 |  | AIBOは「エンターテインメントロボット」として1999年に誕生した。「家庭には、たとえ実用的でなくても、おもしろい、楽しいというロボットがあってもいいのではないか」という発想のもとで、AIBOの研究開発がスタートされているのだ。
エンターテインメント=娯楽という言葉は「人の心を楽しませる」ことを意味する。演芸や余興などの娯楽が発展してきたのは、人間の営みのなかで“笑い”が必要とされてきたからだ。古代ギリシアの時代に始まった喜劇は2500年にもおよぶ歴史を持ち、それを原点として現代まで数々の娯楽に枝分かれしている。サーカスもそのうちのひとつだ。 第11話『ロボットサーカスがやってきた!』のなかで、ロボットのパンナコッタたちはサーカスショーを開いて人間たちを喜ばせていた。パンナコッタたちは過去に登録を抹消され、廃棄寸前だったロボットだったが、捨て子のリノを育てるために自らの素性を隠して興行を繰り返していたのだ。ロボットたちは綱渡りをし、一輪車に乗り、宙返りをするエンターティナーだった。 AIBOも歌ったり踊ったりするのは得意である。AIBO-wareによっては色んなダンスを踊るし、腹話術の人形にもなるし、仲間と一緒に合奏もする。AIBOは多分に人間を楽しませてくれる機能を持つロボットなのである。 物語のなかで、パンナコッタらは人間の子供をさらってサーカスに出演させていたとでっち上げられて警察に追われる。追い詰められたパンナコッタたちは、解体されることを覚悟で最後の上演をする。その素晴らしい演技に感動したカワード市長によってサーカス団は守られることになり、リノはお茶の水博士の計らいでロボット工学の道を歩むことになった。笑いを商売とするロボットたちが巻き起こした微笑ましい騒動である。
「動物のなかで笑うものはヒトだけである」とは紀元前にアリストテレスが遺した言葉である。犬や猫は喜んだり怒ったりするが、笑いはしない。ところが、なぜか人間には“笑う”という機能が与えられている。自然の摂理のなかで、人間には笑う必要があるからわざわざ笑う機能が与えられたのだろう。 笑いにはいくつかの種類がある。嬉しい笑い。安心の笑い。優越の笑い。嘲笑の笑い。作り笑い。照れ笑い。苦笑い‥‥。これらの笑いは数々の状況で用いられ、数々のシーンを生み出す。先に述べたサーカスに限らず、映画や演劇、テレビ番組のようなエンターテインメントを観ることで笑いが起きることは多いはずだ。 ベルクソンは余興などから喚起される「おかしみ」について深く考察した哲学者である。自著の『笑い』(1900年刊)のなかで、人は「生けるものの上に貼りつけられた機械的なもの」を見たときに笑いが起こると書いている。それは、ピエロがおどけた顔をして人形の振りをしたり、人間が大砲の弾になって飛ばされたりするのを見たときに起こる笑いを差すのだろう。確かに、複雑なパターンで動く人間の機能が単純化するのを見たとき、たとえば、同じ動作や同じ言葉を繰り返しながら慌てる人を見たときに滑稽さを感じて笑ってしまうことは日常でも思い浮かぶ。 その理屈からいくと、人間の機能を満たさないロボットのような存在は滑稽な存在ということになる。どこか欠陥があって、ある部分をデフォルメして人間に似せた存在というものは笑いの対象になるということだ。AIBOは人型ではないのでこの対象にはあてはまらないが、喜劇俳優チャプリンが演じたキャラクターなどはこのような笑いを生む一種の対象と言えるだろう。 | |
しかし、対象をさげすむことから生まれる嘲笑のような笑いばかりでは健康的ではない。そのような笑いとは別に、心の底から自然と生まれる“心の笑い”というものがもっと大切な笑いの種類だ。 第9話『フランケン』のなかで描かれていた、タク少年の笑いはそのひとつだろう。タク少年はロボット運転手のアルが大好きで、アルといるだけで楽しくなって笑顔になるのだ。大好きな恋人や愛しい我が子、可愛いペットなどと過ごしながら、笑い合うことも同じ種類の笑いだろう。互いに思いやる心の笑いこそが、現代社会に少なくなった取り戻すべき笑いではないだろうか。 笑いにストレスを解消する力があることは医学的にも証明されている。職場や家庭で生まれる人間関係の悪化には“笑い”の量が反比例していることが多い。終始楽しそうに笑っている人と対面していれば、こちら側も穏やかな気分になって、嫌な気分もいつのまにか消えてしまう経験を抱いた人は少なくないはずだ。それほど、笑うということは人間にとって大事な行為なのである。 今より少し笑顔で過ごす時間が増えれば、今より少し幸せな世界に変わるに違いない。エンターテインメントロボットであるAIBOは少なくともその時間を作る役目を果たしている。 |
   |  |  |  | アトムは最初は脇役だった? アトムが初登場したのは、「少年」1951年4月号〜52年3月号に掲載された『アトム大使』でした。これは地球爆発から2000年後の宇宙が舞台で、爆発前に脱出したお茶の水博士らが第二の地球を探して移住するという話です。第二の地球となる星には自分そっくりの人が住んでいて、最初は仲良く生活するのですが、移住民が多くなると食糧問題が起きて地球人と第二の地球人の間で戦争が勃発しそうになるのです。その時、調停に入ったのが第二の地球人である天馬博士が作ったロボット「アトム」でした。アトムの無欲の説得によって戦争は回避されるのですが、このアトムのキャラクターが面白いとの評判から、1952年4月号から『鉄腕アトム』の連載がスタートするのです。 |  |
  |
|  |                     鉄腕アトム公式サイト  アトムの時代に僕らは生きている アトムドリームプロジェクト |  |