法人のお客様プロオーディオ 事例紹介 株式会社 東京音響通信研究所様

事例紹介

業務用オーディオ お客様事例
株式会社 東京音響通信研究所様

周波数変更といった手間が不要で38波まで使える1.2GHz帯対応のDWXシリーズを導入し、全国各地で行うコンサート、イベントなどのPA業務で運用を開始。

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株式会社 東京音響通信研究所(通称:東京音研)様は、特定ラジオマイクの周波数移行に合わせて、2015年3月にソニーの新周波数帯対応1.2GHz帯デジタルワイヤレスマイクロホンシステムを導入されました。同年9月に本格的な運用・実証試験運用を行い、そこでの検証結果を踏まえた上で全国のコンサートや各種イベントでのPA業務に本格運用を開始されました。

同社 長峰直人様、畑中宏允様、平井絵里様に、採用の経緯や決め手、運用状況と成果、システム運用の評価などを伺いました。

なお、記事は5月初旬に取材した内容を、編集部でまとめたものです。

1.2GHz帯ならではの柔軟な運用性、効率性を高く評価


デジタルワイヤレストランスミッター、ラベリアルマイクロホン、デジタルワイヤレスレシーバーも32式、グランドプレーンアンテナと八木アンテナ7素子を24式、アンテナブースター48式なども装備されました。


デジタルワイヤレスマイクロホンDWM-02N/Rを32式導入。写真は、大ホールを使っての実運用実験検証の様子。パフォーマーにはあえて電波を妨害するとされるスパンコールの衣装を着けてもらいました。

当社は1965年の創業以来、国内外のコンサートや演劇、各種イベントの音響プランニング、音響オペレーションなどを請け負うだけでなく、ホールなどの設計施工・管理、テレビ音声・映像業務、ラジオ音声業務などにもチャレンジ、社員・スタッフの懸命の努力もあり、日本有数の実績・評価をいただけるまでに成長しました。

ホールや演劇会場、イベント施設でのPA業務も、当社にとって重要なミッションであり、高音質で伝送能力に優れ、柔軟な運用が可能なマイクロホンシステムは必要不可欠なアイテムの一つとなります。そうした中、電波法が改正され特定ラジオマイクの新周波数移行がスタートしました。この新しい環境下でも当社の従来の効率的なオペレーションを継承しつつ、柔軟な運用が可能なマイクロホンシステムが必要になりました。

そうした更新コンセプトを踏まえて、検討した結果、ソニーの1.2GHz帯デジタルワイヤレスマイクロホンシステムを選択しました。音響設備を常設した専門劇場・ホールであればホワイトスペース帯の利用に支障はないですが、全国ツアーコンサート、イベントなどで施設を次々と移動する場合はそう簡単にはいきません。チャンネルリストに合わせて随時周波数を変更する手間と時間は、運用スタッフ、オペレーターに負担を与えるだけでなく、実際にその余裕がない場合も少なくありません。セッティングだけでなく、事前のリハーサルでの検証作業などもありますからなおさらです。

その点、1.2GHz帯では周波数変更の必要がなく、38波まで使うことができます。全国を連日移動して行うPA業務でも有効に使うことができます。機種選定に際して、700MHz利用推進協会で行われた比較試聴会にも参加して、実際の音を聴いて評価を行いました。DWXシリーズ選定の最大の決め手は高音質であったことです。SN比が非常に良く、クリアな音は魅力でしたし、ディレイも全く気になりませんでした。もちろん、安定した伝送能力を実現していること、モード設定で用途に合わせた選択が可能であること、当社の運用で欠かせない同時マルチチャンネル運用にも充実した制御ソフトウェアで対応できるだろうと実感できたことも決め手でした。

社内でも試聴、伝送テストを行いましたが、スタッフにも高音質と安定した伝送性能は、高い評価と満足を感じてもらうことができました。また、実運用に向けた対策の一環として、ソニーや関係者の協力を得て、実際のステージでの運用を想定した1.2GHz帯デジタルマイクロホンシステムの検証作業も行いました。実際に試してみないと分からない細かな点を確認し、安定した運用に役立てる目的もありました。


長峰直人様


畑中宏允様


平井絵里様

過酷な状況を想定した運用検証でノウハウも蓄積


ボディパックやハンドマイク、コーデックモードなど、さまざまなパターンで検証を行いました。写真・右は広い客席のそれぞれの電波状態を実地に確認、検証の様子。


舞台下にはデジタルワイヤレスレシーバーDWR-R02DN/Gを配置して制御ソフトを有効に活用しながら同時多チャンネル運用の実証テストも行いました。

1.2GHz帯DWXシリーズの運用検証は、客席数が1,000席を超える大ホールを使って、2015年9月に行いました。ダンススクールに通う40名の方々の協力も得て、実際にステージ上でマイクロホンを使いながらダンスパフォーマンスをしてもらったり、客席での試聴確認を細かに行い、音質、伝送性などのチェックを行いました。また、ソニーにはデジタルワイヤレスレシーバーDWR-R02DN/Gと制御ソフトWireless StudioやCross Remoteを活用した同時マルチチャンネル運用の一括管理の有効性を確認、結果も実証データとして残してもらい、今後の運用にも役立てるように配慮してもらいました。

実際の運用を想定しての検証なので、状況に即した細かな点を確認、検証を行いました。まずは、機器の設置状況の確認です。アンテナ、アンテナケーブル、ブースターの設置状況とそれによる課題や対応の確認、そしてマイクロホンの配置や動きでどんな変化が生まれるのか、ダンスパフォーマンスによる音への影響など、あえて過酷な状況を作りだして、細かな点まで確認、監視を行うとともに、観測データも残して今後の本格運用時に役立てるノウハウの蓄積も行いました。

コーデックモードの比較検討も行いました。全国ツアーではエリアや施設によリ、不測の妨害波が発生することもありますが、そうした環境でも安全に、操作・運用が可能であることを実感できました。

セッティングも1時間ほどで済んでいますし、スピーディーに検証を行うことができました。また、制御ソフトによる同時多チャンネル運用にも可能性を感じることができました。細かな要望をソニーに具体的に対応してもらえたことや、緊急時の対応策を教示してもらえたことも成果だったと思っています。これなら、実際の運用でも有効に使えるのではないかと実感させてくれた運用検証となりました。

全国を巡るコンサートや企業、団体の各種イベントで稼働中

導入後、運用検証を挟んで、全国でのコンサートや企業・団体の入社式や株主総会などで本格的に運用しています。ソニーのイベントでも活用しました。もちろんスタッフの努力があってのことですが、全国各地を移動して、当日に舞台・ステージ、音響のセッティング、リハーサル、本番、撤収といった煩雑な業務に追われる日々において、1.2GHz帯ワイヤレスマイクロホンシステムの安定性、また運用面での柔軟性がそれらの業務の効率化に貢献していると実感しています。また、非常に細かな点ですが、電池メーターの正確性、残量の分かりやすさも実際に運用する立場からしますと魅力ですし、マイクロホンのデザインもアーティストに好評です。2016年夏には大規模なコンサートの全国縦断ツアーを予定しており、そこでの運用にも大きな期待を持っています。

運用の中で気づいた改善要望にも、ソニーは対応策の提案などで確実に対処してくれている点も安心材料です。実績・評価の高いソニーを選んだ成果だったと思います。当社が提供するのは音響ではなく、舞台やステージ、イベントで行われるコンサート、演劇、催事などの魅力や楽しさを伝えることです。今後の運用で培うノウハウをさらに生かして、舞台やコンサートの魅力、楽しさを伝えていくための一助になるように努力を続けていきたいと考えています。

ソニーには、これまでと同様に、使う側の要望を聞く機会を頻繁に設けていただき、それに的確に応えるソリューションの提案と充実したサポートを期待しています。

2016年9月掲載

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