撮影の基礎知識
クリエイティブスタイル
写真を思ったとおりの雰囲気に仕上げ、カメラをより楽しむためにはクリエイティブスタイルを使ってみましょう。クリエイティブスタイルが使えるようになるだけで、写真表現の幅は大きく広がります。
画作り(えづくり)とは
デジタル画像は、色合い、色の濃さ、明るさ、コントラスト、シャープさなど、いろんな要素をカメラ内でコントロールすることで、 同じ被写体でもさまざまに印象を変えることが可能です。「画作り」とは、これら多くの要素を撮影者の意図などに合わせて最適にバランスさせ、 イメージどおりの画像に仕上げることです。
クリエイティブスタイルとは
クリエイティブスタイルとは、カメラにあらかじめセットされた、画作りの基礎となる画像スタイルです。[風景]や[夕景]など、機種によって6〜13種類がセットされ、P/A/S/Mモードで使用できます。
表現テーマやシーンに合ったクリエイティブスタイルを選ぶだけで、写真表現の自由度が大きく拡大します。さらに、それをベースに撮影者が自ら画作りを楽しめる、こだわりの機能です。
Aの写真では[ビビッド]に設定し、より色鮮やかでメリハリとインパクトのある仕上がりになりました。Bの写真では[夕景]に設定し、夕景の赤みがより印象的に表現されました。
クリエイティブルック
シーンセレクションとの違い
クリエイティブスタイルは画像の仕上げを好みに応じて調整する機能であるのに対し、シーンセレクションは撮りたいシーンを選択することで、画像処理だけでなく絞り・シャッター速度などをシーンに最適になるように決定するオート撮影モードです。また、シーンセレクションはオート撮影モードの一つなので、クリエイティブスタイルの変更はできません。
シーンセレクション(撮影モード)
絞りの設定やシャッター速度の設定なども含めて、ほとんどの設定をカメラが自動的に制御します。シーンに応じた設定をするので、カメラまかせで簡単にきれいな写真を撮ることができます。
クリエイティブスタイル機能
シーンや撮影者の意図に応じて画作りの制御をおこなう機能です。P/A/S/Mモードで使用でき、絞りやシャッター速度、ホワイトバランスの制御とはすべて独立しています。シーンだけでなく、作画の意図に応じて画作りを選択することができ、また画像の仕上がりを調整する要素を、撮影者の好みに応じて調整することができます。
クリエイティブスタイルの種類
クリエイティブスタイルの種類と特徴を紹介します。カメラにセットされているクリエイティブスタイルは機種によって異なりますが、ここでは最も基本的な6種類のスタイルについて説明します。
スタンダード
α(アルファ)の標準となる画像スタイルです。被写体・シーンに幅広く対応するよう、色合いや色の濃さ、彩度、コントラストなどを設定しています。スナップ写真のように、さまざまな被写体をすばやく、気軽に撮りたいときに有効です。
ビビッド
彩度、コントラストが高めに設定されており、[スタンダード]よりもさらに鮮明でインパクトのある仕上がりが得られます。色鮮やかな被写体・シーンをさらに印象的に表現したいときはもちろん、ハイキーで色が浅く感じられるときや、曇りなど被写体の色が沈みがちなときなどでも、色をより鮮やかに表現することができます。
ポートレート
女性や子どもの肌を、自然な色合いで再現します。さらに、肌の質感をいっそう柔らかく、滑らかに表現できるよう、コントラストとシャープネスもポートレートに適した設定になっています。
風景
空の青さ、木々の緑などをより印象的な色合いで表現します。またシャープネスが高く、近景から遠景までくっきり描写することができます。コントラスト、彩度も高めで、全体的にメリハリのきいた印象です。青空、海、山などネイチャー系はもちろん、青空を背景にした被写体にも適します。
夕景
夕焼けや朝焼けなど、赤みのあるシーンをより印象的に描写します。ホワイトバランスのコントロールによって赤みを残すため、色合いや雰囲気はきわめて自然な表現を保ちます。シャープネスは、遠景までくっきり描写できるよう、高めの設定です。また、風景以外にも、夕陽を浴びた人物などの撮影に活用すれば、[ポートレート]とはひと味ちがう雰囲気が楽しめます。
白黒
色情報をなくすことで、逆に被写体をドラマチックに引き立てる。そんなモノクロの魅力が楽しめる画像スタイルです。 モノトーンに適したコントラストなどにより、ハイライトからシャドウまでを豊かな階調で美しく描写します。 また、報道写真のように、ドキュメント性を演出したいシーンにもおすすめです。
より細かく設定する
あらかじめセットされているクリエイティブスタイルは、さらに細かく設定することができます。変えられる要素はシャープネス、コントラスト、彩度の3つです。それぞれ±3段階で調整することができます。仕上がりの最終調整に使用しましょう。
A、Bともにクリエイティブスタイル[風景]で撮影しました。Bはコントラストと彩度をそれぞれ+側に調整したため、より鮮やかでインパクトのあるイメージに仕上がりました。調整しすぎると場合によっては不自然な仕上がりになってしまうので注意が必要です。
