Optical Disc Archive
オプティカルディスク・アーカイブ

オプティカルディスク・アーカイブ お客様事例 奈良文化財研究所 様 文化財の調査・研究データの保存にオプティカルディスク・アーカイブを導入。
長期保存性や大容量化により、増え続ける膨大な調査データを次世代に継承。
  • ODS-D280U

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奈良文化財研究所 様

高田 祐一 様
企画調整部
文化財情報研究室
研究員 高田 祐一 様

渡 勝弥 様
研究支援推進部
連携推進課
課長補佐 渡 勝弥 様

奈良文化財研究所様は、文化財を総合的に研究するために設置されている国立の研究機関です。平城宮跡や飛鳥・藤原宮跡の発掘調査をはじめ、文化財の保存・修復、遺跡の整備活用手法の実践的研究、新たな文化財類型である文化的景観の調査研究など、文化財の学際的、総合的な調査研究に取り組んでいます。また、5,600人を超える全国の地方自治体の文化財調査担当職員らを対象とした専門研修を行っています。
さらには、全国の調査機関から集まった60,000件を超える遺跡発掘調査報告書を検索できる報告書データベース「全国遺跡報告総覧」を公開・運営し、貴重な学術資料の可用性を高める取り組みも行っています。
全国遺跡報告総覧はこちら⇒https://sitereports.nabunken.go.jp/ja

奈良文化財研究所様では、発掘調査の成果・保存科学に関するデータや3次元計測データなど、日々の調査研究から生成される膨大なデータを超長期的に保管していく必要があることから、2019年3月にオプティカルディスク・アーカイブ(以下ODA)を導入されました。
この記事は2019年3月に、同研究所 企画調整部 高田 祐一様ならびに 研究支援推進部 渡 勝弥様に、業界動向やODA導入における背景や期待など取材した内容を、弊社にてまとめたものです。

埋蔵文化財調査データ管理のいま

埋蔵文化財は、国や地域の歴史および文化を知るためのかけがえのない国民共有の財産と位置づけられており、調査から得られた情報を、次世代に引き継いでいく超長期的アーカイブを推進していかなければなりません。日本国内の埋蔵文化財調査においては、年間8,000件の発掘調査がすすめられており、年間約1,500件の調査報告書が刊行されています。(平成28年度 文化庁 埋蔵文化財関係統計資料より)

考古学や歴史学は、蓄積型の学問と言われ、情報が多いほど、学問を精緻に深化させ、学術対象の広がりを実現できます。成果の適切な蓄積が命なのです。また、発掘調査自体は不可逆的行為のため、一度記録した情報は再度取得することができません。だからこそ、超長期的かつ確実に情報を残す必要があります。

かつては、調査研究の現場にデジタル機器が少なかったため、紙やフィルムといった媒体を用いることで長期的に保管することができました。一方、近年になり発掘調査報告書の編集はDTP化が進みました。記録手法としては、高精細デジタルカメラや三次元計測技術が用いられるなど、デジタル化が進んでいます。フィルムの現像所も急速に減少していることもあって、フィルムカメラからデジタルカメラに置き換わりつつあります。このような背景もあり、文化庁からは「埋蔵文化財保護行政におけるデジタル技術の導入について」という指針が報告され、デジタル技術を効果的に利用したデータの管理が求められています。奈良文化財研究所としても文化財分野における適切なデジタル技術の導入とデジタルデータの管理・保管手法についての研究を進めているところです。

データ管理業務の運用方法と課題

ODA導入前は、ファイルサーバーにデータを保存していました。しかし、ファイルサーバーの容量には限りがあるため、三次元計測データや大容量の研究データは、研究者個人で管理する体制となっていました。そのため企業などから写真データの利用依頼が来た際に、オリジナル(高画質)データの所在が分からないことや、保存していた機器が故障してデータを取りだせないケースがあり、データの消失が発生していました。

長期保存性と使いやすさが導入の決め手に(安全性、超長期保存)


PC操作と同じ感覚で使うことができるODAドライブユニットODS-D280U

いかに長期的に安全に保管するかということが一番の課題であり、この課題を解決するのがODAでした。使いやすさとコストも決め手の1つとなっています。

アーカイブ機器を導入するにあたり、誰でも使える必要性がありましたが、予想していた通りPC操作と同じ感覚で使うことができました。当時、磁気テープも検討しましたが、過去にトラブルを体験したこともあり、使用するにはITリテラシーが比較的高い必要があります。定期的に入れ替わる運用スタッフが使用するには難しいと判断しました。

コストに関しては、使用しているファイルサーバーを拡張し冗長構成にすることを考えると圧倒的に安く導入することができます。今後は、ファイルサーバーとODAを使い分け、HOTデータ(利用頻度が高く、ファイルサイズが小さいもの)はファイルサーバーで、COLDデータ(ファイルサイズが大きく、長期保存が必要なもの)はODAに残していくことになります。

今後の取り組みと期待

データが蓄積され始めると次にデータの利活用という話になります。前出の報告書データベース「全国遺跡報告総覧」のバックアップデータでの利活用や、研究データの取り出し頻度が上がっていくことを想定し、図書館システムを利用した貸し出し管理体制を整えています。既存の図書館システムを活用することで、コストをかけずに確実な出納管理と目録管理を実現できます。

爆発的にデータ量の増大が見込まれている今後に備え、かけがえのない学術データの消失を防ぐべくアーカイブシステムを運用していくことが最重要と考えています。ODAのカートリッジは正副生成し、副媒体は遠隔地保管することで激甚災害に備えます。

このように蓄積されたデータは唯一無二のデータになりますので、超長期的に安全に取り出せるよう、ソニーには、長期間のサポート体制を維持してもらうことを期待しています。

2019年4月掲載