用しました。ここで一番大きかったのは、持った時の素材感です。現在のスマートフォン全盛の時代で、リアルなマテリアルを肌で毎日のように感じているので、人々の素材に対する感度が上がっている気がしています。なので、この素材感を手で触れてほしいという意味合いもあり、外側の部分にも注力しました。じっくり見ないと気付かないポイントではありますが、手に持って使ったときに、ディテールや質の良さが、ユーザーの方に伝わるのではないかと思います。ヘッドホンの場合、実際に装着することも音楽体験の一部だと考えています。その触感によって、音楽の期待感が醸成され、音楽体験がより上質になることを目指しました。
フランジ部に合皮を回しこんだことによる恩恵は、他にもあります。合皮部分はイヤーパッドと色を合わせているので、イヤーパッドと一体感が増しました。さらに、装着時によりコンパクトに見える効果を得られました。

――改めて今回のMDR-1AM2を開発を振り返って、デザイン面で特に苦労した点はありますか。

八重樫  シルバーのイヤーパッドとヘッドバンドの部分が現行品から大きく色が変わった点で、ハウジングの色味はZX300のシルバーと合わせるのが狙いです。MDR-1Aのイヤーパッドの部分は、シルバーとダークブラウンが家にある高級オーディオとの関連性が見えるカラーバリエーションになっていました。これはこれですごく好評をいただいていました。しかし、現在は世の中の音楽との向き合い方が変わってきていると思います。例えば、ハイレゾのいい音質で音楽を聴けるというのが、家の中でなくポータブルで実現できる時代になりました。カフェで聴く時など外で使うことを想定して、色味などのトレンドを少し取り入れていたのですが、完全に色味を抜き去るのではなく少し赤みを残しました。ヘッドホンはプロダクト単体で完成する製品ではなくて、買ったお客さんが頭につけて音楽を聴いているスタイルが完成形だと考えています。ですので、造形コンセプトであるコンデンス、コンプレスのように要素を減らしていき、人が頭につけたときに主張しすぎない道具感を表現しました。

左が付属のφ4.4mmのバランスケーブル。対応のプレイヤーがあれば、すぐにバランス接続で音楽を楽しめる。

――今回、MDR-1AM2では一般的な3.5mmのステレオプラグだけでなく、φ4.4mmバランス標準プラグのケーブルも同梱していますね。バランスケーブルをあえて同梱している背景を教えてもらえますか。

桑原  高音質ヘッドホン、高音質ポータブル市場自体がφ4.4mmのバランス接続に今後移っていくと我々は期待しています。ただ、これまでφ4.4mmのバランスケーブルはオプションである場合がほとんどで、別途購入しないとバランス接続を楽しめませんでした。そこで、今回は誰でも気軽に使えるように、φ4.4mmのバランスケーブルを製品に標準で付属しています。ZX300のようなφ4.4mmのバランス出力に対応したウォークマンを持っている方であれば、すぐにバランス接続による高音質をMDR-1AM2で楽しめます。
オーディオ機器において大事なことは、音をよりピュアにすることだと我々は考えております。例えばケーブルの材質や構造をグレードアップすると、導体抵抗が少なくなり電流の流れが阻害されにくくなるなど、オーディオ機器における正統な音の改善効果があります。そのうえで音の好みがわかれるところもありますが。バランス接続も同じ考えで、LR共通のグラウンドを持たないため、クロストークが低減され、LRの分離がよりしっかりしてクリアな音になります。音源のもつ定位情報が正確に再生されているわけです。また、改善効果が分かり易いのもバランス接続の魅力ですね。φ4.4mmのバランス接続は、現時点ではまだ広く普及していませんが、最近はプラグが買えるようになり、対応したケーブルも増えていると感じています。標準化された規格でもあるので、今後普及していくことは間違いありません。便利さが認識されていけば自然とハイレゾ市場はφ4.4mmに変わっていくと考えています。

ワイヤードだからこそ「外でも、家の中でも長時間快適に使っていただける」と西田さん。

――ヘッドホンの市場がワイヤレスに移行している中、あえてワイヤードであることの意義についてお話いただけますか?

桑原  ワイヤードはワイヤレスと別物と考えています。ワイヤレスの音質も向上していて、正直ワイヤードと差が分からなくなるぐらいに良くなってきています。ただし、ワイヤードはワイヤードでゆるぎないものだと思っています。ハイレゾ音源の魅力を最大限に引き出せるのは音源を圧縮しないワイヤードならではです。また、ザ・ヘッドホンとしてMDR-1シリーズは、シンプルであるべきだと思っています。電池を気にしなくてもよく、ドライバーにダイレクトに直結されている安心感、音質への信頼感がある。なので、ソニーのセンターのヘッドホンはワイヤードで作っているのです。

西田  ワイヤレスヘッドホンは様々な機能があり便利ですが、ワイヤードのヘッドホンはバッテリーや基盤を積む必要がないため、より装着性を突き詰めることができます。今回、MDR-1Aから約38gの軽量化を実現できたので、外でも、家の中でも長時間快適に使っていただけることが大きなポイントだと思います。

――今回のMDR-1AM2、開発者としてはどんな人に聴いてもらいたいですか?

桑原  高価格帯の製品ですので、まずはヘッドホン好きのお客様に手に取っていただきたいと思っています。もちろん、「いい音のヘッドホンを試してみたい」と初めてプレミアムなヘッドホンを買う方にも、自信を持ってご提案することもできます。ソニーのセンターのヘッドホンとして発売しているので、音楽のジャンルを選ばず聴くことができます。最新の音楽トレンドを踏まえつつ、オールディーズ、クラシック、ジャズまで、どんなジャンルでも活躍できる、というのが我々のセンターのヘッドホンの定義づけです。ですので、世代を問わずお勧めできます。強いていえば、最新の音楽トレンドのポップスやEDMなどをより気持ちよく聴けるように時代に合わせて少しチューンアップしています。

MDR-1AM2とバランス接続が可能なNW-ZX300(別売)

――最後にユーザーの方へ向けて一言お願いします。

西田  快適な付け心地、最高の音質により、心に響く商品になったと思います。ぜひ、色々な方に実際に手に取って質感を感じていただき、聴いてもらいたいと思っています。

八重樫  いろいろな要素がすべて妥協なくブラッシュアップされています。ウェブで写真を見て購入するだけでなく、是非店頭に足を運んで手にとっていただき、この素材感や軽さ、装着感を実際に体感いただいて、すべて納得の上で購入していただけたらなと思います。ミニマルでコンパクトなデザインへと進化していますので、より幅広い方々に手に取っていただきたいです。

桑原  満を持してできたモデルです。音質、装着性、デザインすべてが正統進化しているので、自信をもってお勧めできるヘッドホンです。迷うことなく選んでいただいて、問題ないモデルだと思います。色々な音楽の聴き方や多くの選択肢がある中、ヘッドホン選びに迷っている方、まず第一にチェックしてみてください。

――ありがとうございました。

取材:藤本健

商品情報

MDR-1AM2

あらゆるジャンルの音楽を、ありのままの音で届ける。ソニーのTHE HEADPHONES

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