スイッチャー

株式会社 TBSテレビ 様

放送局

2013年9月掲載

大型の番組制作にふさわしい高性能・高機能、操作性を実現したスタジオ/サブシステムを構築。


株式会社TBSテレビ様のBスタジオの更新に際して導入されたHDC-2000シリーズ(写真・左)とMVS-7000Xをコアとしたサブのシステム(写真・右)

株式会社TBSテレビ様は、同社赤坂放送センターBスタジオ/サブシステムを、マルチフォーマットカメラHDC-2000シリーズや、マルチフォーマットプロダクションスイッチャーMVS-7000Xなどで更新され、2013年2月より本格運用を開始されました。
今回の更新を担当された、同社 技術局 制作技術部 山田賢司様に、更新コンセプトや、システム設計のポイント、ソニーのシステムインテグレーションへの評価、運用の成果などを伺いました。

フラッグシップにふさわしい性能・機能、使い勝手の実現目指す


山田賢司様

赤坂放送センターBスタジオ/サブは、TBSの大型の番組制作を行う、フラッグシップのスタジオ/サブです。更新にあたっては、こうした大型の番組制作を継承できるシステムであることがコンセプトの柱となります。併せて、従来よりも高性能であることはもちろん、より多彩な番組制作に対応できる高機能化も重要だと考えました。そしてもう一つ、従来のオペレーション、ワークフローを踏襲できる操作性や、使い勝手の良さも不可欠の条件となります。


スタジオカメラHDC-2000を2台、ポータブルカメラHDC-2500を6台導入。加えて、HDC-2500のスタンダード/ポータブル運用を実現する大型レンズアダプターHDLA-1500を2台のほか、7.4型有機ELカラービューファインダーHDVF-EL70を4台採用。


サブのVE卓。基本的に6台のカメラで運用するため、2台のHDC-2500はユーティリティー/バックアップ用として運用中。25型有機ELマスターモニターBVM-E250でHDC-2000シリーズの高解像度・低ノイズ、ディティールの再現性などを監視しています。

こうした観点から仕様をまとめ、システムや機器、あるいはシステムインテグレーションメーカーの選定を始めました。その結果、まずスタジオのカメラシステムには、HDC-2000シリーズを採用することとしました。Bスタジオでは、従来もソニー製のHDC-900シリーズを使用しており、操作性を継承できるだけでなく、高解像度・低ノイズに象徴される高性能は大きな魅力でした。実際、カメラテストで多くのスタッフが高画質を実感。VEからは、ディティールの再現性の高さも注目され、新たな対応が検討されたほどでした。

一方、サブのシステムについても、最終的にはソニーにシステムインテグレーションをお願いすることにしました。実は、赤坂放送センター内のサブシステムにソニーを採用するのは初めてのことで、双方が独特の緊張感を持って取り組むことになりました。

ソニーと初めてタッグを組んで構築したサブシステム


TBSテレビ・赤坂放送センターでは初めてソニーのシステムインテグレーションで更新されたBスタジオサブ。


マルチフォーマットプロダクションスイッチャー(5ME)と、可搬式で番組の規模に応じて機動力を発揮する1MEのサブスイッチャー(写真・右)。

今回、サブのシステムをソニーにお願いすることになった決め手の一つが、マルチフォーマットプロダクションスイッチャーMVS-7000Xの存在です。5MEに加え、ME列拡張機能MP2で2倍のME列運用が可能、さらに内蔵のキーヤーやリサイザー、大容量のフレームメモリーなど、ポテンシャルの高さが大きな魅力です。多彩な番組制作への対応というコンセプトを具現化してくれるスイッチャーだと評価しました。

特に、利便性を感じているのがリサイザーで、2.5Dではありますが、画像の拡大・縮小・移動が手軽にでき、昨今の番組制作で増えている多画面構成も、DMEを使わずにできます。

また、マスターモニター/ピクチャーモニターのデファクトスタンダードとなっている有機ELモニターのラインアップもあげられます。VE卓のマスターモニターに最上位モデルBVM-E250を、VE卓と照明卓のピクチャーモニターにPVM-2541を、さらにカメラのビューファインダーにHDVF-EL70を採用することで、同じクオリティーの高い画質による監視・管理が可能になり ました。

一方、懸念材料となっていたのが、スイッチャーのボタン配列、各種ユーザーズボックスのカスタマイズ対応でしたが、結果的には杞憂に終わりました。S-BUS端子などを使用する増設パネル、裏撮り用のVTRボタン、定点監視用モニター、機器増設用スペースなど、細かな要望にも柔軟に対応してもらいました。

「オールスター感謝祭」などに稼働し、威力をフルに発揮


VE卓(写真・左)と、照明卓(写真・右)に採用された有機ELピクチャーモニターPVM-2541。


ユーザーズボックスや増設パネル、VTRボタンなどで効率的なオペレーションをサポート。

新しくなったBスタジオ/サブは、2013年2月から運用を開始しました。すでに、音楽番組や4時間の震災特別番組、そして3月30日に放送した5時間におよぶ生放送の「オールスター感謝祭」など、コンテンツを創り出し、視聴者の皆様に送り出しています。

また、「オールスター感謝祭」の放送時には、いろいろ尽力いただいたことへの感謝の意味も込めてソニーの担当者の方々にサブで見学いただきました。大勢のスタッフのオペレーションや、進行に合わせた動きなどから、苦労してカスタマイズしていただいた部分の意味や有効性を理解してもらえたのではないかと思います。

また、実際のオペレーションを見てもらうことは、今後のソリューション提案の参考になるのではないかと期待しています。ぜひ、サポートとともに、より魅力的な番組制作のための新しいシステム、機器の開発につなげて欲しいと期待しています。