商品情報・ストアヘッドホン The Headphones Park 開発者インタビュー 1000Xシリーズ 開発者インタビュー PART2

Engineer’s Interview 1000Xシリーズ 開発者インタビュー

オーバーヘッド型同等のノイズキャンセリング性能をコンパクトに実現したネックバンドタイプのWI-1000X

WI-1000X

「業界最高水準のノイズキャンセリング機能を、より持ち運びやすい形にしたかった」と大庭氏

――ネックバンド型のWI-1000Xについて、まず基本的なコンセプトから教えて下さい。

大庭  出発点としては、MDR-1000Xで実現した業界最高水準のノイズキャンセリング機能を、より小型で持ち運びにも最適な形にしたかった、ということです。
地域や国によって人気が高い装着スタイルは変わるのですが、日本国内だと通勤中に音楽を聴く方が多く、イヤホン型が好まれる傾向が比較的高いです。そこでユーザー層としては30代前後のビジネスマンを想定し、デイリーユースしていただきたいなと。スーツにオーバーヘッド型は少し抵抗があるという意見もありましたので、インナーイヤータイプなら気軽に使っていただけるのではないかと考えました。
インナーイヤータイプでもWI-1000Xはネックバンド型です。形状としては2016年3月に発売したh.ear in Wireless(MDR-EX750BT) と似ています。この製品は、音楽を聴いていないときにも首にかけていられるという利便性が好評でしたので、WI-1000Xでも踏襲しました。

左側がフィードバックマイク、右側がフィードフォワードマイク

ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社 V&S商品設計部門 機構設計部 機構設計4課 飛世速光氏

――WI-1000Xはインナーイヤータイプにもかかわらず業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現したと聞いています。その秘訣はどこにあるのでしょうか?

飛世  いくつもあるのですが、まずはデュアルノイズセンサーテクノロジーを採用している点です。
ノイズキャンセリング用に騒音を集音するマイクを2基搭載しています。フィードバック(FB)マイクはドライバーと鼓膜の間の騒音を、フィードフォワード(FF)マイクはヘッドホンの外側の騒音をそれぞれ集音し、デジタルノイズキャンセリングICにより騒音を打ち消す信号を高精度に生成してノイズを低減しています。
FBマイクで外耳道の内の騒音を集音して低減させるFB方式と、FFマイクで外側の騒音を集音して低減させるFF方式の二つの方式を組み合わせることで、広帯域での高いノイズキャンセリング性能を実現しています。本モデルは業界最高峰のノイズキャンセリング性能を目指すモデルですので、デュアルノイズセンサーテクノロジーの採用は必須でした。
スペースが少ないインナーイヤータイプヘッドホンの小さい筐体内にマイクを2基配置するために大変苦労しましたが、機構設計担当 とも協力して何種類もの筐体の試作・評価を繰り返し、筐体構造を小型かつ最大限のノイズキャンセリング性能が得られる構造に最適化しています。
また、業界最高峰のノイズキャンセリング性能の実現の為には、ヘッドホン部の機構の最適化だけでなく、電気回路を含めたシステム全体の設計が非常に重要で、開発チーム全体で話し合いをしながら進めていく必要がありました。

ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社 V&S商品設計部門 モバイル商品設計部 商品設計2課 篠原哲也氏

篠原  電気的な部分の話ですが、強いエネルギーを持った低域のノイズを打ち消すには大きな出力段を持ったアンプや、低遅延で処理できるプロセッサなどが必要です。そのためMDR-1000Xと全く同じフルデジタルアンプS-Master HXアンプとバランス出力、デジタルノイズキャンセリングICのシステムが必須でした。S-Master HXによるSN改善、バランス出力によるクロストークとノイズ改善、デジタルノイズキャンセリングICの超低遅延での信号処理により、業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現できました。
ただし、MDR-1000Xで開発したシステムをこのサイズに収めるのは大変でした。
基板レイアウトやパターン設計を完璧に仕上げないとS-Master HXの性能を最大限に引き出すことが出来ません。その為、最初のデザインを提示されてからは、MDR-1000X開発メンバーやデザイナー、機構設計担当と基板のレイアウト検討に多くの時間をかけました。
また、音質とノイズキャンセリング性能を再優先にしつつ、Bluetoothのアンテナ性能も担保しなくてはいけません。コンセプトとしてはMDR-1000Xを踏襲していますが、実際に出来上がった基板パターンはまったく別のもので、試行錯誤の末にノイズキャンセリング性能、アンテナ性能を維持しつつ、この形状に収めました。

左:ダイナミックドライバー 右:バランスドアーマチュアユニット

――WI-1000XはXBA-N1同様のHDハイブリッドドライバーシステムを採用しています。イヤホンそのものとしても高性能だと思いますが、詳しく教えて下さい。

飛世 WI-1000Xは、XBA-N1やXBA-N3と同様に、9mmダイナミックドライバーとバランスド・アーマチュア・ドライバーを組み合わせた、HDハイブリッドドライバーシステムを採用しています。バランスド・アーマチュア・ドライバーはXBA-N3やXBA-N1と同じものですが、ダイナミックドライバーは、サイズは同じ9mmであるものの、異なるユニットを採用しています。バスの走行音や飛行機のエンジン音などの騒音は、低音域のエネルギーが非常に大きく、それらの騒音を打ち消すためには低音域の感度が高いドライバーユニットが必要になります。
そこでh.ear in NC(MDR-EX750NA) で採用している低音域の感度が高いタイプの9mmダイナミックドライバーユニットを組み合わせています。ノイズキャンセリングに最適なダイナミックドライバーユニットに加え、音質向上のためにバランスド・アーマチュア・ドライバーも加えた贅沢な構成です。このHDハイブリッドドライバーシステムによって、高音質と高いノイズキャンセリング性能を両立させることができました。

――WI-1000XはWH-1000XM2と同様には高音質なLDACコーデックにも対応し、DSEE HXも搭載して、ワイヤレスリスニングでもハイレゾ相当の高音質を楽しめるそうですね。

大庭 今後、Android OではOSレベルでLDACコーデックに対応するため、他社製品を含めて対応製品は増えていくと予想しています。また今回はaptX HDコーデックにも対応しています。
昨今、Bluetooth対応ヘッドホンが増えてきている中で、ユーザーが使っている端末に対して、もっとも良い音質のコーデックで繋がるのは大事なポイントになると思っています。

篠原 高音質に関しては、先にも述べましたが、WI-1000XはS-Master HXとバランス出力を採用したのがポイントです。
LDACなどの高音質コーデックの出力を、繊細な解像感、空気感、クリアな音場で再生できるのがS-Master HXの魅力です。また、バランス出力によって、チャンネル間のクロストークは無く、ノイズ影響も少なくなり、高音質化に寄与しています。開発途上ではネックバンド部のデザイン性の事を考えて、アンバランス出力にして基板を小さくしてはどうかという意見もありましたが、この商品は音質は譲れないということで、デザイナーとも議論の末、S-Master HXとバランス出力の両方を採用しました。

幅の細さにこだわったネックバンドの首かけ部分

――WI-1000Xのデザイン面や装着性でのこだわりポイントを教えて下さい。

熊野  首にかける、という形状なので、ネックバンド部分はやはり細くしたかったんです。しかし先ほどの話にも出ましたが、 音質も妥協できないモデルなので、スリムさだけを追求するのではなく、音質と使い勝手を両立させることを目指し、皆で話し合ってこのサイズにまとめました。
苦労したのはこのステンレス素材を採用した部分ですね、横から見ると三次曲面になっていて、最初は難易度が高く実現は難しいと言われていました。しかし、機構設計担当に、ステンレスの加工を様々トライして頂き実現できたんです。

ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社 V&S商品設計部門 機構設計部 機構設計2課 山本秀人氏

山本  デザインは、ステンレスを全体に回す事をイメージしていると思いますが、それではアンテナ周辺がシールドされて感度が落ちてしまいます。そのため、アンテナ周りは感度が落ちない樹脂を使用し、二次加工にも気を使いました。
また、ネックバンドタイプで筐体も小さいのですが、音響重視なのでMDR-1000X相当の電気部品を入れなくてはいけません。そのため、従来モデルから基板レイアウトや形状を見直し、出来るだけサイズを小さくするのが大変でした。

ソニーロゴやボタン部など、細部までこだわりが詰まっている

熊野  イヤホン部分にはダイナミックドライバーとバランスドアーマチュア、そして2基のマイクがあるという複雑な構成なので、シンプルで質感の高いデザインとしてまとめるには苦労しました。
ネックバンドのハウジング部分はソフトな材質を採用しています。理由は柔らかい触り心地とボタンとボディが一体となったシームレスなデザインを実現するためです。
また、ハウジング周囲のスリットに沿ってケーブルが収納できるようになってます。
この位置からケーブルを出すと耳からの距離を短くできる上、収納時にはケーブルが絡まるのを軽減でき、使い勝手に優れた形状になったと思います。
これはデザインから提案させて頂いたアイデアです。

山本  ハウジング部分にふたつのドライバーユニットを収めたという点ではXBA-N1やXBA-N3も同じですが、WI-1000Xはさらに2基のマイクを搭載しています。しかし、マイクが追加されたからといって装着性を犠牲にすることは許されません。安定した快適な装着感を実現できるように努めました。

商品情報

ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット

WH-1000XM2

ノイズからもケーブルからも解き放たれ、こだわりの高音質に浸る。ハイレゾ級ノイキャンワイヤレス

商品情報

ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット

WI-1000X

ノイズからもケーブルからも解き放たれ、こだわりの高音質に浸る。ハイレゾ級ノイキャンワイヤレス

商品情報

ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット

WF-1000X

ノイズからもケーブルからも解き放たれ、こだわりの高音質に浸る。スマートノイキャンワイヤレス

  • WH-1000XM2
  • WI-1000X
  • WF-1000X

RELATED CONTENTS 関連コンテンツ

  • 月刊 「大人のソニー」
  • ソニーストア
  • Walkman
  • ヘッドホンの歴史
カタログPDFダウンロード
ヘッドホン サイトマップ