株式会社 毎日放送 様

2018年1月掲載

第30回「金閣寺音舞台」を4K HDR / HD SDRでサイマル制作。

株式会社 毎日放送様は、今年で30回目を迎えた京都の金閣寺で行われた音楽ライブイベント「音舞台」の収録・制作、ライブビューイング配信等を4K HDRとHD SDRの制作が同時にできる「SR Live for HDR」ワークフローで行いました。同社 制作技術局長 高木久之様、京都プロジェクト室企画部副部長 中野雪子様、制作技術局 制作技術部マネージャー 山田耕児様、放送運営局 技術計画推進部 副部長 京橋範彦様に、今回のワークフロー活用の決め手、運用と成果、今後の期待などを伺いました。なお、記事は2017年 10月上旬に取材した内容を弊社にてまとめたものです。

よりリアルな臨場感と感動を求めて

「音舞台」は、日本を代表するお寺に舞台を設え、「東洋と西洋の出会い」をテーマに国内・海外の一流アーティストを招いて行われる音楽企画です。1989年に第1回を金閣寺で始め、今年は第30回を金閣寺で迎えました。30回目を迎えるにあたり、「リアルでなくてもリアルに感動をさせられる」企画をということでさまざまな案を検討し、放送用の収録だけでなく、330インチスクリーン×3面を使ったライブビューイングを実施することになりました。

この企画の実現にあたり、放送用のHD SDRと、ライブビューイング用に4K HDRの両立が必要となりました。そこで、ソニーが提唱する「SR Live for HDR」ワークフローを採用することとしました。機材は、系列局やメーカーの協力を得て、マルチフォーマットポータブルカメラHDC-4300を8式、マルチポートAVストレージユニットPWS-4400 / 4500、HDRプロダクションコンバーターユニットHDRC-4000をそれぞれ2式の構成で運用を行いました。金閣寺ではHD SDRと4K HDR(S-Log3)の同時収録を行い、大阪の局舎へは、通信回線を通して4K映像をS-Log3のまま伝送し、局舎でHDRC-4000を通してHLGに変換してプロジェクターで投影しました。

負担が少なく大きな効果を上げた「SR Live for HDR」

技術としてはいかに負担なくHD SDRと4K HDRのサイマルを実現するかの視点でシステムの検討を行いましたが、「SR Live for HDR」ワークフローであればそれが可能だと思えました。4KとHDで収録やスイッチングなどの作業現場は別れましたが、ゲインや色などの映像の調整はHD SDRの収録を行うVEが4Kを意識することなく通常通りに出来ました。4Kゆえの特有の作業はあまりなかった印象です。

ライブビューイングの本番では、3面のスクリーン映像に加え、立体音響を導入したこともあり、まさに金閣寺とつながっている感じがしました。観客からは、拍手が起こり、中には感動で涙を浮かべている方もいらっしゃいました。現地の観客席にいたのではあり得ない視点の映像や、演目の間に入れた解説などは大変喜ばれました。4K HDRの映像では、漆黒の闇の中に浮かぶ金閣寺の金色のきらびやかさ、日本舞踊の和服の帯の煌めきなどが見事に表現され、リアルを超えた臨場感、没入感につながっていました。放送ではHD SDRですが、このように4K HDRを活用することで新たな映像体験を提供でき、「SR Live for HDR」ワークフローの有効性を感じました。

ソニーには、例えばロケ現場でのモニター環境の改善につながる商品など、今後も4K / 4K HDRに関連するラインアップの拡充に期待します。

  • 高木久之様
    高木久之様
  • 中野雪子様
    中野雪子様
  • 山田耕児様
    山田耕児様
  • 京橋範彦様
    京橋範彦様