待ちに待った<ベガ>の、2004年新ラインナップがお目見えした。
新モデルのポイントは沢山あるが、ここではやはり、ハイビジョンにまできちんと手を入れたという画質、そして大画面フラットテレビふさわしい音質に対するコダワリが知りたいところだ。

テレビはもっとすごくなれる

小寺(以下 K)
 ではまずは画質面から。今回はHDの信号にも手を入れられたということですが。

山田 今までのHD対応テレビでは、各社ともHDの信号は特に処理をせず、そのまま表示させていました。ヘタにいじると変になっちゃうので、なかなかいじれなかったわけです。このHDの信号処理技術に対し、我々はもう一度、精細感で勝負しよう、ということになったわけです。

 具体的には、新たに搭載された「ベガエンジンHD」がポイントになるわけですね?

坂口 もともとSDでは、縦横倍密につくり換えるDRCという技術があったんですが、HDでも信号のつくり換えをやろうと。SDに限らずHDの信号でもそうなんですが、ビデオ信号というのは細かいところまで拡大していくと、波形の立ち上がりや立ち下がりが丸まっているんですね。「ベガエンジンHD」は、その部分を本来のあるべき形にとがらせていくことで、非圧縮の信号に近いカーブに作り換える技術なんです。

 実際に他社のモニターと比べると、細部のディテール表現がすばらしいですね。

坂口 こだわったのは「質感」ですね。輪郭強調を強めると、輪郭部分が強調されるだけで、見た目はカチッとしたように見えます。ですが表面の精細なディテール、まるで目の前で実物を見ているような質感を出すためには、輪郭強調だけではダメなんです。そこで今回は、あえて輪郭強調は抑えめにして、より自然に精細な信号をしっかり出すことで、この質感を出す方向に注力しました。

 放送波はMPEG-2で圧縮していますから、この効果は絶大でしょうね。

坂口 HD放送の画像って、そのままでも綺麗だと思っていたでしょうけど、本当は違うんですよ。肌の微妙なザラザラ感や、お皿の凹凸による微妙な模様など、これまでにないHDの画質を、ご覧いただきたいと思います。

音までHigh Definitionを目指す

テレビに重要なのは、画作りだけではない。音も重要な要素なのだ。新しい<ベガ>の内蔵スピーカーは、すべて2.1ch仕様。背面に薄型サブウーファーを搭載し、外部スピーカーなしにリッチなサウンドを提供する。 アンプ部は、ソニーオーディオ製品で採用されているフルデジタルアンプ「S-Master」を、テレビでは初めて搭載。余裕の100W※で、迫力のシーンも余すことなく再現できる。※KDL-L32HVX/L26HVXは総合出力30W

 ついにテレビにも、「S-Master」が搭載されましたね。

山田 今回の<ベガ>には、いろんな「世界初」がもり込まれていますが、「S-Master」搭載もその一つです。とにかくテレビのアンプで100Wも搭載したのは、世界初※でしょう。今回は音のHD化を目指すということで、オーディオ事業本部の商品企画担当者に参加してもらいました。
※2004年8月時点

 実際に音を聴いてみると、大音量でもゆがまない余裕はさすがだと思います。

坂口 デジタルアンプ搭載のものは他社にもありますが、同じデジタルアンプでも、「S-Master」は1bitデジタルアンプに比べて、量子化の細かさでは17倍の性能を持っています。音の再現能力も、それだけ原音に近いわけです。

 その表現力に耐えうるスピーカーも重要ですよね。

山田 今までの薄型大画面テレビでは、薄型にこだわるあまり、なかなかスピーカーの容積が取れないという制限がありました。今回はユニットそのもの、つまりコーンの素材から、マグネットの大きさ、エッジの素材など、すべてを見直しました。もちろんエンクロージャーの容積やダクトの抜き方など、パラメーター出しも含めてすべて、音の専門家が設計しています。

 サブウーファーを背面に背負わせるというアイデアはユニークですね。

山田 我々は3Dウーファーと呼んでいますが、大型モデルでは10cmのスピーカーを2個、それ以外のモデルでは8cmのものを4個搭載しています。 ウーファーの大きさやリッター数などをふまえて、どういうやり方が一番効率が良いのか、構造や強度、ユニットの特性などを上手く使った結果、こういう形になりました。それが「S-Master」と相まって、大画面に見合った迫力のある音を、薄型ボディに詰め込むことができました。 このように、次世代のテレビを作るために、「画」と「音」と「操作性」全てに妥協しない商品に仕上げました。それが今回の<ベガ>なんです。

新しい<ベガ>の、圧倒的な迫力の画質と音質。それを支えていたのは、技術陣による数々の新しいチャレンジであった。
次号では山田氏が最後に言っていた「操作性」の追究の結果である新しいGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)について語っていただいたので、次号もぜひお楽しみに。

 

   

ソニー株式会社
ホームエレクトロニクス
ネットワークカンパニー
テレビ事業本部 商品企画部
FTV商品企画課
統括課長

山田 倫靖


ソニー株式会社
ホームエレクトロニクス
ネットワークカンパニー
テレビ事業本部 商品企画部
FTV商品企画課
係長

坂口 淳
 
   

 

聞き手

映像作家/映像アナリスト
小寺信良
バラエティ、報道、コマーシャルと活動拠点を変え、芸術面と技術面の両方で10数年のキャリアを持つ、映像のプロである。その知識と経験を生かした内容の濃さで、映像関連のライターとして圧倒的な支持を得ている。WEBでは、AV Watch「小寺信良の週刊Electric Zooma!」、ITmedia「アンカーデスク」でコラムニストとして活躍中。
 
>
 
マーケティング担当者が多彩な機能をわかりやすくご紹介。
マーケティング担当者が語る あたらしい<ベガ>の体験ポイントをわかりやすく解説しています。こちらもあわせてご覧ください。
・あたらしくなった<ベガ>
・これからの放送環境
・店頭での体験ポイント
WEGA
テレビの性能を変える技術を集結<ベガ>HVXシリーズ誕生
詳しくはこちら
新製品情報 新製品発表会の模様