法人のお客様オプティカルディスク・アーカイブ 事例紹介 株式会社 毎日放送 様

事例紹介

オプティカルディスク・アーカイブ
お客様事例

株式会社 毎日放送 様

テープに保存する番組コンテンツをテープデジタイズステーションPWS-100TD1により円滑にファイル化。運用者が扱いやすいオプティカルディスク・アーカイブで長期保存。

  • ODS-D77U
  • PWS-100TD1

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株式会社 毎日放送 様

  • 堀内敦子 様

  • 寺下 智 様

株式会社 毎日放送様は2015年9月、同社千里丘ミリカセンター内で番組コンテンツを中心とした映像資産のデジタイズ作業を行うマルチダビング室に、テープデジタイズステーションPWS-100TD1と、オプティカルディスク・アーカイブドライブユニットODS-D77Uを2式導入されました。
同社 編成局 ライツ業務部 部次長 堀内敦子様、技術局 制作技術センター ポスプロ担当部次長 寺下 智様に、今回のシステム導入の背景・目的・運用状況・成果、今後の期待などを伺いました。
なお、記事は2016年3月上旬に取材した内容を、弊社にてまとめたものです。

運用者が、簡単に、わかりやすく、迷うことなく作業を行うことができるシステムが設備選定の決め手


番組アーカイブのデジタイズ作業を担当している千里丘マルチダビング室。

当社では放送番組の一部の保管・管理・運用を、千里丘マルチダビング室で行なっています。2015年9月にオプティカルディスク・アーカイブドライブユニットODS-D77Uを2式とテープデジタイズステーションPWS-100TD1を導入して、テープ保存されている番組コンテンツのファイル化作業を開始しました。契機となったのは、HDVテープに保存されたコンテンツでした。3〜4時間ある長尺のレギュラー生番組の収録にHDVテープを使用しており、5,000巻以上という大量のHDVテープが保存されていました。HDVの今後のサポート状況を考慮して、ファイル化を急ぐ必要がありました。

今回ソニーが提案するシステムを選択した理由は、運用者が、簡単に、わかりやすく、迷うことなく作業を行うことができるシステムであったことです。
オプティカルディスク・アーカイブについては、光ディスクのアクセス性の良さが、外付けハードディスクと同じ感覚で利用できることにつながるため、運用者に受け入れられやすいメディアだと考えました。選定に際しては、事前にオプティカルディスク・アーカイブやLTOを導入しているほかの現場をいくつか訪ねて、ヒアリングによる比較検討、検証も行い、特性やメリット・デメリットを実際に確認しました。大規模なシステム導入を想定していたわけではないので、コンパクトな機材構成で高性能、高機能なアーカイブメディアを利用できる点が魅力でした。

もう一つの採用の決め手が、テープデジタイズステーションPWS-100TD1の存在です。テープに保存された膨大な映像資産を、管理・運用担当者がいかに簡単に、ストレスを感じることなくファイル変換できるかが、設備を決める上で重要な課題と考えていました。当社は本社と同センターの所在地が離れているため、技術担当者が常時サポートすることができません。そのため、運用担当者が操作に悩まず作業ミスが発生しにくいこと、また、作業を効率的に進められる設備であることが、最も望ましかったのです。その点、今回採用したテープデジタイズステーションは、GUIの分かりやすさや操作手順のシンプルさ、使い勝手の良さが大変魅力的でした。

PWS-100TD1の充実したデジタイズ機能、使い勝手の良さで効率的な環境を実現

拡大
PWS-100TD1を使って2台のHDVレコーダーから取り込んだ素材を、2台のODS-D77Uに効率的にファイリングする構成で運用中。


運用担当者がつねに映像の監視、チェックを行っています。柔軟性に富んだ追いかけ再生に対応している点ではストレスを軽減でき好評です。

HDVテープはMPEG HD422 35Mbpsフォーマットにデジタイズし保存しています。作業端末から制御を行いますが、「取り込み」、「プレビュー」、「転送」の3ステップでファイル化でき、わかりやすいオペレーションであることがポイントでした。また、今回導入したシステムは、HD-SDI 2入力、2出力の構成で設置しています。2台のHDVレコーダーHVR-1500やHDCAMとODS-D77Uを接続して運用することで、異なる映像のデジタイズ作業を複数名で並行して行っています。

千里丘マルチダビング室では、デジタイズ作業中はつねに担当オペレーターが映像の監視、チェックを行っています。ノイズが発生するなど、貴重な映像資産に傷があっては保管の意味がなくなってしまうからです。そうした条件のなか、PWS-100TD1の機能の中でも魅力的だったのは、デジタイズ中のファイルを追いかけSDI再生できることです。収録中に追いかけ再生することで、ファイル化されている映像の即時チェックが可能です。従来のシステムであれば離席することが難しく、運用者を一定時間拘束してしまいますが、PWS-100TD1は、食事などで席を外す際にもデジタイズ作業はそのまま継続し、プレビュー作業は一時再生をストップにしておき、席に戻ってから追いかけ再生を再開することができます。映像チェックが柔軟に再開できる点では運用者のストレスを大きく減らすことができました。PWS-100TD1に標準装備されたQC(Auto Quality Check)機能により、チェックされたVTRチャンネルコンディションやTC情報がリスト化される点も、安心材料の一つです。

HDV素材のファイルベースアーカイブは完了、HDCAM素材のファイル化に着手

運用を開始してまだ半年ですが、ODS-D77UとPWS-100TD1による効率的で柔軟な運用、そして、何よりスタッフの努力があって、当初の目的である5,000本を超えるHDV素材のファイル化目処もついてきました。一部のテープは外部のデジタイズサービスを活用して今もファイル化していますが、別の場所で作成されたオプティカルディスク・アーカイブであっても、同様のルール運用でデータ書き込みをしていれば、簡単に映像ファイルのプレビューチェックができるメディアであることもありがたいところです。

次にファイル化するのは、HDCAMに納めたコンテンツです。課題はその保存量です。当社のライブラリーには総計80,000時間を超える膨大な映像が保存されており、単純計算では完了するのが2030年ぐらいになってもおかしくありません。現在は作業スピードを上げるためにPWS-100TD1の増設を検討していますが、現状の運用スタイルでも4台のHDCAMデッキと接続したデジタイズ作業が可能になります。また、PWS-100TD1をもっと効率よく活用できないか模索しています。

オプティカルディスク・アーカイブの一層の進化に期待

今後、当社全体のアーカイブシステムをどのように構築していくかについては、オプティカルディスク・アーカイブで保存することも有力な候補の一つになるのではないかと思っています。
ODS-D77Uは千里丘マルチダビング室だけでなく、2015年6月には本社にも1式導入しており、XDCAM Station XDS-PD2000による生放送同録ファイルのアーカイブ用途にも活用しています。この設備は、XDCAMフォーマットとの親和性を生かして、有効に活用されています。

ソニーには、今後もオプティカルディスク・アーカイブの発展はもちろんのこと、メディアだけでなくドライブユニットや運用アプリケーションなどラインアップの強化、拡充を提供してくれることを期待しています。

2016年3月掲載
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