CTBメディア株式会社 様
大分県別府市に本社を置き、別府市に加えて隣接する日出町(ひじまち)を対象に、放送サービスとケーブルインターネットなどを提供するCTBメディア株式会社様。2025年3月にXDCAMメモリーカムコーダー『PXW-Z450』4台を導入され、運用を開始されました。
CTBメディア株式会社 制作部 部長 真砂 聡一郎 様に、『PXW-Z450』導入の決め手、実際にお使いになられてのご感想や、今後の展望についてお伺いしました。
CTBメディア株式会社目次
当社では、10名のスタッフで、毎週30分番組10本のほか、企画番組、ゴルフ番組、市政番組、議会中継、手話放送、帯のミニ番組などを制作しています。この規模のケーブルテレビ局としては全国最多レベルの番組数です。今回導入したXDCAMメモリーカムコーダー『PXW-Z450』は、これらの番組制作用としての導入です。これまでショルダーカムコーダーとしては、XDCAM HDカムコーダー『PDW-F355L』2台とXDCAMメモリーカムコーダー『PXW-X320』2台の計4台を使ってきました。
以前は、各機材や設備を都度更新してきましたが、そのパターンでは機材の導入時期の差によって各機材のポテンシャルがフルにいかせず、投資効率が下がってしまう悩みがありました。そこで、設備を一度に入れ替える方針に転換し、本社のスタジオやサブ、送出設備、別府市中心部のサテライトスタジオを一斉に更新する計画を立てました。しかし、10年以上前に導入した『PDW-F355L』については、サービスエンドを迎えたことに加え、老朽化による不調が増えてきたため、ショルダーカムコーダーは先行してまとめて更新することにしました。
ショルダーカムコーダーは、基本的に取材用に2台持ち出し、本社スタジオに2台常設、といった運用をしていました。一方、マルチカメラでの中継や収録には、4台全てを持ち出し、サードパーティー製の光伝送アダプターを装着して、数百メートルまでケーブルを伸ばして運用できるようにしていました。従って、後継機には同じ使い方ができる機材を求めていました。
また、全面更新を2027年に控えていることから、現段階で必要となる周辺機器の更新は最小限で済むこと、カムコーダー自体は2027年以降も使える機材であることも求めていました。
マルチカメラでの中継や収録には、色合わせのためのリモートコントローラー、大型ビューファインダーなどを装着できることが不可欠です。それに対応できるカムコーダーはショルダーカムコーダーだけです。従って、後継機も必然的にショルダーカムコーダーとなりました。

当面、放送はHDです。しかし2027年以降も使うことを考えると、将来的な4Kへの備えは不可欠と考えました。4Kフラッグシップモデルの『PXW-Z750』とHDモデルの『PXW-X400』とも比較の上、最終的に、4K対応ショルダーカムコーダーの中でコストパフォーマンスに優れる『PXW-Z450』を選びました。
取材用としては『PXW-Z450』以外にも、ハンディタイプのXDCAMメモリーカムコーダーやラージセンサーカメラ、計6台が活躍しています。取材対象が1名の場合や山登り取材など、軽さを求める場面ではハンディカムコーダーを使用し、「ショートズームレンズを使用」「ワイヤレスマイクをつけて2〜3人の取材」といった場面で『PXW-Z450』、CMや少し凝った映像を撮りたいときにはラージセンサーカメラを使用するといった形です。
このほか、各スタジオでは、ソニーのPTZカメラも活用しており、場面に応じて多種のカメラを使い分けています。
『PXW-Z450』導入後は、毎日のスタジオでの生放送を中心に活用しています。持ち出しての中継や収録は、今年3月末に行われた「別府市制100周年記念」のイベントを皮切りに使い始めました。
導入後、最初に感じたのは、映像の美しさです。現場のスタッフからも「綺麗になった」という感想がありました。もちろんカメラモデルの世代の違いや、1/2インチイメージセンサーが2/3インチになった差もあります。 暗部の階調やハイライトの伸びも格段に滑らかになり、HDの運用でも画質の向上がはっきりと実感できました。

運用面では、何世代も新しい機材でありながら、従来の環境に組み込んで、これまでと変わらず運用が行えています。今回の更新にあわせて、7.4型有機ELカラービューファインダー『HDVF-EL740』4台と、4K対応レンズは新たに導入しました。
リモートコントロールユニット『RM-B750』4台や『RM-B170』1台、サードパーティー製光伝送アダプター、レンズ用デマンドなどの周辺機器は、そのまま使用しており、最小限の費用で更新ができました。

取材用カメラについては、今回『PXW-Z450』を導入したことで、全て4K対応になりました。放送はHDですが、4K取材は既に始めています。「壊れてしまう」「消えてしまう」ものなど、後世に残さなければならない被写体を中心に4Kで撮影しています。日常の取材は、これまでのワークフローを踏襲できるHD MPEG2 4:2:0 LongGOPの35Mbpsで行っています。
今年7月に行われる「べっぷ火の海まつり 納涼花火大会」の生中継は、『PXW-Z450』が活躍する直近の大舞台となります。冬の花火大会「べっぷクリスマスファンタジア」の生中継と並ぶ当社の看板番組です。ショルダーカムコーダーの機種を4台統一できたことで、色合わせもバッチリ合うようになり、今年は『PXW-Z450』で花火を「より美しく」、一層高い「質」でお届けできると思います。

過去の「べっぷ火の海まつり 納涼花火大会」の様子(CTBメディア株式会社 様ご提供)
生中継や収録の番組は年間10回ほどありますが、『PXW-Z450』の導入は、それら目玉となる番組の「質」の向上に確実に貢献してくれました。導入から日も浅く、現時点ではスタジオや中継での運用が中心ですが、これからは取材での『PXW-Z450』の活用も本格化させていきます。将来は『PXW-Z450』も対応している次世代伝送方式など、新しい技術も積極的に導入・活用をしながら、さらに省力化や生産性向上を推し進め、「量」の面でも、番組を一層充実させていきたいと考えています。
※本ページ内の記事・画像は2025年5月に行った取材を元に作成しています