
昭和34年に創業し、ステージやスタジオ照明を手掛ける「共立照明」の映像部門として始まった株式会社共立映像様。国内のアイドルグループやK-POPグループの全国各地でのコンサートにおける、ステージ上の撮影・収録および大型ビジョンへの投影用撮影を目的として『HDC-5500』、『HDC-5500V』(以下、『HDC-5500』シリーズ)を導入・運用され、さらに『HDC-5500V』の追加導入も決定いただきました。『HDC-5500』シリーズ選定のポイントと、導入後の成果や今後の計画についてお伺いしました。
2021年以降、マルチフォーマットポータブルカメラ『HDC-5500』12式、『HDC-5500V』4式を段階的に導入し、『HDC-5500』12式は「光学式可変NDフィルター」が使用できるよう対応済みです。このほかに、機材レンタル会社から4式長期レンタルしており、『HDC-5500』シリーズは、全て「光学式可変NDフィルター」を装備した状態で計20式を常時運用しています。
ソニーのカメラについては、ショルダーカムコーダーやハンディカムコーダーは導入していましたが、システムカメラの導入は『HDC-5500』シリーズが初めてです。これまでは他社製のシステムカメラを長年使っていました。ソニーのシステムカメラは全く使っていなかったわけではなく、機材や中継車を外部に手配するような機会には使ってきており、決して悪い印象を持っていたわけではなく、ソニーのシステムカメラの良さも感じていました。
これまで保有してきた他社製のシステムカメラの後継に『HDC-5500』シリーズが上がったのは、業界内のコンサート分野でも採用が広がっていることがきっかけでした。社内ではこれまでも「ソニーのシステムカメラにしよう」という声はありましたが、メーカーを越えた機材の入れ換えには、周辺アクセサリーも含めた総入れ替えを伴うほか、協力会社との機材の共通化の壁もあったため、なかなか踏み切れずにいました。
『HDC-5500』シリーズは、4K/HDでほとんどの撮像フォーマットに対応していました。特にコンサートの撮影・収録については、23.98fpsで行われることが当たり前になっています。一方で、コンサート会場内の大型ビジョンは23.98fpsに非対応のケースもまだまだ多いので、24Pフォーマット時に2-3プルダウンの59.94i出力が同時に出力できることは、弊社の業務内容を考慮すると必要不可欠な要素でした。
他にも「光学式可変NDフィルター」は、システムカメラにおいてはソニー独自の機能になりますし、導入検討時にハーフラックサイズのCCUを選択できたことも大きかったです。コンサート撮影の現場では、可搬型ラックにCCUを実装する必要があったので、筐体のコンパクトさは重要な要素でした。


ハーフラックサイズのCCU4式を1セットとして構築された可搬型ラック

後継機選定にあたっては、取引関係のある協力会社各社にも広くヒアリングを行いましたが、各社からの声も、ソニー製への切り替えや『HDC-5500』導入に対して非常に前向きであったことから、『HDC-5500』を本命として検討が進みました。
また、社内テストにおいて、当社の求める画作りに合致していて、画質の面でも優れていたことが導入の決め手になりました。
これまで使ってきた他社製のカメラでは、BOXマーカーをビューファインダー側で生成していました。コンサートツアーでは、使用するビューファインダーが変わるたびにマーカーの設定を再度行う必要がありましたが、『HDC-5500』シリーズは、カメラ側で設定し、本体に保存されますので、ビューファインダーが変わっても同じマーカーが使用できます。また、カメラ本体に保存したマーカーは、USBメモリーに書き出すことができて、他のカメラに簡単にコピーができますので、レンタルなどでカメラ本体が変わっても、BOXマーカーを同じ状態で使えるので便利です。さらに、これまで使ってきたカメラにはバックタリーがなく、外付けをしていましたが、『HDC-5500』シリーズでは必要となるアクセサリーが減ったこともあり、現場でのセッティングがとても早くなりました。
高倍率レンズで被写体のクローズアップなどを狙っている最中に、レンズデマンド上のリターンボタンを押すと、その小さな衝撃でも画がブレてしまうことがあります。高倍率レンズを使っている時には、できるだけボタンを押す操作はなくしたいのですが、『HDC-5500』シリーズでは、リターン映像を常時PinP表示できるので、ボタンを押す必要がなくなりました。
導入後のバージョンアップで実装された「VFダイナミックコントラスト」機能は、暗転と明転の演出が多いコンサート収録ではとても便利です。この機能を使うと、暗転して真っ暗な撮影環境でも、ステージ上の被写体のシルエットがビューファインダーで見えるようになります。以前のカメラでは、「ビューファインダーのブライトやコントラストを最大値まで調整したらうっすらと見えるか…」という感じでしたが、その状態で明転して明るくなると、ビューファインダーが真っ白のままカメラワークすることになるので、極力触りたくありません。『HDC-5500』シリーズでは、「VFダイナミックコントラスト」のON/OFFをレンズデマンドなどにアサインできるので、瞬時に手元でON/OFFの切り替えができます。今となっては、毎現場で使う手放せない機能です。画質面だけでなく、このような細かな機能が充実していることが「ソニーのカメラでしか撮れない場面」に繋がっていると実感しました。

以前使用していたカメラよりアクセサリー数が減り、現場でのセッティング時間が短縮
ソニーのシステムカメラを初めて導入して驚いたことは、「できたらいいな」という現場の意見を真摯に聞いてくださること、そしてそれに対する対応の早さでした。例えば、カメラヘッドがつながっていないときのCCU出力は「全画面グレー」が標準仕様だったのですが、「全画面黒」も選択できるようにならないかと要望したら、想像よりも早く対応してくれました。コンサート会場では、カメラヘッドだけを繋ぎ変えて撮影ポジションを変更する運用を頻繁に行うのですが、仮にこのグレー映像を大型ビジョンに表示してしまうと、お客様が違和感を覚えることになるので、ビジョン出し業務で考えると、黒のほうが都合がよいという背景を説明し、納得いただけたのだと思います。他にも、CCU出力映像にバックタリーとして使える色枠表示のタリーがつく機能が追加されたことで、設営時にタリー配線が省略できるようになったことも大変ありがたく、活用しています。このように、ユーザーの声を聴いて年1、2回くらいのペースでのバージョンアップにより、新しい機能が増えていくのも大きな魅力だと感じています。
また、2025年7月に、システムカメラなどを生産している、愛知県の「ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ・幸田サイト」を見学する機会がありました。これまで、ソニーのシステムカメラについては「外部メーカーから部品を調達して、工場では最終組み立てをしているのだろう」といった想像をしていたのですが、実際にはカメラにとって最も重要なイメージセンサーをはじめ、多くの部品を内製していました。ヒューマンエラーが起きないような徹底した工程管理を行いながら、製造・組み立て・評価・最終検査まで、一貫してカメラを作っているということを知ることができ、ソニーに対するイメージや信頼感が大きく変わりました。


ソニーの放送用機器生産拠点の1つ「幸田サイト」見学時の様子
当初は既存機材の更新を目的として導入した『HDC-5500』シリーズですが、需要や稼働率の高さから、更新分としてではなく実質的に16式+レンタル4式の計20式が増備の形になりました。『HDC-5500』シリーズを導入したことにより、保有機材の連携の観点で、これまでお付き合いができなかった会社とも、お取引ができるようになり仕事の幅が広がったので、さらに今期『HDC-5500V』を追加導入することで、受託体制を強化し、より多くの業務に対応して行けると思います。
同業間の受発注では「『HDC-5500』シリーズ指定」ということはよくあります。『HDC-5500』シリーズを運用している会社は多いので、こちらからお願いするときも手配を行いやすくなりました。
ソニーの魅力は、システムカメラにとどまらない、ハンドヘルドカムコーダーからラージセンサーカメラまである幅広いラインアップです。色もしっかりと合う形で混在して使える点も大きな魅力です。
各社さまざまなソニーのカメラを持っていますので、協力して制作を行うときの自由度が高まりました。ステージ撮影にラージセンサーカメラを混在して使うという動きも業界内で広がってきていることを受け、「実績の少ない分野への挑戦」として、当社でも24年と25年に1台ずつ計2式導入しました。アップデートでシステムカメラのリモートコントロールにも組み込めるようになりました。

社内でも、ラージセンサーカメラでどんな映像を撮れるのかの肌感覚を持っているスタッフは多くありません。導入した『BURANO』を通じて、ノウハウを重ねながら、今後はラージセンサーカメラを組み合わせたステージ撮影にも積極的に手を広げて行きたいと思っています。最近新たに発売されたマルチフォーマットポータブルカメラ『HDC-F5500V』も魅力的な商品だと思っています。
このような映像制作は、今後スタンダード化していくと思いますので、ソニーに対しては、システムカメラとラージセンサーカメラの混在運用をサポートする機能の拡充に期待をしています。
※本ページ内の記事・画像は2025年8月に行った取材を元に作成しています