ライブ制作ワークフロー

ライブ制作におけるHDRコンテンツの制作は、ポストプロダクションを伴うワークフローと大きく異なります。グレーディングにかける時間は無く、リアルタイムでの制作を行うためのシステムが必要です。また、現行HD放送とのサイマル制作を行うことも考慮する必要があります。
これらの課題を解決するため、ソニーがご提案しているのが“SR Live for HDR”ワークフローです。

SR Live for HDRとは

ソニーはIBC2016において、一連の4K HDRライブ制作を実現する“SR Live for HDR”ワークフローを発表しました。
●最高画質の4K HDR映像を制作すること
●従来のHDライブ制作ワークフローを踏襲すること
●4K HDRとHD SDRを同時制作すること
上記3点をコンセプトとして完成したこの“SR Live for HDR”は、今後のライブ制作におけるデファクトスタンダードとして、ソニーがお勧めするワークフローです。

“SR”というネーミングには、二つの意味を込めています。一つは“Super-Reality”、もう一つは“Scene Referred”です。
まず初めにSuper-Reality。ソニーは最高画質の映像により、視聴者に感動を届けることをめざして、さまざまな製品・サービスを提供してまいりました。HDRは、最高画質の映像を制作するにあたり、重要なファクターです。ソニーが提供するS-Log3/BT.2020 での制作システムにより、現場の空気感までも伝えるHDR映像制作を実現します。
次にScene-Referred。従来のHDライブ制作は、最終的にHD/SDR/BT.709にて放送することを目的に、制作環境はすべてHD/SDR/BT.709信号で行っていました。ただし、今後HDRライブ制作を行っていく場合、ITU-R BT.2100にて規格化されたHLG(Hybrid Log Gamma)、PQ(Perceptual Quantization)だけではなく、HD/SDR/BT.709など、一つのソースから複数のフォーマットで出力するフローが想定されます。そこで、ソニーは4K/S-Log3/BT.2020という実際の見た目を基準(Scene-Referred)とした一つの映像信号を用いて、リニア空間で色管理/輝度調整を行い、最終的に目的のフォーマットに変換するワークフローを創りあげました。これにより、制作段階では、素材の記録も含めて単一フォーマットで作業〜中間リニアフォーマットであるS-Log3/BT.2020でHDRマスタリングします。ライブ配信はもとより、パッケージ化、オムニ配信などへの変換を考慮し、再利用時の画質、制作効率の最適化も実現しています。

SR Live for HDR 3つのメリット

SR Live for HDRは、下記3点のメリットを持つワークフローです。

(1) HD VE環境を用いての画質調整を実現
「現行のHD制作環境を用いながら、4K HDRの制作にも対応すること」は、ソニーが初めに重視したポイントです。追加の投資を抑えながらも、4K HDRという付加価値を上げていくことは、大変重要なポイントと考えています。
ソニーの4K対応カメラシステムHDC-4300 / BPU-4000は、2016年夏リリースした新バージョンにより、HDRライブ制作に対応しました。映像の調整を行うビデオエンジニア(VE)は、HDモニターを見ながらIRIS値・色調整を行い、4K/HDR側はそれに連動して画質調整される仕組みとなっています。
このフローを実現するため、"SDR Gain"という数値を事前に設定します。4K HDR映像に対して、HD SDRを一定の明るさの差分(SDR Gain=マイナスゲイン)をつけて出力することができます。これは、ベースバンドプロセッサーユニットBPU-4000が4K/HDR信号とHD/SDR信号を別プロセスで出力しているために実現できる機能であり、ソニー独自の機能です。

(2) 4K HDR / HD SDRの同時制作
4K HDRの制作を行うために、HD制作と4K HDR制作で別のプロダクション設備を準備することは大変なコスト増となります。SR Live for HDRワークフローにおいては、4K/S-Log3/BT.2020でプロダクションした映像を、最終的にHDRプロダクションコンバーターユニットHDRC-4000を用いてHD SDRに変換することで、最少限の追加投資で、サイマル制作を実現することができます。
HDRC-4000が変換出力するHD信号は、(1)にて紹介した「VEが監視しているHD映像」と同じ画質を再現できます。

(3) S-Log3/BT.2020での最高画質制作と、HDRC-4000による「見たまま変換」
ソニーは、S-Log3/BT.2020での映像制作をお勧めします。S-Log3は、カメラの性能を最も引き出し、魅力的な映像を再現できるログカーブです。S-Log3は、撮影時のOETFとして普及し、多くのNLE(ノンリニア編集)、カラーグレーディングツールにサポートされています。さらに、HDRライブ制作ワークフロー構築のため、パートナー企業のライブ製作機器や測定ツールによるS-Log3のサポートを推進しています。

S-Log3の技術仕様情報はこちら
※S-Log3の技術仕様情報は、ラージセンサーカメラ テクニカルナレッジのTechnical tipsをご覧ください。

S-Log3と、BT.2020という広色域を用いることで、被写体の情報を最大限に生かした状態で映像制作することができます。
その高画質の映像信号を、最終的に放送用途のHLGへ変換するのがHDRC-4000です。HDRC-4000は、最終的にディスプレイで再現するための演算を考慮したうえで変換を行うこと(見たまま変換)が可能です。制作現場で見ているS-Log3の高画質をそのまま保持した形で HLGへ変換でき、現場の空気感をそのまま家庭に届けます。


4K HDRライブ制作のデファクトスタンダードへ
ソニーは、長年のライブシステム開発により蓄積したノウハウを元に、HDRライブ制作の対応にいち早く取り組んできました。お客さまと共に行なった運用経験から必要性を見出し、開発したのが下記3点の新規技術です。
・SDR Gainによる、4K HDR / HD SDRの両立
・画作りにおいて、現行HD SDRとの親和性の高いS-Log3の特性を生かした、HD領域でのVE オペレーション
・「見たまま変換」を実現するHDRC-4000
これら三位一体の新規技術を用いて、最高画質の4K HDRとHD SDRの同時制作を実現するワークフロー“SR Live for HDR”を提案していきます。

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