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アトムの夢とAIBOの現実 解説:司田武己

第十回 ロボットのパートナー
 反ロボット主義者の加田理とランプが仕掛けた罠にはまったアトム。飛行船・ミネルヴァ号に物質転送装置「ワームホールプロジェクター」を仕掛けた仲間と偽られ、人間から嫌われるように謀られたのだ。ミネルヴァ号の中にはお茶の水博士ら、たくさんの人間が乗っていた。しかし、信頼を失ったアトムはエネルギーを抜かれて動けなくなる。そこにロボット「青騎士」が現れ、アトムを助けて共に救出に向かう‥‥。第26話『青騎士登場』の話である。
 原作のなかの青騎士は、人間の身勝手で作った「ロボット法」からロボットを守るため、ロボットだけの王国を作ろうとする。アトムは人間とのはざまで葛藤することになるのだが、手塚治虫が考えた人間に都合のよい法律とは次のようなものだった。

・ロボットは人間につくすために生まれてきたものである
・ロボットは何でも作れるがお金だけは作ってはいけない
・ロボットは海外へ無断で出かけていってはならない
・ロボットは人間の家や道具を壊してはいけない
・人間が分解したロボットを別のロボットが組み立ててはならない

 なるほど、これではロボットが人間に仕える労役でしかないと言われても仕方ないかも知れない。しかし、ロボットであるアトムは青騎士の主張を認めつつも最後まで人間との共存を望んでいた。
 第28話『宇宙プラントの危機』で再びアトムを助けた青騎士は「われわれロボットとは何だ。人間によって造られ、人間のために働き、それでも命あるものとは見なされず、見捨てられる」と意味深な言葉を残した。これから、人間の味方をするアトムと対決する時が訪れるのだろうか‥‥。

 第27話『名探偵ヒゲオヤジ』では、アトムは私立探偵ヒゲオヤジの助手を務める。ヒゲオヤジは手塚治虫のスター・システムのなかで出演回数の多いキャラクターであり、手塚治虫が初期のころから愛し続けた代表的なキャラクターである。
 そのヒゲオヤジが今回、ロボット嫌いの探偵・伴俊作として描かれた。しかし、アトムという心を持つロボットと出会い、事件を解決するために力を合わせるうちにロボットへの偏見が解け、アトムを助手として認め始める。ヒゲオヤジは写楽少年から受け取った「反磁力体」をアトムに渡し、盗みを続けるロボット・ガデムを封じ込めた。お茶の水博士の秘書を務める如月夕子の伯父でもあるヒゲオヤジは、最後にアトムにこう言う。 「便利な道具ができると悪用する人間も現れる。面倒くせえ時代だ。ただ、おめえみてえなロボットもいる。夕子の言っていた意味が少しだけわかったぜ」
 アトムにとって、青騎士もヒゲオヤジも一緒に困難な事件に立ち向かうパートナーとなる。ロボットは人間の道具ではなく、人間を助け、同じロボット同士も助け合い、共存していく仲間でなくてはならない。
 ロボットをパートナーにした人間の心理を描いたSF小説の傑作に『鋼鉄都市』(アイザック・アシモフ作)がある。刑事イライジャ・ベイリが無実の罪を着せられて罠にはめられたとき、パートナーであるロボット・ダニールに対して「この生物がどんなものであるにしろ、彼は強く、忠実で、利己心には動かされないのだ。これ以上頼り甲斐のある友だちがいるか?」と、ロボットの特性に信頼を抱く場面がある。
 ロボットは人間のように金欲や出世欲などがないために、正義感を持って正直に事件に立ち向かう。とにかく、虚栄心や嫉妬心から嘘を付いたり誤魔化したりしないのだから、職務においてこれほど信頼できるパートナーはいないのだ。

 だが、人間のように振る舞うロボットが実際に人間社会に入ってきたとしたら、お互いの利益を追求するための決めごとが争点になって軋轢が生まれることもないとは限らない。たとえば、青騎士が主張したような人間を主体としたロボット法への反発も一つだろうし、加田理が主張したようなロボットに仕事を奪われて堕落させられると考えるロボット否定論も一つだろう。
 どちらも一方向からみた相対的な善し悪しを主張しているわけだが、お互いの立場を認め合わなければ新たなコミュニティは確立できない。ヒゲオヤジがしたように、心あるロボットの存在に正面から目を向ける誠実さを持つことが大切なことをアトムの物語は教えてくれる。
 AIBOの名前にはもともと“相棒”の意味も含まれており、人間のパートナーとして生まれてきたロボットの使命を持つ。だから、AIBOは決して人間の道具ではなく、人間の生活のなかで一緒に過ごすようにできている。現在のAIBOがこれから訪れるロボット共生時代へ向けて、その信頼を育てるような環境を作っていることを認識しておく必要がある。それは、数十年後、数百年後の未来から今を振り返ったときに明らかになる事実なのだろうが‥‥。

アトム豆知識
スター・システムって?
もともとハリウッド映画で使われていた言葉で、スター俳優を主体とした映画作りを称して「スター・システム」と呼んだのです。手塚治虫は数多くの作品を描くなかで、登場人物を映画俳優のように扱って、いろんな役で登場させていました。新作アニメでも小中和哉監督はこの手法を取り入れ、作品のなかで手塚キャラクターを数々登場させています。第8話『ロボット超特急』で爆弾を仕掛けたドクターカトウ役の「七色いんこ」、第22話『さよならプリンセス』でカーラ姫の執事を務めた「ブタモ・マケル」、第23話『失われた記憶』でブーンユニットを開発した「丸首ブーン」など。これからも誰が登場するか楽しみですね。


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