 |  | アトムの妹「ウラン」が第13話『ウラン誕生』でお目見えした。心を持つロボットの開発技術を一般公開したお茶の水博士が、アトムの妹にとウランを造ったのだ。 原作のアトムでは、ウランのほかにコバルトとチータンという弟を含めて4人兄妹であるが、アトム以外は皆お茶の水博士によって造られている。科学技術の最高芸術と言わしめたアトムだけはさすがのお茶の水博士でも造ることができず、アトムが壊れたときは天馬博士の力を借りざるを得なかった。 AIBOにも兄妹はたくさんいる。シリーズ別にすると、初代モデルのERS-110/111、仔ライオンフォルムのERS-210、愛らしいキャラクターのERS-311のラッテとERS-312のマカロン、バグ犬がモデルのERS-31L、宇宙探索ロボットがイメージされたERS-220の合計6種類だ。 新作アニメーションのウランは動物の気持ちを理解できる特殊な能力を持っている。『ウラン誕生』のなかで、気絶している小鳥を拾ったウランは小鳥にペコラと名付け、ぺコラから翼竜ロボット「ギガントバード」の存在を知る。ウランはぺコラと一緒に、街を破壊するギガントバードの基地を探しに行く。ギガントバードを造らされていたポッポトーレ教授と一緒に逃げようとしたウランだったが、逆に捕まり、ギガントバード内部に閉じ込められた。アトムは身を挺して妹を助ける。
動物と会話する能力というのは古くから人間の夢であり、憧れのファンタジーであった。だから、動物と会話できることがエッセンスとなっている物語は世界中で数多く作られている。旧約聖書によると、博学だった古代イスラエルのソロモン王はけものたちや鳥や、魚たちのことまで語って聞かせたとされている。このエピソードが勝手に解釈され、「ソロモン王の魔法の指環をはめると動物たちと会話できる」というファンタジー性が付加されたのが、映画や小説でよく引用される「ソロモンの指環」の所以である。 この言い伝えにちなんで、コンラート・ローレンツは1952年に『ソロモンの指環』という名著を送り出している。ローレンツは鳥のヒナが初めて見たものを親と思う“刷り込み”の理論などでノーベル生理学医学賞を受賞した動物行動学者である。本著のなかで、「動物の感受器官は多数の信号を選択的に区別できるだけでなく、人間が用いるよりもずっとわずかのエネルギーで発せられた信号に、答えることができる」(日高敏隆訳/ハヤカワ文庫)と動物の優れた知覚能力を指摘している。飼い主の嫌いな訪問者がやって来ると、訪問者に対して犬が吠えることもその能力によるものだという。
ウランの能力はあくまでも動物の気持ちが分かるものであって、会話ができるというものではない。ローレンツの理論からもこの点はリアルな設定と言えて、動物から発せられる微細なエネルギーを増幅してロジックにすることは科学的に可能と考えられる。 現在、ある玩具メーカーから、犬の首に送信マイクを装着して犬の言葉が分かるというレシーバーが発売されている。この装置は声紋分析技術を使って、犬の鳴き声をデータ化して開発されたものだ。AIBOからは「AIBOハンディビューワー」というものを通して感情を言葉として知ることができる。Bluetooth(ブルートゥース)という無線技術を使って「AIBOハンディビューワー」にリアルタイムに気持ちが伝えられ、それに対する返事をしてあげると、さらに言葉や動作で応えてくれるのだ。 | |
人間はもともとほかの動物と同様に、感受性の高い動物だったはずだ。言葉や科学が発達するとともに、目に見えない、音に聞こえないものを“感じる”能力が次第になくなっていったのではないか。「虫の知らせ」とか「以心伝心」とか、物理的に証明できない力の感受は、昔の人間の方が今よりも優れていたのではないかと思う。唯物主義に走った人間社会は、複雑で不確実なものを疎外し続け、物事を単純に分かりやすいところに運びすぎたのではないのだろうか。 科学技術が悪かったわけでは決してないだろう。それは時代の流れであって、今の世の中を作るために必要な要素だったはずだ。今後、ロボットの開発は人間の“感じる”能力を掘り下げる研究分野として拡がりを見せるかも知れない。人はどのように満足し、どのように不快を感じ、どのように気持ちを伝えようとするのか‥‥。 蝶は人間が見ることができない紫外線の世界を見て生きているという。世の中には、自分の知らない世界が沢山存在していて、自分はそのなかの極わずかな一部でしかないと知る必要があるだろう。この世に生かされている自分の存在を見直すことで、失った能力を取り戻せる未来がいつか訪れるのではないか。もしかしたら、その橋渡しを行ってくれるのはウランのようなロボットかも知れない。我々の「ソロモンの指環」として。
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   |  |  |  | 原作のアトムは何話あるの? 答えから言うと98話です。光文社の「少年」から始まったアトムは休刊に至るまで、『アトム大使』を含めて全部で63話あります。1963年に始まった初のテレビアニメで人気が高まると、「鉄腕アトムクラブ」というファンクラブ会誌が発行され、そこで9話連載されました。ただし、このなかの2話は途中からアシスタントによる代筆のため、現在の単行本には収録されていません。テレビ放映終了後、サンケイ新聞で連載された長編『アトム今昔物語』を始め、大人向け週刊誌や小学生誌で合計26話書かれます。アトムは足掛け30年間書かれ続けました。新書判の単行本にすると23冊になります。 |  |
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