スイッチャー

株式会社 愛媛朝日テレビ 様

2018年 7月掲載

拡張性を持った4K Readyなシステムで多様な制作フローを実現

株式会社愛媛朝日テレビ様は、2004年より運用を続けてきたSサブを、2017年12月に更新。
4K放送を見据え、スイッチャーシステムとスタジオカメラを更新し、準備期間を経て7月より本格運用を開始されます。

勝間 敦様
技術局
技術担当部長
勝間 敦様

秦泉寺 幸一郎様
技術局 主任
兼 経営戦略室
秦泉寺 幸一郎様

将来を見据えた〈4K Ready〉なシステム構成

2004年に前Sサブへ更新し、2006年にはHD化を行いました。以後12年間使用してきましたが、老朽化が進み保守期限も切れたこともあって、更新することを決めました。更新にり課題としたのは、3G-SDIに対応し、将来的に4K放送へのバージョンアップが可能な、〈4K Ready〉なシステムとすることでした。
さらに、Sスタジオで使用していたカメラの老朽化も進んでいたので、同時に更新することを検討し、こちらも今後のことを考えて4Kカメラにすることにしました。4Kカメラへ更新するとなると、CCUなど既存の周辺機器が利用できなくなります。そこで、カメラシステムを含めたリニューアルの提案を各社にお願いしました。

選定のポイントは高い信頼性と優れた操作性


左:4K 番組制作にも対応可能なXVS-6000 
右:コントロールパネルICP-X7000

検討の結果、SサブにはソニーのマルチフォーマットスイッチャーXVS-6000を導入しました。理由として一番大きかったのは、3G-SDIに対応した〈4K Ready〉なシステムで、入出力数もSサブの要求仕様に合っていたことです。以前のスイッチャーもソニーだったので、操作性や使い勝手が変わらずに移行できることも大きなポイントでした。カメラシステムに関しては、4Kの実績が豊富にあり信頼できること。操作性や使い勝手に優れていることが選定ポイントでした。導入したのは、マルチフォーマットポータブルカメラHDC-4300、マルチパーパスカメラHXC-P70です。実機を使ったデモでは、4KカメラとHDカメラの組み合わせでも、色味の調整が比較的簡単にできることが確認できました。また、HDC-4300は、フラッシュバンドがほぼ出なかったことも評価できるポイントでした。これまではスタジオカメラは他社のものを使っていたこともあり、局としても大きな決断でしたが、いまのところ特にトラブルもなく運用できています。

限られたスペースへ効率よく機材を配置


Sスタジオでは2台のHDC-4300とHXC-P70が活躍

現在の運用体制は、Sスタジオに2台のHDC-4300と、HXC-P70を導入。さらに、NスタジオにもHXC-P70を設置して、昼と夜の定時ニュースで運用しています。
Sスタジオでは、平日夕方のニュース番組「スーパーJチャンネルえひめ」を生放送しています。こちらのスタジオは天井が低く、以前から天井部分にバーチャルセットを合成して放送していましたが、カメラの入れ替え後もトラブルなく放送できています。また土曜夕方の情報番組「ちかくナルナル なるちか!」は、クロマキーを使ったフルバーチャルのセットですが、人物の抜け具合など以前と変わらず、問題なく運用できています。

カスタマイズで運用性を向上


180度回転可能な特注のVTRラックは多様な運用スタイルに対応

今回のリニューアルでは、運用のしやすさにもこだわりました。SサブのVTRラックは、180度回転させることができます。これは音声スタッフからオーダーがあり、発注時にソニーに依頼しました。本来はモニターへ向かって操作するように設置しますが、音声卓でワンマンオペレートをするときに、VTRにアクセスしやすいように向きを変えられるようにしています。7月の本格稼働までは、音声卓側に向けて配置し、さまざまな作業に対応させています。
スイッチャーシステムにもこだわりがあります。スイッチャーのボタンはクリック感があると、操作したという安心感があります。この「安心感」を得ることにも、今回こだわりました。実際の運用が始まれば、信号素材ごとにボタンの色を変えたり、素材名を表示したりと、カスタマイズすることもできそうです。


インターネット用出力には移動可能なS-BUSリモコンを接続

〈VTRをタリーでスタート〉できるようにも、設定してもらいました。VTRオペレーターが居ない状態でも、スムーズにスイッチングが行え、状況に応じてON/OFFするなど柔軟性も持たせています。工事後の動作テストでは、少しイメージしていたものと違う部分がありましたが、すぐに調整していただき、イメージ通りに仕上がりました。
また、最近はインターネットでの番組放送も増えてきているので、地上波用とインターネット用の2系統を出力できるように設定しています。S-BUSリモコンを接続し、インターネット用には権利問題などでそのまま映像を流せない場合に、ほかの映像を被せるなど、スイッチングで対応できるようにしています。

本格運用の開始に向けて

現在の状況としては、ノートラブルで、信頼性・安定性があり満足しています。7月からはSサブの本格的な運用がスタートするので、システムの機能を十分に活かしたローカル局発信の番組や、ローカル局ならではの個性豊かな番組づくりを行っていきたいと考えています。
また、ニュース番組をメインで放送しているNサブの更新の際には、工事期間中、これらの放送をSサブで対応する想定です。
ソニーには、ローカル局に適したソリューション提案を、引き続き行ってもらいたいと思います。