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テレビはもっとすごくなれる 小寺(以下 K) ではまずは画質面から。今回はHDの信号にも手を入れられたということですが。 山田 今までのHD対応テレビでは、各社ともHDの信号は特に処理をせず、そのまま表示させていました。ヘタにいじると変になっちゃうので、なかなかいじれなかったわけです。このHDの信号処理技術に対し、我々はもう一度、精細感で勝負しよう、ということになったわけです。 K 具体的には、新たに搭載された「ベガエンジンHD」がポイントになるわけですね? 坂口 もともとSDでは、縦横倍密につくり換えるDRCという技術があったんですが、HDでも信号のつくり換えをやろうと。SDに限らずHDの信号でもそうなんですが、ビデオ信号というのは細かいところまで拡大していくと、波形の立ち上がりや立ち下がりが丸まっているんですね。「ベガエンジンHD」は、その部分を本来のあるべき形にとがらせていくことで、非圧縮の信号に近いカーブに作り換える技術なんです。 K 実際に他社のモニターと比べると、細部のディテール表現がすばらしいですね。 坂口 こだわったのは「質感」ですね。輪郭強調を強めると、輪郭部分が強調されるだけで、見た目はカチッとしたように見えます。ですが表面の精細なディテール、まるで目の前で実物を見ているような質感を出すためには、輪郭強調だけではダメなんです。そこで今回は、あえて輪郭強調は抑えめにして、より自然に精細な信号をしっかり出すことで、この質感を出す方向に注力しました。 K 放送波はMPEG-2で圧縮していますから、この効果は絶大でしょうね。 坂口 HD放送の画像って、そのままでも綺麗だと思っていたでしょうけど、本当は違うんですよ。肌の微妙なザラザラ感や、お皿の凹凸による微妙な模様など、これまでにないHDの画質を、ご覧いただきたいと思います。 音までHigh Definitionを目指す
K ついにテレビにも、「S-Master」が搭載されましたね。 山田 今回の<ベガ>には、いろんな「世界初」がもり込まれていますが、「S-Master」搭載もその一つです。とにかくテレビのアンプで100Wも搭載したのは、世界初※でしょう。今回は音のHD化を目指すということで、オーディオ事業本部の商品企画担当者に参加してもらいました。 K 実際に音を聴いてみると、大音量でもゆがまない余裕はさすがだと思います。 坂口 デジタルアンプ搭載のものは他社にもありますが、同じデジタルアンプでも、「S-Master」は1bitデジタルアンプに比べて、量子化の細かさでは17倍の性能を持っています。音の再現能力も、それだけ原音に近いわけです。 K その表現力に耐えうるスピーカーも重要ですよね。 山田 今までの薄型大画面テレビでは、薄型にこだわるあまり、なかなかスピーカーの容積が取れないという制限がありました。今回はユニットそのもの、つまりコーンの素材から、マグネットの大きさ、エッジの素材など、すべてを見直しました。もちろんエンクロージャーの容積やダクトの抜き方など、パラメーター出しも含めてすべて、音の専門家が設計しています。 K サブウーファーを背面に背負わせるというアイデアはユニークですね。 山田 我々は3Dウーファーと呼んでいますが、大型モデルでは10cmのスピーカーを2個、それ以外のモデルでは8cmのものを4個搭載しています。 ウーファーの大きさやリッター数などをふまえて、どういうやり方が一番効率が良いのか、構造や強度、ユニットの特性などを上手く使った結果、こういう形になりました。それが「S-Master」と相まって、大画面に見合った迫力のある音を、薄型ボディに詰め込むことができました。 このように、次世代のテレビを作るために、「画」と「音」と「操作性」全てに妥協しない商品に仕上げました。それが今回の<ベガ>なんです。
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![]() ソニー株式会社 ホームエレクトロニクス ネットワークカンパニー テレビ事業本部 商品企画部 FTV商品企画課 統括課長 山田 倫靖 ![]() ソニー株式会社 ホームエレクトロニクス ネットワークカンパニー テレビ事業本部 商品企画部 FTV商品企画課 係長 坂口 淳 |
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聞き手 ![]() 映像作家/映像アナリスト 小寺信良 バラエティ、報道、コマーシャルと活動拠点を変え、芸術面と技術面の両方で10数年のキャリアを持つ、映像のプロである。その知識と経験を生かした内容の濃さで、映像関連のライターとして圧倒的な支持を得ている。WEBでは、AV Watch「小寺信良の週刊Electric Zooma!」、ITmedia「アンカーデスク」でコラムニストとして活躍中。 > |
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